『女子高生の無駄づかい』の一点透視図法を用いたレイアウト #jyoshimuda

女子高生の無駄づかい第1話アニメ感想文

女子高生の無駄づかい』面白いです。
おそらく、じわじわと、もっと面白くなるんだろうなと。

なかでも気になったのは一点透視図法を用いた対称的なレイアウトや、平面的なレイアウトがたびたび登場したこと。背景美術もといレイアウトが目を引く第1話でした。

一点透視図法とは消失点が一点で描かれた構図のことを指します。

一点透視図法でレイアウトを描けば必ずしも対称的や平面的な画面になるわけではなく、むしろ平面的な画面よりも、奥まった画面こそ”一点透視映え”する、とさえ私は思っているくらいなのですが。

 

まずは参考画像をどうぞ。

『シャイニング』より
『シャイニング』/『時計じかけのオレンジ』より

 

どちらもキューブリック監督作品内での一点透視図法を用いたレイアウト。消失点がわかりやすいですね。

いかにキューブリックの映画に一点透視図法が巧みに使われているかがパース線も込みでよくわかる映像があるので、こちらもどうぞ。先に出せ

キューブリックの世界

異常なまでに、病的なまでに計算された一点透視なのですが、キューブリックの面白いところはそれだけにとどまらないカメラの動きではないでしょうか。

一点透視図法で撮り続けるには、FIXでカメラを動かさないorパース線と平行に動くor垂直に動くことで画のパワーをキープするのですが、特に『シャイニング』でも見られる「まずパース線上をカメラで移動。それから一旦線上から外れ、またパース線に戻ってくる」動き。一点(透視)、二点、そしてまた一点に収まる画面。これが観ていて気持ちいいんです。90°のPANとは違う趣があります。

ともあれ、一点透視図法が出てくるとすぐにキューブリックとか言っちゃうキューブリック一年生の私ですが、そんな不思議な魅力たっぷりの一点透視図法が『女子高生の無駄づかい』でもしばしばお目にかかれてなんだか楽しいな、という話です。

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第1話の一点透視図法を用いたレイアウト

無駄づかいで見られる背景美術でも対称的なものがいくつか出てきました。

女子高生の無駄づかい第1話 『女子高生の無駄づかい』第1話より 『女子高生の無駄づかい』第1話より 『女子高生の無駄づかい』第1話より 『女子高生の無駄づかい』第1話より 『女子高生の無駄づかい』第1話より
『女子高生の無駄づかい』第1話より

さらに人物を配置した上でも、左右のバランスが均衡になるように美しさを追求した画面になっています。

人物の撮り方、バストショット

人物だけを撮るときは画面中央に被写体を据えて、左右はバランスよく空けるのもよく見かけます。日の丸構図とか三角構図とかに分類されますかね。情報量がシンプルに整理された構図。

『シャイニング』より 『シャイニング』より 『シャイニング』より 『女子高生の無駄づかい』第1話より 『女子高生の無駄づかい』第1話より
『シャイニング』/『女子高生の無駄づかい』より

 

このへんもちょっと通ずる部分ではあるかな、という気もします。といっても、この撮り方はもはやセオリーなので、特にキューブリックらしさが突出しているわけでもないですね。

完全な俯瞰は一点透視図法

真上から見た構図というのも、一点透視図法なのです。部屋の間取り図とか。

『女子高生の無駄づかい』第1話より
『女子高生の無駄づかい』第1話より

女子高生の無駄づかいED
『女子高生の無駄づかい』EDより

 

第1話のコンテを切ったのは、本作の総監督・高橋丈夫氏。

ひょっとするとキューブリックの味付けで第1話を書いたのではないだろうか(第1話だけでなくシリーズ通しで?)。そんな気がしてます。

しかし、一点透視図法だけでキューブリック監督とつなげるのも強引な気もするので、もう少しこじつけていきます。

1カット目マッチカットのらしさ

『女子高生の無駄づかい』第1話より 『女子高生の無駄づかい』第1話より
『女子高生の無駄づかい』第1話より

オタ宅の外観を写した1カット目→オタの部屋の2カット目。

これ実は(というほどのものでもないが)、マッチカットになってるんですよ。c1とc2で。本棚の縦のライン、床、屋根の傾斜などを見てるとわかりやすいです。

『2001年 宇宙の旅』のマッチカット

キューブリックとマッチカットといえば『2001年 宇宙の旅』でやった骨→宇宙船のマッチカットなどが有名どころでして、ディゾルブを用いない(前カットと後カットを一切混ぜないで切り替える)マッチカットのお手本です。※ディゾルブはオーバーラップとも呼ばれたりしています。

