一見 はなこが主人公、あるいは雲雀ヶ丘瑠璃が主人公のように見えますが、成長するのはなにも主人公だけの特権ではないわけで。
萩生響(以下めんどくさいので響)を愛でる見方だってあったと思うんですよ。三橋や伊藤もかっこいいけど、今井を応援したくなるときってあるじゃないですか。
だいたいそんな感じ。
ポンコツだからこそ愛おしいんじゃないですか
学校が視野に入っていながら、視野から外すように右に向かっていくのはポンコツを通り越してDisableの領域のようではありますが、このあたりのキャラクターメイキングにまず私は脱帽しました。
「方向音痴」ってキャラ付けは過去にも多々あったし、いまどき珍しくもなんともないですが、このレベルの描写を入れてきたことに少なからずの驚きはありました。私のチンケな発想ではまず出てこないキャラクターだったなと。ブレーキかけちゃう。
私のなかの常識フィルターが許さないと思うんですよ、あの子のダメっぷりって。そこを突っ切った作者には感服する。
CVも山村響 嬢(アルペジオ:シャキーーーンの人)でOPの「強い自分になれそうだいっ」がかわいい。ら行が光る人ですね。
そんななかですね、第3話くらいまでは、はなこ組3人とサブポジっぽくレン・響の2人組がライバル的位置づけで配置されていて話の中身も薄めだったんですが。
第4話ですかね、「ハッピーアイテムを探せ!」 みたいな課題を出されて、ようやく5人揃った意味が出てきて。
この回の響はまあよくある「ツンデレ本当は優しい子ちゃん」だったんですが、大事な役どころでもあったのです。
絵コンテ:どじゃがげん 演出:日下直義
と、これ、スタジオジャイアンツのハウスネームのようです。
東堂いづみや矢立肇のようなものですね。
この回以降から、サウスパークに似たタイプのやや強引な締めへの持っていき方ではありますが、脚本がすこぶるよくなります。1話内でしっかりと話を締める、と日常モノで大切なことがしっかりできていて視聴後もすっきり。
第7話とかも「強引だなーww」なんて思いつつも──
はなこ「また失敗してしまいました……」
小平先生「そんなことありませんよ……云々」
『カリオストロの城』銭形のとっつぁんの「あなたの心です(キリッ」くらいの有無を言わさぬ説得力があって、もうそう言ってくれるならオールオッケーな感じがする。
脚本はシリーズ通して田中仁・伊藤睦美の両名がローテーションで担当。2人だけってちょっと珍しい体制ですね。この両名(というかタッグかしら?)はこれからどんどん仕事が増えますね。間違いない。
EDで見るポンコツ響の自立(ひとりだち)
OP『PUNCH☆MIND☆HAPPINESS』作曲の田中秀和。
ED『明日でいいから』作曲の広川恵一。
そして、両作詞の畑亜貴。
鉄板すぎる布陣で、『明日でいいから』は2016年で一番好きなED楽曲でした。
サビでBPM変わってしかもあのメロディと歌詞は、もうそれ反則ですよ。やめてくれ、励ましソングは私にめちゃくちゃ効く。てな感じ。
「毎日一緒」の使いかたがほんとに秀逸。
落ちサビの前に「じっくり考えても ダメなときはダメだし」って歌詞があって、これを響が歌うんですよ。いい感じの諦観を持って。
落ちサビ(間奏後などの落ち着いたサビ)って、そのタイアップ作品の主役か準主役が歌うのがセオリーだと思うんですよ。一度真ん中に軸を戻す効果なんか含め。音が落ち着いてる大事な箇所だから、上手い人を持ってくるパターンも有り。
はなこが歌うのがセオリー1、あるいは雲雀ヶ丘瑠璃が歌っても良かったであろうところで、ポンコツ響にここの歌唱を用意する配置がまた……くる。涙腺に。
自身の報われなさについて──ポンコツゆえの苦悩ですよね。『学校Ⅱ理論』とも換言できそう。
前を歩く響
レンにべったりで完全に依存していた響がはなこたちに出会い、(レンが視界に映らない)先頭をまっすぐな目で歩く。自立する強さを手に入れたような。それを見守るレンの心強さ。
「一番が好き」だからという解釈もありですが。
それぞれの歩き方・腕の振り方にキャラクターの性格が出ているのも非常にいい。♣が進行方向と逆に向かうことでフォローの効果もよく出てる。響がはなこと牡丹の間をすり抜けるときの重心移動とかの細かいしぐさもいい。とにかくいい。
最終回での響
何かと敵視していた雲雀ヶ丘瑠璃に対しても”名前呼び”を提案。女の子は素直なのがやっぱり良いですよね。
たぶんこの子たちはクラスが一緒じゃなければ、もっというと接点が少なければ、こんなにお互い成長し合えるほどに仲良くならなかったと思うんです。
またEDの歌詞からの引用になっちゃいますが、そういうところ含めて「嬉しいな 意外なつながりよ ありがとう」で結んでくる畑亜貴の凄さ。この不幸は最後には不幸じゃなかった、的な、人生肯定ですよ。やだなあ、眩しいなあ。
余談:第10話の時間差びっくり
もうひとつ演出で面白かった回があります。
10話の夏祭り・夜の学校探検の回ですが、肝試し中の驚きアクションが面白かった。
暗い部屋に入って懐中電灯を照らすとその先におっかない物があった、というシーン。
おっかないものを認識(これは1枚目)→顔のクローズアップが3コマ(ここはまだ沈黙)→学校俯瞰&オフ台詞で叫び声が入るという流れ。gifに滑らかさがなくて申し訳ないが。
この時間差の使い方は秀逸でした。おっかないものなんかをみたときって頭が「?」になって、ちょっとタイムラグが起こるもんなんですよね、認識までの。その表現。
すぐあとに天丼。
gifに滑らかさがなくて申し訳ないが(天丼
オモシロイな。誰だこの回の担当は……
絵コンテ:どじゃがげん/演出:日下直義
ちょっと注目しておきましょう、どじゃがげん。
OPのよもやこぼれ話
OPの『PUNCH☆MIND☆HAPPINESS』、これBPM155くらいですが、制作過程のどこかで「BPM110くらいにさげてモータウンっぽいのもいいなあ」みたいな話があったんじゃないかなと思ったんですよ。
モータウンというのかブラック・ミュージックというのか。テンプテーションズ、あるいはEarth, Wind & Fireあたりの香りがしなくもないですよね。首を横に振るノリっていえば伝わりますかね?
とにかくそんなことを思ったって話。
AIMPとかのBPMやピッチをいじれるプレイヤー持っている人は試してみてください。私の言いたいこと、すこしわかると思うんで。
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