【アニメ】ジャンプカットについての諸々の考えまとめ【映画】

【下のアイコンを押して あなたの周りにも この記事を拡めてくれたら、 それはとってもうれしいなって】

無彩限のファントムワールド第一話

アニメで見かける”ジャンプカット”について考えていたことがあったので、
ちらっと覚え書き。結論とかオピニオンとかは特にないです。

ジャンプカットとは──

ひとつのアクションを撮ったフィルムを再分断し、時間が跳躍したような映像をつくり新しい感覚の視聴体験を狙った表現技法(あとで例を紹介します)──です。
撮影技法というよりは編集技法に分類されます。

撮影技法と編集技法、両者の違いは「撮影時に行うテクニック(主にカメラの扱い)か、編集時に行うテクニック(主にフィルムの扱い)か」このラインで二分しています。
(パン、T.B、アングルは撮影技法。ジャンプカット、リヴィール、ワイプなどは編集技法。こんな感じ)

しかし、この分類がどこまで市民権を得ているかは不明なので、鵜呑みにしないようご留意。

ジャンプカット・シークエンス、ジャンプカットモンタージュなどの派生系は次の機会にまわします。(いちおうは何か書く予定

これがジャンプカットです

説明下手な私が言葉だけで説明してもあまり有効ではないですし、サンプル用意しました。
百聞は一見にしかず。

二年前に私が掲載した動画。知らない間に伸びてました。

『灼熱の卓球娘』OP gif
『灼熱の卓球娘』OPより

これがジャンプカット。観れば「ああ、これね」となるでしょう。「京アニがよくやるやつね」そうです、あとで京アニのも出ます。
昔は名称も知らないので「大林宣彦がよくやるキング・クリムゾンみたいなやつ」と呼んでいました。

最初に誰が考案した技法かと訊ねられると、ジャン=リュック・ゴダール──作品なら『勝手にしやがれ(1959年)──と答えるのが教科書的回答。ジョルジュ・メリエスのジャンプカットの使い方は現在の”それ”らしい省略的な観点のものではなく、突然ものが変化・出現するといった超高速を目的イメージにしたようなもの。らしい。(作品を観ていないので分かりかねる。不勉強で申し訳ない)

ゴダールによる作為的な発案ではなく、撮影した『勝手にしやがれ』のフィルム尺が長すぎたためにプロデューサーから尺の短縮を命じられ、仕方なく内容を損なわない範囲で部分部分を省略した結果ジャンプカットの始祖なるものができあがった、というエピソードがまことしやかに語り継がれているのである。

この偶然の産物、なかなかに面白くて後に数々の監督にインスパイアされて現在に至る。

アニメと実写の撮り方(作り方)の違い

映画(実写)におけるジャンプカットとアニメにおけるジャンプカットは、視えている画は限りなく近しいですが、作りかたが大きく異なる。

例えば上の例のように、卓球台を挟んで睨み合うまでの画を実写で撮ると想像してください。

実写の場合、ツインテールの女の子が台の奥まで歩いていくところをワンカットで撮ります。
そのあとで途中の歩いている部分を二箇所ほど間引くことでジャンプカットの画が完成します。全体から引き算が行われるわけです。10-1-1-1=7……のような感覚。

アニメの場合は、完成時に使わないと分かっているカット(最終的に省かれるカット)を描くのは原画や動画セクションに大幅な無駄コストが生じるので、絵コンテの時点で必要なカットのみのコンテを書き、使う箇所だけ発注/依頼します。最初から「7」を目指して0→7で制作するのです。効率的ですね。

両アプローチに通ずること、そしてジャンプカットの大前提として、
「元は繋がっていたひとくくりのアクションの流れ」であったことを想起させないといけません。これ大事。

「ジャンプカット」で少し調べると、「『あー』や『えっとー』みたいな隙間は観客の機嫌を損ねるからどんどん切るべき」みたいなyoutuber指南書()を見かけましたけど、それはただのカット編集でしかないから。ただのパッチワークです、それ。

話が逸れた。

ジャンプカットの映像効果は、第一はやはりテンポやスピード感に訴えかける役割が大きいと思います。第二に「反復作業の強調」を演出したいときにもジャンプカットが用いられることがありますが、これはどちらかといえば少し細分化した「ジャンプカット・シークエンス」などが担う範囲に近づいていく──というか反復の強調にはそっちのほうが適しているように思う──ので、別枠扱いにしたいところ。しかしジャンプカットはジャンプカットである。

「反復作業の強調」にならんで副次的な演出かもしれないですが、”省略”編集の手を入れてしまうほどに長時間同様の作業をしている、のような見せ方の場合もあるかと。残した部分を見る考え方と省かれた部分を想像する考え方の違いでしょうか。

