『TO BE HEROINE』の原語版も観てくれ

TO BE HEROINE OP アニメ感想文
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『TO BE HERO』の二期にあたる作品、『TO BE HEROINE』の放送が先週始まりました。前作のほうは名前だけ耳にしていたものの、いまだ未視聴……だったのですが、HEROINEの1話を観た限り「初見さんお断り」って感じは全然しなくて、置いていかれることなく楽しく鑑賞してました。

なかなか飛んでるテイストの世界設定なので、そこは正しく”置いていかれた”と言うべきかもしれない。しかし演出で上手に俯瞰して見せてくれるので、すぐにまた追いつける。年間十選候補に入れそうな勢いの第1話でした。

なにはともあれ、先日の日本放送版『TO BE HEROINE』を観た人と、これから観る予定のある人に伝えたい──。

原語版(中国語版)も一度チェックしてほしい。

別に日本放送版が面白くなかったってことじゃあない。日本語だからようやく内容が理解できるので、非常に助かっている。

しかし、「原語版と日本放送版の違い」は、画的な視聴感にかなりの差があったので、一度観てみても損はないと断言する。特に原語版ver.のOPとEDは、ハッとすると思うのでそこだけでも。いや、本編も観れ。

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『TO BE HEROINE』とは

中国のアニメ制作会社「絵梦アニメーション(英:ハオライナーズ)」が制作を担当しているアニメで、ビリビリ動画などで日本より少し早く配信がスタートしていました。

分類すればアクションアニメですが、枚数至上主義っぽくもなくて、刻まずに動かすアニメって印象でした。コマ割りとかカメラの回り込みとか演出が効いててグッド。

そして制作会社──絵梦アニメーションについて少し。(詳しくは知らない

えもん アニメーション ハオライナーズ

絵梦制作のアニメはこれまでにも『縁結びの妖狐ちゃん』『銀の墓守り』などいくつかあって、過去にはスタジオDEENと共同制作の『霊剣山』もありました。

ここまではテンセント関係の媒体で連載していたりと、中国に原作がある作品

そして、2017年。原作元が日本の漫画(原作:村山慶)の『セントールの悩み』の元請けを手がけたのは記憶にも新しいところ。これも、制作会社は絵梦だったけれど、実情は制作協力:エンカレッジフィルムズがほとんど仕切っていたような……(私個人の予想)。

しかし今作は、絵梦アニメーション(とそれからstudio.LAN!を筆頭に中国チームの方々が、脚本書いて作画して撮影して録音して──言ってみれば”完全中国アニメ”としてすでに完成されているものがあって、その完成品が日本に渡り、劇伴・主題歌・キャラクターの台詞など音響部分を日本向けに新録しているものを乗っけて放送されているわけです。

この過程の違いがひとまず大事、だと思います。

サウスパーク』で山口勝平らが吹き替えをやったあの感じ、とすればイメージがしやすいやも。では、日本放送版は「吹替版」と捉えれば良いのかというとそうも言い切れず。OPが特にわかりやすいですが、映像にも編集の手が入っているので、単なる吹替版の域を超えてきているような……、故に「日本放送版」と呼ぶ。めんどくさい。

異世界だけど、異世界じゃなかった

第1話のプロットはこんな感じ。

現実世界の社会が嫌になった少女が「別の世界にでもいきたい」と呟くと、本当に異世界にワープしてしまい、いきなり現れた生意気ボーズにはよくわからない理由で英雄扱いされ、その世界での厄介事に巻き込まれる、というもの。

異世界とは言ったものの、最近食傷気味なファンタジー系の世界じゃなくて、鏡のなかの世界というか、現代っぽさが残りつつもわかりやすく異質な雰囲気も漂っていて、「別世界」よりは「裏世界」って感じでけっこう好み。

これはけっこう重要視したい部分で、ファンタジー系の異世界転生って、別の星までワープしているような遠いところに移動した感覚を持って観ることが多いけれど、本作『TO BE HEROINE』の「異世界」は同じ地球上のどこかって感触がある。『H✕H』のグリードアイランド的な? 『涼宮ハルヒの憂鬱』における閉鎖空間的な? その質感がいいんです。ダークで冷たい色使いも地球の裏側っぽくて良し。

調べてみる公式では「異次元世界」と呼んでました。たしかに!