明滅してるので、長い間見ないでください。

無駄づかいも同様のタイプ。

【検証gif】

カットの切り替えのタイミングが非常にそれらしい。BGMとも観客の呼吸とも同期しない絶妙な間。画面のなかの情報を全部把握できたかできないかのタイミングでスパッと切り替える早業。

ディゾルブなしのマッチカットには鋭さがあります。

ディゾルブありだと印象が柔らかくなる

ディゾルブありのマッチカットは、『灼熱の卓球娘』第2話のピンポン玉→月のマッチカットなどが印象的。


『灼熱の卓球娘』第2話より

ディゾルブで繋ぐかどうかは、どっちも良さがあるので好みと目的かなと思います。

その他のモチーフ

キューブリックを念頭に置いて女子高生の無駄づかいを観ていくと、ただのモニュメントも「あれからの引用では?」なんて思えてきます。

『女子高生の無駄づかい』第1話より 『シャイニング』より

これとかはシャイニングの庭園ミニチュアの俯瞰ショットなんじゃないかとか、集合写真で締めるOPも実はシャイニングネタからだったりしないかとか。しないだろ

『シャイニング』より

宇宙の旅でもこの構図見たなとか。まあ映画に問わずいろんなところで使われる配置ですが。

女子高生の無駄づかい 第1話「すごい」

脚本:横谷昌宏 絵コンテ:高橋丈夫 演出:下司泰弘
総作画監督:安田祥子 作画監督:細田沙織 杉光登 青野厚司 津幡佳明

さらには第6話の掃除のカットが『フルメタル・ジャケット』っぽかったり──

フルメタル・ジャケット

女子高生の無駄づかい 第6話
(上/『フルメタル・ジャケット』下/『女子高生の無駄づかい』第6話)

 

時計じかけのオレンジ

女子高生の無駄づかい 第12話
(上/『時計じかけのオレンジ』下/『女子高生の無駄づかい』第12話)

第12話はルドヴィコ療法に似たアイテムが登場したりと、大満足でした。

よくわからんがレイアウトも楽しもう

ここでまた仮想敵をつくるようなことを言うと、京アニやP.A.WORKS作品を観て育ってくると、背景描き込み至上主義的な思想になってくると思うんですよ。キメ細やかさisパワーみたいな。

トレスは手抜き、写真取り込みは甘え、みたいな。

そうなってくると、密度を抑えたものはハナから低クオリティ扱いされちゃたりして、レイアウトというものに意識がいかなくなるんではないかと。そこに仕掛けられた面白みに目がいかないのは残念なことだと、私は私はわりと真面目に憂いたり。

まあ、冗談ですが。杞憂であればいいですが。杞憂ブリック。

仮にキューブリックの味付けがあったとして、「では、なぜキューブリック?」というところまで明快なひらめきがないのが残念ですが、面白いから良しとしよう。

さっちゃんも言ってましたよ、”仲良きことは美しきかな”って。

「すごい」パートアクションとは?

EDのクレジットに『「すごい」パートアクション』っていうのがあるんですが、それがCパートのことなのか、サビのコマ撮りなのか、判断に迷っています。動画クレジットがないからOPのコマ撮りっぽい気がするけど、どうなんでしょうか。

追記:クレジットに変化があるので、どうやらCパートのようです。

コマ撮り撮影の類似作品がジャストで思い出せそうにないので、何か知ってるのがあればご教授ください。

動画は敬愛するバンド、andymoriの『すごい速さ』のPVです。

 

andymori "すごい速さ"

おしまい。

参照リンク

TVアニメ『女子高生の無駄づかい』公式サイト

さんぺい聖監督がアニメ『女子高生の無駄づかい』で描く“バカ”の魅力「理解しようとすると“バカ”というキャラクターではなくなってしまう」【インタビュー】 | 超!アニメディア

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