※2020年の冬にポシャった自主企画(というか分析ネタ)です。
ただただ今期放送/配信のアニメ作品のなかから、気になった目元を見ていくだけの企画。
「目の付け所」なんてタイトルから、注目すべき今期の作品の見どころが目白押しなんだろうと期待した方々、目論見が外れましたね。ただの釣り記事です。釣り記事三平です。←このあたりが2020年冬である。
目の名称と構造がそもそも理解できていない
虹彩とか瞳孔とか、まつ毛とか、よくわかってません。水晶体については『バトル・ロワイアル』で学習しました。「ハイライト」の扱いもたぶん間違ってます。きっちり勉強できる教材を教えて下さい。
そんなわけで、誤認識したままの部分が散見されそうですが、温かい目で見てください。
『灼熱カバディ』の目
『灼熱カバディ』の目が面白いのは、ハイライトの処理です。撮影で光らせているのは他作品にもいくらでも例はあるのですが、黒目のフチを超えた、白目の領域で光を広げているのがちょっと類を見ない処理ではないかなと。
『SSSS.DYNAZENON』の目
楕円形の横向きハイライト。目全体も平たいのでそこに準拠したのかもしれません。
「SSSS.DYNAZENON』は黒目部分の配色がエレガントです。○○の明るい蛍光緑ベースも同様、引きのロング、フルサイズのショットにおいても、目元の色に目が行きます。さらに、瞳孔の着色に「ピンク」を挿入する色使いはかなり思い切りがあります。浮き上がるのがデメリットになるかメリットになるか、もう少し保留したいところ(全話未視聴)。対比する存在があらわれると物語的な文脈も載ってくるはず。
黒目の下部は、下先割れタイプで、けっこう珍しいと思います。今期のラインナップでも類似タイプはなかった(はず)です。
『幼なじみが絶対負けないラブコメ』の目
これはまた工程の手が込んでそうな。
ハイライトが6つ。標準的な白ハイライトが左上部にあり、反対側にベースカラーにグレーを混ぜたもの(彩度を落としたもの?)。中間、下部には、オレンジ・ピンク系の明るい黒目に対応した小粒のハイライト。さらに補色のハイライトもひとつ。
顔がアップになるクローズショットなどでは基本的にキャラ表通りに書き込むようです。大変そう。
キャラクターによってベースカラーに違いがあるので、着色されたハイライトもそれぞれ異なります。大変そうだ(2回目)。
黒目の下部は花のように上向きに開くタイプ。グラデーションはかけずに、明確に線引きしています。
寄りのカメラによっては描き込みが増え、分かれのかたちが変わります。
動画工房作品の色彩設計といえば、石黒けい(『未確認で進行形』『月刊少女野崎くん』)と伊藤裕香(『恋する小惑星』『NEW GAME!』)の二枚看板という私の認識ですが、本作は真壁源太(『ダンベル何キロ持てる?』『放課後ていぼう日誌』)がクレジット。
『ドラゴン、家を買う』の目
虹彩部分の、縦にあるいは円形に分離しているのは「上まつ毛」の影が落ちているから、というのが解釈のひとつとしてあるのですが、このドラゴンには上まつ毛のハネが意識的には描かれていない。爬虫類の特異性なんでしょうか(爬虫類なのかしら?)。
そういえば最近、上まつ毛は男子や青年には描かれているのが少ないという傾向に気が付きました。サンプル数は全然ないんですけど。つまり上まつ毛は「女の子らしさの象徴の部位(特権?)」なのかもなと思ったりしています。女装男子、男の娘、美少年は女の子性に寄せたいときに上まつ毛を描くと演出の強度が倍増するのではないか。
『バクテン!!』の目
「平均的な目」かなと思うのですが、白目にかかる影の面積比率が平均を確実に上まっています。これはまぶたの影が白目に落ちている描写ですが、上を向いていても、下を向いていても、だいたい半分くらいは影の面積になります。ちょっと見にくいです。それでも『波よ聞いてくれ』のポイント影よりは集中できないほどでもないですが。いきなりの流れ弾ごめんなさい。
『転スラ日記』の目
この画像だとわかりにくいですが、「転スラ」シリーズは髪の色とまつ毛がセットで着色されています。そのカラーに寄せるなどではなく、ほとんど同色です。ちょっと異国(ファンタジー)情緒がありますね。
ハイライトの大きな塊が下部に寄る、少数派な配置。そもそもどうして1番大きなハイライトが上部に寄るスタイルが溢れているのか。眼球が球体である以上、カメラが目よりも下にあり、第一光源(ハイライトは光の反射である)が目よりも上にある太陽から発する場合は、上部にハイライトがくるのは想像できます。しかしキッカーライトなど、光源が被写体の下にあってもハイライトの型は変わらなかったりもします。