スピクローというアイデア

『TO BE HEROINE』第1話より
『TO BE HEROINE』第1話より

画作りもさることながら、面白い設定なのがその異世界、「身につける衣服がその人間の戦闘力と直結している」(?)というもので、つまり服を着込んでいる人間ほど武器をたくさん持っているようなものなのだとボーズが言う。ちょうどワープする瞬間に服を着込んでいたヒロインは、FF5のギルガメッシュみたいな状態だったわけです。たぶん。

服がそのまま武器になるのではなく、脱いだ服は剣士や武闘家にトランスフォームして色々と繰り出す。具現化した彼らこそが、服魂〈スピクロー〉と呼ばれる存在である。

服の持ち主はマスターとして彼らを召喚/使役できる。使役して戦うわけだ。自分でもいったい何を言ってるのかわからねーが(以下略

つくも神みたいなものだと思いながら第1話を観ればちゃんとわかります。アニメは説明上手なので。

「服を脱げばわかります!」なんて台詞も、見返すと事実しか言ってなくて面白い。キャラクターを言葉足らずにして誤解を発生させるテキスト術って嫌いな部類だったんですけど、それも巧みに入れ込んであるとあんま気になんないんですね。下手の手抜きと甘えが嫌いなだけだったらしい。

アクションよろし

アクションもいいです。シャフトっぽいな(線とカメラ)、『新世界より』っぽいな(影なし)、『THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!』の冒頭の詐欺PVっぽいな(膨張した水エフェクト)、みたいな感想くらいしか出ませんが。

戦闘が始まって、超スピード表現≒ヤムチャ視点の画面になるときに上下を切ってシネスコ風になるんですけど、そのシネスコ最初のカットが目のアップなんです。

からの、目のアップ。

横に伸びる両目のカットは切り取った画面に入れても収まりが良いので、このあとの戦闘シーンに続いて、「気がつけばシネスコってる」みたいな気持ちよさがありました。

原語版からの変更点

そろそろ「なぜ原語版か」の話をしないといけない。さもないといい加減、パンツよろしく読者が飛んでいく。

「ほんとです! 原語版を観ればわかります!」じゃだめですかね?

かんたんに言うと、原語版のほうがカッコよかったからなのだけど。
つまり、私の主観が理由なのだけど。

2つのバージョンには違いがあるという話でした。

音響部分でオリジナルから変更があるのは以下の4つ

  1. OPの楽曲
  2. 異次元空間でのキャラクターの言語
  3. 劇伴(半蔵と西門吹雪のバトルシーンなど)
  4. EDの楽曲

ちょこっと触れます。

OPのここが良かった

『TO BE HEROINE』OPより
『TO BE HEROINE』OPより

一発目、ワンカット目が陰から入る。陰から表に出る。これだけでもう十二分に夏とか田舎とか、そんな風景が(勝手に)想起できて美味しいんですけど、そのあとの缶ジュースリレーがまた美味しい。上手い。

『TO BE HEROINE』OPより
『TO BE HEROINE』OPより

ここの光(左端の少年)の表情の変化もいい。

そして、王子(右端の少年)が缶ジュースを開けると、観客の予想通りコーラが噴出。横の女の子・ミンちゃんにモロにかかる。

『TO BE HEROINE』OPより 『TO BE HEROINE』OPより 『TO BE HEROINE』OPより
『TO BE HEROINE』OPより

この静止画三連発が、タイミングといい情報量といい、最高点叩き出してくるんです、原語版は!

  • 二葉はグループのクッション的立ち位置
  • 二葉は光と超おじから大切にされてる
  • 光と超おじの力関係
  • 光はいたずらっ子、超おじは真面目で聡明 怒るとちょっと怖い
  • ミンちゃんと王子のペア感
  • ミンちゃんのすぐ手が出る感じ(王子に対してだけ?)
  • 王子はバカやってるキャラクター

これくらいの情報がドバっとテンポよく。

タイトルロゴまでの数秒(カット数でなら5枚+ラスト、ヒロインのアップ一枚)で、この五人のキャラクター性と関係性がまるっと伝わる。

日本放送版はここの静止画切り替えのタイミングが粘りすぎで、ストップモーションみたいになっちゃってるのがすごく残念。差し替えた楽曲のほうでAメロの入りにタイミングを合わせた結果こうなったんだと思います。

のち、炭酸→シュワシュワ→湧き上がる泡からのイメージそのままに水玉のエフェクトと一緒に浮かぶタイトルロゴがデーン。気持ちいい。やっぱり青春と炭酸は親和性が高いような気がします。『初恋サイダー』なんて曲もありますし。いやむしろここは『ヒロインになろうか!』に繋げるのが本当のテクニシャン……。

