だいぶ前になりますがイマジナリーラインの話をしました。絵が下手で見れたもんじゃないですが、今回もちょっとだけそのあたりを踏まえた話です。
本作の見所といってもよい寄席のシーン。
基本的には真ん中にどすっと噺をするキャラクターを据えて撮っています。なので、噺家とお客さん(の中心)にラインが引かれてものを私達は見ています(絵が汚いですが、上に伸びてるのではなく奥へと伸びてるイメージで)。
といった前提のもと、第1話の『出来心』と第10話の『死神』の2つの落語シーンでのカメラがちょっと面白かったので、早速見てみましょう。
一人多役へのアシストをするカメラ
通常噺家は座布団の位置から動きません。
口調と表情、そして顔の向き(←ココ重要)でキャラクターを一人二人と演じ分けます。
右を向いて喋り、今度は左を向いて返答をする。こうして会話を成立、進行していくんです。
なつ「まあ初歩の初歩、基本ですね」
でも画的に真ん中で首だけ横に振ってるだけだとどうも単調でつまらないものになりかねない。
そこで一工夫入れます。
第1話の『できごころ』
『できごころ』にはキャラクターが同時に三人でてきます。大家、家主、泥棒です。
動きを生む目的で役が変わるタイミングに合わせてラインを右や左に移動しながら顔のアップを撮る。
すると不思議なことに、1人しか役者がいないのに画面上はリバースショットになっている! これは面白いですね。
この三枚の画像。私が描いた上の絵で説明するとA→B→Aとカメラが移動していて、キャラクターも変わっています。
泥棒→大家→家主と切り替わっていきます。この連続疑似リバースショット。いい。
第10話の『死神』
こちらは八雲の『死神』。
さきほどイマジナリーラインを跨いで擬似リバースショットみたいなことを言いましたが、イマジナリーライン上にカメラが入ると(立っていると)どうなるか、大抵がPOVみたいな画面になります。
point of view──人間の目から見ているような画面。FPSの画面。
イマジナリーライン上にカメラを置くと、POVの画面になり、向き合った役者はカメラ目線になることが多いですね。
ここでは後ろのロウソクの山があからさまにずれるような画にして、カットが変わったことをわかりやすく表現している。そうすることで死神と男が対面して会話をしている、というのがすっと理解できる。
第1話 絵コンテ:畠山 守
第10話 絵コンテ:名村 英敏
後日談というか今回のオチ
今回はまともな文がかけたんじゃないですか。
なつ「いやあ、どう見ても……乱文でございます」
おしまい。
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