テイオーとマックイーンの関係性、色の対比について(『ウマ娘プリティーダービー SEASON2』第12話より)

ウマ娘プリティーダービー SEASON2第12話 演出・分析
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トウカイテイオーとメジロマックイーンの関係性に何度目かの変化が起こった回。変化というか熟成というか、ほとんど完成と言ってもいいかもしれない。

その対等な関係性を映し出す対比の効いた画面が良かったなという感想の第12話でした。

ファーストカットが対称的で視聴にも気合が入ります。

ウマ娘プリティーダービー SEASON2第12話
『ウマ娘プリティーダービー SEASON2 』第12話より

では始めます。

DMM TVはアニメと舞台が強いですね

水平のロングショットが好み

「ウマ娘」でたびたび出てきてはいたんですが、このロジャー・ディーキンスお得意の真横ロング・ショットが好みなんですよ。ロングか?

ウマ娘プリティーダービー SEASON2第7話
『ウマ娘プリティーダービー SEASON2』第7話より

ショーシャンクの空に ロジャー・ディーキンス ティム・ロビンス モーガン・フリーマン
『ショーシャンクの空に』より

肩越しショットでは測れない両者の距離の「空き」が絶妙なんですよね。

遠く観客も眺めるような窺うような、立ち入れない距離感。この距離感に「消しきれない警戒心や心の壁」「どこまでいっても他者である」とか「最後は自分でどうにかするしかない突き放し」とか、そういう無常のSAGAが生まれるのです。

引きのカメラとは関係ないけど、影と日なたで境界線演出にもなっています

特に「突き放し」の演出では、画面の端と端にキャラクターを立たせてロングショットで距離を大きく開ける、はド定番です。片方のキャラクターはフレームアウトして、画面に一人だけおいてけぼりくらうなんてのもよくありますね。

ま、ともかく、励ます立ち回りで右側に立ていったトウカイテイオーが、第12話では左側に来ているのは面白いですね。

ウマ娘プリティーダービー SEASON2 第12話,トウカイテイオー メジロマックイーン
『ウマ娘プリティーダービー SEASON2』第12話より

トウカイテイオーとメジロマックイーンの配置と色の対比

第12話は特に後半、メジロ家の私有ターフ?(競馬用語に詳しくない)での一幕がすごい良かったですね。

雨が降って銀残し調といいますか、画面が薄暗くなってます。雲はくもり、芝やジャージが雨で濡れることによって色の鮮やかさが失われて全体の明度が下がっているのですね。

雨とマックイーンといえば切っても切れないものがあるというか、味方に思えた「雨」を逆手に利用してちょっとシリアスな、ネガっぽい雰囲気が出てます。こういうときの目元のハイライトの光源はどこにあるのだろう、とかは気になるところである。

ウマ娘プリティーダービー SEASON2 第12話,トウカイテイオー メジロマックイーン
『ウマ娘プリティーダービー SEASON2』第12話より

トウカイテイオーとメジロマックイーンの距離感は縮まっていきます。

ウマ娘プリティーダービー SEASON2 第12話,トウカイテイオー メジロマックイーン
『ウマ娘プリティーダービー SEASON2』第12話より

しゃがみ目の高さをあわせるトウカイテイオー。二人が画面におさまり、カメラも距離を詰めます。

色のバランス感覚

このカットが話中一番好みで、すごいバランスがいいなと思うのです。芝、木々、曇り空の三分割法やキャラクターのポジションもさることながら、目を引くのは色のバランスの良さ。

ちょっとキャプチャの場所を間違えて空が晴れたタイミングのカットを選んでしまいました(雨が上がるタイミングと気持ちの整理がつくタイミングが合わさっていました)

色のポジションだけを抽出するとこんなイメージになります。

ウマ娘プリティーダービー SEASON2第12話

背景は都合よく「安定した舞台装置」と見なして、二人の配色を見てください。

寒色と暖色が対になっているのです。

ウマ娘プリティーダービー SEASON2 第12話,トウカイテイオー メジロマックイーン

つ……強引だ。

お互いに持っているものに繋がりがあるというか、太極のようなイメージが湧いてきますね。

太極 - Wikipedia

影なくして光もないような陰と陽の補完関係。人生山あり谷あり、晴れの日もあれば雨の日もある……と強引にそれっぽくすらないことを並べてます。良かったって気持ちだけで特にオピニオンはないので。

良いですよね。これが伝えたくてわざわざクリスタで絵を描きました。

ウマ娘プリティーダービー SEASON2第12話メジロマックイーン
『ウマ娘プリティーダービー SEASON2』第12話より

憑き物がとれたように弱々しく一息をつく大西沙織の演技が良い。

ウマ娘プリティーダービー SEASON2第12話
『ウマ娘プリティーダービー SEASON2』第12話より

ラストも一点透視図法好きにはたまらない対称カットで締め。収まりが良いですね。最終回を前にして、きっちり整理のついた良回でした。

『ウマ娘プリティーダービー SEASON2』第12話
「ふたり」

脚本:永井 真吾 絵コンテ:堀米 健二

演出:佃 泰佑 / 及川 啓

美術監督:岡本 穂高 色彩設計:中野 尚美

第12話エンディングのささやかなサプライズ

対等とも合同とも受け取れる二人だから、EDの歌のパートが入れ替わっても双方向性のメッセージは崩れることもなく、逆方向へのPANにも面白さがありました。

ウマ娘プリティーダービー SEASON2第12話

『ウマ娘プリティーダービー SEASON2』EDを編集

PAN云々の用語は置いといて、トウカイテイオーからメジロマックイーンに向けた歌と認識していた楽曲が、メジロマックイーンからトウカイテイオーへの想い歌に変貌した瞬間でした。

第12話はトウカイテイオーからの叱咤と励ましなので、左から右(テイオーからマックイーン)が正位置のようにも思えますが、感謝の気持ちを歌にしていたのであれば、そのベクトルはマックイーンからテイオーに、つまり右から左が正位置です。ややこしい。

雨やら木漏れ日やらエールやら

ED曲『木漏れ日のエール』の歌詞を引用します。

通り雨に凍えながら ぎゅっと膝を抱いていた だけど
諦めそうになった瞬間に 背中に感じた願い

運命の意地悪 そっと蹴飛ばせる私へと
大丈夫 なってみせる

ほら降り注ぐ冷たさも いつかはきっと変わってくよ
何度だって 光れる 夢と一緒なら
まだ駆け抜ける 途中でも 信じられるよ この道を
Believe to run
エールが聞こえてる 木漏れ日のように

もろに第12話の内容じゃないですか。ほっこり。

パートが入れ替わるサプライズにはにんまりしましたね。こういうのを予想できるワルい視聴者になりたいものです。

第12話、好きな回でした。

おしまい。

※本ページの情報は2024年7月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください

関連リンク

TVアニメ『ウマ娘 プリティーダービー Season 2』公式サイト

 

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