Twitterの評判にそそのかされて『呪詛』を観ました

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Netflixオリジナル『呪詛』観ました。観ましたが、あんまり心に残る作品にはならなかったです。

Watch Incantation | Netflix Official Site
Six years ago, Li Ronan was cursed after breaking a religious taboo. Now, she must protect her daughter from the consequ...

Netflixのリンクってどうやって綺麗に貼るんだ?

この作品の存在を知った経緯が良くなかったのかもしれない……と恨みがましく思っていて、つまりTwitterで評判の声をちょこちょこ見たのです。あの人とかあの人とか、ちょっと大げさに映画紹介する人達とか……。

記事のなかで鑑賞のうまみを削ぐ発言(ネタバレ)をするつもりです。”許してほしい”

そういう人たちがやたらと怖かったとか見てほしいとかプッシュするもんだから、最初は「これは案件なのかなあ(そんなのあるのかなあ)」とか考えていました。とはいえ、ホラー作品も決して嫌いではないので、掘り出し物になればいいなとひとまず観ることにしたのです。まさに怖いもの見たさ。

で、『呪詛』という映画に怖さを感じたかというと…………別に。リメンバーサワジリ

何を怖いと思うかは人それぞれですし、怖いかどうかなんて程度問題の最たるものなわけで難しい問題ではあるのですが。ただ、ひとつ付け加えるなら、個人的な技能やスタンスによって「面白がれる」ことはできても「怖がる」ことは正直な感情を優先するとけっこう難しいというか、ほぼ無理じゃないでしょうか。痛がる同様。恐怖は理屈より先に来るものだと思うのですが、どうなんでしょう。小中理論でも履修するか。

とはいえ、集合体恐怖症とか多足類は遠目でもダメとか、そういうのは否応なしに怖くなると思うので、「全然大したことなかったよ(ニヤニヤ」とは軽々しく言えないというのもありますね。耳なし芳一みたいにお経を体に描く描写とか出てきますが、ああいうのも受け付けない人はいるだろうし。

あとは、ジャンプスケアも何回かありましたね。3回はあったような。ホラー作品の言及のたびにジャンプスケアのあるなしを明記するの、めんどくさいな

通常、ジャンプスケアには大音量で響く「ドゥーーン」という重低音とインパクトのある映像がセットになっているのが定番ですが、そこは台湾ホラー作品ということも作用しているのか、大太鼓的な音色ではなく、銅鑼みたいな音が使われていました。

「ギョリリリリー!」みたいな。これはちょっと発見でした。

一番印象に残っているのは、「その人に何かが入っていって、もうその人ではなくなっている」という移ろいの描写。喪失の描写に怖さを見ることはできたものの、どうにも絶望の一歩前が漂っていない感じ。怖いというよりは痛々しいとかの方面だったからかな。

 

最終的な鑑賞後の感想として、前情報がなかったら不満もなかった。「紹介の案件」ではないと判断したものの「ノリの合わない勧め方」だった。

全然面白くない、とは言わない。でも、楽しい映画体験ではなかった。

そこで思ったのは、もしかしたらこの映画は、UGC誘発型の作品だったのではないかと。

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「UGC誘発型」の作品は増えるのか?

UGCというのは「ユーザー生成コンテンツ」の略称なんですが、ざっくり「口コミ」と理解しています。

近年は、公式の宣伝ツイートよりも消費者側の賞賛ツイートのほうがよりダイレクトでリアリティがあると感じる効果があるんですって。商売臭さがないってことかもしれません。

たとえば、コメダ珈琲の公式が「新発売の○○です。ぜひ食べてみてください」とやるよりも、とあるユーザーの「新しいコメダの○○、食いきれない。これは罠」とかの”ノリ”の効いたツイートのほうがウケるし広がるし、食べてみようかなという気にさせて、店舗に客を運ぶことになるわけです。

つまり「口コミ誘発型」と言い換えても良し。

語りたくなる「とっかかり」を用意する施策

UGC誘発とはどういう作りか、ただ面白い作品を作るのとは違うのか。やはり純粋に作品の強度を上げていく方法論とは少し違いがあるように思います。

話題に上げたくなるような「とっかかりを作る」施策があるかないか──という点に注目したい。

どんな作品にも山場はあるでしょうから、それがつまり「取っ掛かり」ではないかという感じもしますが、ここでは「いじりやすい」感じ「誇張した比喩がハマる」感じ「作中の世界観を引っ張ってくる」感じ、そんなニュアンスです。自分でもよくわかってないが。