ジャンプカットについてあらかたの情報は掴んだと思われるので次のステップに。

FIX系のカメラが多い気がする

FIXとは”固定”という意味で、カメラを動かさない撮影法です。ステディカムなどではなく三脚などを用いて撮るため、カメラを置いて撮影したような画になります。要は、カメラが動かない≒フレームの構図が動かないとの理解で概ね正解かと。

監視カメラの映像やニュースの始まりに差し込まれる街を一望するようなアングル、あれがFIX。

5m21s~、連隊で進行する戦車をやや長くFIXで撮影。
カメラの立っている様子が想像できますでしょう。

「カメラが縦に揺れてんじゃねえか」って?

これは画面動(画ブレ)と呼ばれるもので、「横切る戦車の振動がカメラにも伝わっているね、臨場感が出るね」って演出です。X軸やY軸で調節して動かすのです。

ガルパン作品内の戦車に乗っての対決シーンは車内も車外もカメラマンが立っている(と仮定される)場所は振動が付き物だったので大半が画面動処理を施していました。たいへんな作業。

画面動には、衝撃をより強く見せるために勢いづいて動くものや、不安/焦り/逡巡などを表すじんわりとした動かし方もあります。

どうしてジャンプカットの際にFIX系が多いか、そして引きの画が多いのかについては、(比較すべき)周りの情報を観客に観せないと、ジャンプした感触が伝わりにくいからかな? と思っています。大きく激しい動きのなかでジャンプカットすると気づきにくいですし。 

以上、画面動とFIXのかんたんな説明でした。

京アニのジャンプカット

突然ですが、私のなかの「the 京アニ演出」は、
ぐるぐる大回転でもなく、スミアでもなく、ジャンプカットなんです。近年はピン送りや被写界深度の浅さなどのレンズ周りもよく囁かれていますが、ナニワトモアレ。
(”京アニの”というよりは京都アニメーションに属している誰かの、がより正確な気もします。)

無彩限のファントム・ワールド』放送当時、第一話のOP明けに速攻でジャンプカットが出てきたもんだから、「お待たせ! みんなの京都アニメーションが帰ってきましたよ!」なんて挨拶代わりの一発にも思えました。

ソレワサテオキ。

これが第一話のジャンプカット。

『無彩限のファントム・ワールド』第一話 gif
『無彩限のファントム・ワールド』第一話より

さきほどの卓球娘のgifとの違い、わかりますか?

『灼熱の卓球娘』OP gif

『無彩限のファントム・ワールド』のほうには
”画面動”がカットのつなぎ目ごとに入っているんです。

これも画面動とカテゴライズ/呼称するのは少し気が引けるのですが、他に言いようもないし実際に画面動しているので、なんとなーくぼにゃりと受け止めてください。「背景ずらし」でもいいかもしれない。
どっからがパンやT.Uで、どっからが画面動なのかと問われると「意思」の問題だと私は思う。カメラで演出するのかの意思。いいこと言った。

画ブレが入っているジャンプカット

響け! ユーフォニアム2』第六話のメイド服での組体操のカット


『響け! ユーフォニアム2』第六話より

これは一回しかカットの切り替えがなく、あまりジャンプカットの面白みがない。やはりジャンプカットは三回から五回くらいの跳躍がセオリーか。
つなぎ目はFIXのまま切るんじゃなくて、カメラが左に僅かに動く。そして二枚目にジャンプ。ホイップパンのスタートっぽい動き。

響け!ユーフォニアム2第6話

スロー加工版

三人や観覧者がブレるショットを一枚挟んでいる。
これが、カメラが左を向いた/向こうとした動作になる。

あるいは、『終末なにしてますか? 忙しいですか?-(制作:サテライト、C2C)の第一話

『終末なにしてますか?-』第一話
『終末なにしてますか?-』第一話より

『終末-』のほうは、「迷子で街のなかをぐるぐると行き来」している様子をジャンプカットで省略しつつ、「歩く/探す」という動作を「反復」している側面もある。

階段をのぼる、卓球台に向かう、といった完結するワンアクションと比較すると、反復具合や性質の違いが理解しやすいと思います。こういった複合的なものはジャンプカット・シークエンスと呼ばれます。

その他

血界戦線』も松本理恵コンテの回はジャンプカットを数度観ました。コンテを担当したEDも随所にジャンプカットあり。こっちは資料がないので各話数の詳細は確認できず、EDに関しては画面動はなく”完全固定”。その代わりにスポットライトの外ぶちがフレームの役割になってました。