「ハイライトは上部に大きく描くもの」という慣習だけが定着しているのだろうか。よう知らないが。
『シャドーハウス』の目
黒目(青系)の下部にかかるピンクの斜線がかわいいです。ハイライトにも撮影の光が入っています。LEDのようなシャープな真っ白い明るさではなくて、白熱灯のような暖かみのある金色がかった輝きがランタンの出てくる文明レベルに合っていてよい。
ハイライト回転も登場し、原作にはない美しさがあります。原作の粒子系の黒目も大好き。
近年よく見かける(※最近気づいたの意)まつ毛にグラデーションを入れて髪のカラーに寄せたりする手法が施されています。ベースカラー関係なくまつ毛の端っこだけ赤く染めるタイプもありますね。黒のままよりもこっちのほうが全体的に馴染むのでしょう。金髪にしたけど眉毛だけ黒いままでやたら浮いていた知人を思い出しました。
『カードファイト!! ヴァンガード overDress』の目
『カードファイト!! ヴァンガード overDress』第1話より
斜めに整頓されたハイライトの配置が好きです。サブのハイライトが全部小粒なのもグッド。上まつげのハイライト(ハイライトですよねこれ)も描き込み量は多め。最近、まつげの描き込みも増えてる傾向にあるんじゃないでしょうか。
それにしても、下のまつ毛が濃いですね。名誉のために付記しておくと、このカットは女装している男の子(ユウユ)のもので、そういう「未完成」な演出でもあるんでしょう。メグミさんは、普通っぽく毛のケアが行き届いてます。
『カードファイト!! ヴァンガード overDress』第1話より
『擾乱』の目
『擾乱』のまつ毛の描き込みはいいですね。眉毛がつくる影の広さ、まぶたにかかるハイライト(影のかからない部位の意)の残し方。なにより球体のなだらかな表面を感じさせる丸みの質感。抜群です。白目部分の影の形からも球体を感じますね。
『異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術Ω』の目
まつ毛のかたちに反転処理を感じる(聞き流してください)。
ハイライトを小粒に散らしていて、なおかつまつ毛影の影響も加味しています。要するにただの真円形ではなくて、小さい楕円に近い形。
多くの作品では黒目上部はほとんど(ベタ)塗りの領域なものですが、「異世界魔王~」は上部にも細やかに線を入れています。同系色の濃淡による違いを出していて、補色によるワンポイント的なテイストとはまた違うまとまりがあります。
瞳孔とまつ毛尻が二段階になっている点も手が込んでいるかなと。
『イジらないで、長瀞さん』の目
鼻の上でバランスがとれているなんて高性能なメガネですね、という10年前のいじりは置いといて。
1番眼球で演技をしているのはもしかすると長瀞さんなのかも。と思わずにはいられないその瞳孔の縮小っぷりに目を見張ります。動物的というか爬虫類的ななにかを感じます。
だいたいは黒目のグラデーションを塗りでなだらかに描写しているケースが多いのですが(下の画像)、ときおり黒線で表現しているカットもあり(上の画像とか)、漫画的なところが残っていて好きです。
茶色の黒目が褐色の肌と統一感があって、これまたいい。そこに頬紅が赤く出現してさらに映える。色が散らない。これはいいデザインだなと思います。
彼女の瞳孔がどこまで小さくなるのか、圧をかけて実験してみたくなりますね、嘘です。
『86-エイティシックス-』の目
アニメでは白目はそこまで白くない、というのがよく分かる目だなと。これも髪の色とまつ毛をあわせるタイプですね。でも下まつ毛は黒い。ふむ、よくわからん。
目元に寄るカットではハイライトに滲むような撮影光がつきます。このあたりの光源はモニタでしょうか。目のふちにできるややオーバーなサイズの影は光の強さの反映だと思います。ハイライトは四角になっても面白いかもなんて。
黒目部分の塗りがいいです。
黒目のなかにダークなブルーでベースを作って、さらにその上に数段明るい透明感のあるクリアなブルーを乗っけています。覗き込んだ池の水面と底面が同時に見えるような奥行きのある色使いと、光の減衰具合がめちゃくちゃ好みです。
また更新するかも
年齢を重ね、眼が疲れやすくなってきました。アニメを視聴するのにも体力が必要です。
ぼーっと観るんじゃなくて、制作者の意図を汲み取りつつ想像を楽しみつつアニメの変化を捉えていきたい所存です。嘘です。
そんな感じで〈2021年春アニメの「目の付け所」リベンジ〉でした。
おしまい。
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