ただ「面白かった」という感想を口コミで拡げるのではなく、自分のフィルターを通した気にさせつつ面白おかしく伝えられるような錯覚を味あわせながら口コミをさせる。そういったいじりポイントを作っておくような。本当はいじらされているのだが、当人は気がついてない。

つまり「ミーム(のタネ)を入れ込む」といった工夫。入れ込む、という表現が気に障るようなら、「取り入れる」としても可です。

『シン・ウルトラマン』の作中でも「○○、私の好きな言葉です」というセリフがあって、○○の部分をアレンジして何かを言うのが流行りましたね、一瞬。ああいうのが、私が思う「ミームを入れ込む」です。

なんかああいうの組み込みながら、うまいこと言いたい病に長いことかかってる人、増えてるでしょう。

『呪詛』の工夫(KUFU of JUSO)

『呪詛』にはある映画的・視覚的工夫が為されています。

作中ではフッテージが登場し、それを観たり関わったりした人たちは次第におかしくなっていく「呪いの構造」があります。そのフッテージが後半の話の中心にあるわけです。

そして、観客もこのフッテージ(の本編)をみることになります。1分以上視聴者は観ることから逃げられない状況下に置かれます。「フッテージを誰かが観ている映像」ではなくて、「フッテージの映像そのもの」が流れます。

リング』でいうところの、松嶋菜々子が襖を開けたら娘が「砂嵐」を観ていたあの構図ではなく、最後の真田のPOVのあのような感じ。ギャスパー・ノエ的な地獄。

で、それが何なのか。

タネとしては、「呪いを分散する(軽減する)ためには、多くの人間が観る事が必要だ」という論理が展開されます。つまり「この呪いのフッテージをたくさんの人に見せろ」という行動が誘発されます。

なるほど。どうしてTwitterであんなにこの作品を「観させよう」とする運動がそこいらであったのかの理由が判明しました。

というか、冒頭10分で感づいて、鑑賞後に答え合わせができる感じ。

冒頭10分で感づくという情報がヒントになって何かを察知した方、申し訳ない

そんなわけで、Twitterでの「ぜひ見てほしい」は呪いの拡散の片棒をかついどるわけです。そういうノリを楽しむ施策が凝られてるわけです。

中途半端にボカしてるから理屈がわかりにくいかもしれない

ネタバレが嫌いです。でも変なススメ方はもっと嫌いです

まあそれを「してやられたなあ」と楽しめるか、「そのとっかかり以外に面白い要素は薄いじゃねえか。真っ当に作品を評価・紹介してくれよ」と思ってがっかりするかは個人の包容力によるのかもしれません。

私は変にハードルを上げられてそれを超えてこなかったこと、紹介の仕方にキナ臭さを感じたことがブレーキになって、端的に言えば「印象が良くない」。

作品が悪いわけではないのだが……と思ったが作品が悪いかもしれない。難しいな。

こういうのは、UGCがハマってうまくハネて短期的なインスタントな盛り上がりは作られるものの、あとあと冷静になったときに遺恨を残す結果を招くと思うんですよね。体験後の価値が体験前の期待を超えなかったりした場合は。

少なくとも私は、ああいった人の褒めや薦めを真面目に受け取らないようになるでしょう。

 

そんな感じで〈Twitterの評判にそそのかされて『呪詛』を観ました〉という話でした。

おしまい。

関連リンク

私が思い出す「あれ、なかなか見どころあったんじゃないかな」ホラー系の映画(注意ポイントは細かく書きません)。

  • 怪怪怪怪物!』台湾モンスターホラー。ドラマがある悲壮ホラー。スイカジュースください
  • コンジアム』韓国の廃病院肝試し中継。ヤバイ感じ、が伝わってきてよし
  • ライト/オフ』映像化することで真価を発揮したようなホラー映画。
  • イット・フォローズ』なんてもん持ち込んでくれとんねん、という要素で思い出した。じんわりとしたカメラが特にいいです。セクシャル描写ややあり。
  • 残穢【ざんえ】-住んではいけない部屋-』Jホラーの傑作。不気味、不穏な空気感がいい。手繰っていくと、根は同じ

(現時点でNetflixにない作品はAmazonプライム・ビデオのリンクを貼りました)

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