鈴木典光が手掛けた『ハイスクールD×D』EDのポールダンスを観なおして

『ハイスクールD×D』ED リアス 演出・分析
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いい表情だ。

 

先日のことですが、好評放送中のアニメ『宝石の国』の第8話において「松本憲生がプリヴィズで参加している」といったことが公式からもアナウンスされていていろいろと波及。そのことに関し「プリヴィズとはそもそも何か? どういった役割か」という角度から深部へ触れたある方の記事もTwitterのタイムラインを賑わし賛否両論が巻き起こりました。

私は端から傍観していただけなんですが。

【参照リンク】「宝石の国」08話/CGとプリヴィズ(松本憲生作画)の比較と分析


 

その「ある方」のツイキャスをタイミングよく観ることができ、どういう流れかもう覚えてませんが、みんなで鈴木典光MADを鑑賞するというよくわからないプチ企画が開かれ、なんとも贅沢な時間でした。ハイコンテクストな会話が続き基本ROMってましたが、いやあ楽しかった。

 

「鈴木典光といえば○○」も、『ちょこッとsister』だったり『エウレカセブン』だったり『ソウルイーター』だったり『Persona4』だったり『スタードライバー』だったり世代によって変わってくるでしょうし、それはどの時代(時期?)でも「鈴木典光イズム」を提供しているからでしょう。色んなアニメーターに言える当たり前のことですが。

最近、MADを観ているとたまに涙腺がじわっとくる。メカニズムはよくわからないけど、「ほあーすげぇなぁ……」と口走りながら、芸術に対する感動とその技術への遠さに悲しんでいるんだと思う。

サクヤ
youtube『鈴木典光MAD』より

 

サクヤの逃げるカットが好きなんです。1:51くらいから。壁に追いやられて「左に行こう、左ダメ! 右は……右ダメ! 上……も無理! 」なジタバタを緩ーく追うカメラがいい。(原画の話じゃないのかよ

退路の先を映さないカメラ/フレーム内から出してくれないカメラが、”君に逃げ道はない”って言ってるみたいに大きく動かない(動かさない)のがイジワルだなあと。リードにつながれた犬のよう。

で、その後、真後ろに追手が現れて絶体絶命のFIX。退路なしの八方塞がりならぬ四方塞がり。フレームが檻になってる。かっこいい。
このガチッとしたFIXはサクヤ側からだと「くっそぉ……(戦う覚悟を決めないと)的なエモーションにも繋がってきていて……云々。でもやっぱり勝てそうにないなって気持ちからカメラが再度揺れる。涙たくわえ顔かわいい。

このへんの心情シンクロっぽさがかっこいいな、そんな妄想でした。

例のポールダンスに思うこと

例のポールダンス。『ハイスクールD×D』のエンディングのポールダンスですね。

さっきのツイキャスの話ですが、『ハイスクールD×D』EDを観ているときに(一言くらい何か言わなきゃな)と焦って視線誘導の話を出したんですよ。俺もちょっとくらい話せるぜアピールをしてしまったんですけど、なんか変な空気を感じて。同意を得られなかった感じ。

でももうちょっとだけ言葉を足せば、伝わるかもしれないので試みる。演出意図が正解かどうかはともかく、こういうことを言いたかったのだ、だけは伝えておきたい。

「視線誘導が効いてる」発言にいたる考え

硬いな。

まず光源が左から入ってきてて、ポールとその影ができる。二本のラインが生まれます。背景の照明のあたり方とか周辺減光とか歪曲収差(ポールや影の際に注目)してやや沿って視えるポールとか、これが”上手いレイアウト”ってやつなんでしょうか。シビれる。ポールが三分割法のグリッドの役割として効いてるんだと睨んでます。

三分割法 歪曲収差
『ハイスクールD×D』EDより(グリッド線の加工)

三分割もそうですが、手前と奥にラインを置くことで立体感のある空間も演出しちゃう。

立体感
これは2014年くらいに流行ったgifの遊び。

 

①三分割法でみると、左から1:2の縦帯になっていて、余白が多いぶん右側に視線が流れることに抵抗はない。

②人間は文字に注意を向ける生き物である。たぶん左に裸の女性がいても右側の文字を読みにかかったと思う。(※後述修正

③ポールとポールの影には、間に入るキャラクターを介して遠近法でいうところの”奥行きの関係”があって、手前から奥と視線が流れるのもこれまた当然といえば当然。パースの消失点が右側にあるってことでいいのかな?

扉で表現するとこんな感じで奥へと(右へと)誘導する流れができている……のでは?

この辺の要素が相まって右への視線が整理/誘導されてるんじゃないかなーと思いました。真相はわかりません!

書いてて思った……なんか違う。

①と③で右に視線を誘導できるから、④右側に文字を浮かび上がらせた演出になったのだ! こっちのがいいな。
これが私なりの結論です。

お気に入りのポイント

影の美しさは言わずもがな。

次に右手で掴むポジションを目で確認しているリアス先輩。

フレーム外ですが確実にポールを掴んだ感の出ている体重移動の所作。「ぐっ」と左手で自身を引き上げる感じが気持ちいい。

『ハイスクールD×D』EDより
『ハイスクールD×D』EDより

姫島朱乃から小猫への入れ替わりで握った右手が同ポジションなこと。そのあとの小猫が握り直す右手が少し下にズレるとこ。

このあたりがかっこいいなあ。

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本編も観てね。

フレーム内での入れ替わり

やっぱりキャラクター入れ替わりの画を作るなら、入れ替わる両者の等身は近いほうがいいし、共通のポーズだったり共通の部位がないと入れ替わりの味が出ないですね。

C3』のOPでもBookによるリヴィール入れ替わり芸が観られる。

サビとAメロの二箇所。Aメロのほうは密着マルチが面白いことになってる。奥が進行方向と同じ向きに動いてるから、回り込んでるというよりもぐるっと左回りで走ってるってことになるのかな。

脱線しました。C3のOPは鈴木典光のお仕事ではありません。

MAD観るの楽しい

色んなアニメーターのお仕事を一括で観られるので、その人の癖や美意識を学ぶには最適ですね。あまり吸収できていない自分が言うのもなんですが。

そんな感じで〈鈴木典光が手掛けた『ハイスクールD×D』EDのポールダンスを観なおして〉でした。

おしまい。

関連・参照リンク

鈴木典光MAD|youtube

アニメ『ハイスクールD×D HERO』公式サイト

「宝石の国」08話/CGとプリヴィズ(松本憲生作画)の比較と分析/GOMISTATION

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