あとはサビに入る前の、二葉がボーズを追っかける走りがカメラワーク決まってて美味いですよね。グッズさん@doggoozが担当されているカットです。TL遡るとこのカットの原画が見れます。(すごい遡ることになりますが)

サビの入りが違う

盛り上がりがピークになる山場的な走りカットとともにサビに入るのが原語版で、日本放送版だと数秒あとの、流線背景でスピクローが登場するカットがサビの頭にくる。原語版のタイミング好き。

OPサイズが一緒だとは言っても、流石に展開まで秒数単位でシンクロさせるのは無理があるのは承知。まったく一緒にしても面白みにかけるし……とは特に思っていない。

OPの置き場所が違う

原語版だと、靴が脱げて西門が召喚され、そのあとに片方靴なしの二葉の足をカメラが抜く。

スピクローのシステムを観客が察して、にわかに心が盛り上がったところでOPに入って、「盛り上がってまいりました—-!」みたいな仕掛けになっている。だから第1話にして、挑戦的ともとれる長めのアバンだったのです。

一方、日本放送版はド頭。世界観の前フリもなくしょっぱなからOPぶっぱ。

「馬鹿野郎、注目もされていないアニメの始まって14分なんてどれだけ残ってるかもわからんところに大事な曲預けられるか。聴いてもらわないと意味ないでしょ。しょっぱなだ、しょっぱな」

──みたいなやり取りがあったら、面白いですよね。(面白くない

ただの邪推なんで無視してください。

とにもか、日本放送版では、二葉の足のカットから一呼吸おくことなく二葉の暗い回想に行っちゃうので(原語版だとOP映像を経ていたので、区切りが明確だった)、なんかその編集あんまり活きていないよなーとか思ったり。

原語版での言語振り分け

オリジナルは現実世界も異次元世界もずっと中国語です。当然ながら。

日本放送版のみ、現実世界では中国語(画面下に字幕が出る)、異次元世界にいる間は日本語での会話という構成になってます。メソッドそのものは面白い。意図はなにかと聞かれると困るが。次元が変わったことの説得効果でしょしか言えないが。

『TO BE HEROINE』第1話より
『TO BE HEROINE』第1話より

原語版で二葉を演じているのが咩咩.MieMieさん──メエメエさんでいいのかな──という(おそらく)中国の声優の方で、なんとも言えないが、良い。ドーラの息子がシータを見たときの「いい……」的なニュアンスです。

なんというか、中国にも東山奈央はいるんだなって思いました。

これは萌え演技のアイコン的存在としてあまり深い意味もなく東山奈央の名前を持ってきただけで、これを発端に喧嘩とかマジでノーサンキューなんで。声質はどちらかと言うと小松未可子とかに近い気がする。
【追記】2話とか観ると、全然そんなことなかったぜ!【追記終わり】

日本放送版では回想含む現実世界パートで咩咩.MieMieの声が聴けます(原語版では異次元世界パートの照れ演技とか照れ演技とかが聴けます)

EDの歌詞と連動した画

コナミの某ゲームライクなステップアイコンが上昇していくのをバックに上手にダンスをするボーズ。

ちゃにめさんの『TO BE HEROINE』記事で知ったんですが、原語版のEDの歌詞って「バイバイ私の服」みたいなことを歌ってるんですって。だからボーズが服をポイポイ捨てていくわけなんです。

TO BE HEROINE ED
『TO BE HEROINE』EDより

歌詞と画が連動している点でいえば、『干物妹! うまるちゃんR』の「うまるん体操」が同系のEDと呼べるんじゃないだろうか。あれも「まずは”こうして”ハムスターのポーズ」なんて画ありきの歌詞がなかなかにエグかったです。二番にいたっては「次はこうして魚のポーズ」が出てくるけれども……。

日本放送版はそういった部分で画に対しての距離が離れてますね。

原語版が観たくなったんじゃないですか?

ビリビリ動画で公式な配信として観られるんですが、なんせ全部中国語なので、中国語が1ミリもわからない私は、物語や会話の内容は画から推測で処理しています。そのあとに日本放送版で細かい補完をする、みたいな視聴スタイルをとってます。

一度チェックすることをオススメします。

おしまい。サイチェン。

参照リンク

アニメ『TO BE HEROINE』公式サイト

『TO BE HEROINE』第一話(日本版)/ニコニコ動画

『TO BE HEROINE』第一話(原語版)/ビリビリ動画

ハオライナーズによる中国新作アニメ「TO BE HERO 凸変英雄 LEAF」第1話配信開始/中国アニメブログ ちゃにめ!

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