冬クールの変わり目になってようやく『スクールガールストライカーズ』(以下 SGS)を追っかけ始めました。第3話まで観ました。サントラがなかなかいい。五拍子のやつ。
これはあれですね、遠くない未来にスロットの実機か何かになるやつですね。いつなるかって言われるとわかりませんが、利根川方式で言い切ります。「(いつか)絶対になる」
……。
イマジナリーラインの話しましょ。
イマジナリーライン”跨ぎ”について私なりの考え
イマジナリーラインとは? なんてのは今更こと細かく書かない。興味ないかもしれないし、時間が惜しい。
イマジナリーライン(通称I.L)について詳しく知りたい奇特な方々には、らしくもなく頑張ったこちらの記事を読んでください。

「跨ぐ」と言ったり「超える」と言ったり、結局同じ意味です。
個人的な前提のようなものだけ挙げておくと、
- 寄りのカメラがI.Lを越えると、観客は多少なりとも違和感を覚える
- 観客は常にI.Lのこちら側にいるので、(普段は)”跨ぐ”という行為は意識の外にある
このふたつ。これは定義などのそれとは別のもの。跨ぐことの是非は説いてません。ルール? いえ、マナーです。
要約すると、「観客がスムーズに物語を見進めるため」のひとつの手法としてイマジナリーラインを越えないという「発見」が映像作成の前提/基本となり広く浸透。のちに新たな発展を目指して基本や前提を壊す取り組みがなされた。それがI.L跨ぎ。スクラップアンドビルド。
SGSの第2話におけるイマジナリーライン越え
うえで言ったように、効果として気持ち良いのかどうかの判断になることが多い。無駄かどうかとも言えそう。
で、当該シーン。第2話、美山椿芽の部屋に夜木沼伊緒がトレーンングのスケジュールの提案持ってくるシーンです。
物語が始まって初めて椿芽の部屋が出てくるシーンでもあります(これ重要)。
まず俯瞰の画。
奥のカーテンと机がわずかにフレームインしているけど、やっぱり真っ先に目が行くのは椿芽、ベッド、つまり画面右の方向でしょう。光源も右側にありますし。部屋の全体像までは見通せなくてまだなにも把握できない。狙ってのものと思われる。
椿芽寄りのカットになってノック音が鳴る。
椿芽が左からドアに近づいていって伊緒登場↑
カメラが伊緒側に回る。ここでもソファは映らない。
いま跨ぎました。
この二枚のカット切り替えの間に、カメラはイマジナリーラインを跨いで右側に行ったんです。
普通は、位置関係はそのままでソファに腰掛けるか、立ち位置の交換をカメラに映すのがセオリーです。が、二人の位置関係が変わる(交わる)動きが一切なく、唐突に玄関からソファに移動する。
私の感覚では客人を部屋の奥には置かないからこの構図は受け入れがたい……。そこも引っかかった理由です。
椿芽と伊緒。☆はカメラ位置と方向。下から上に移動します。
観客の頭のなかではこういう部屋のイメージができあがると。部屋の全体の描写がないから広さも家具の配置もわからない。ゆえに効果(勘違い)があったのかと。
そうして訓練の話が進み伊緒が部屋を出ようとすると、あらぬ方向に伊緒が歩きだす。
「そっち部屋の奥ちゃうんかい!?」「どこいくねん」
──と心中つっこみをつかの間入れそうになるのだが、すぐに奥のカーテンも映り「あ、そうか」と気づく。伊緒のスタイルやっぱりええな。
実際の二人の動きとカメラはこうなっていた
この位置のソファに違和感なく座らせるなら、①伊緒が座るところまでカメラで追う②ソファに座ってるときに俯瞰あるいは大きい引きでベッドなどとの位置関係を示す③二人の位置関係が交差する瞬間を撮る、などいくらでも方法はあるでしょう。
「カメラから見て」の考え方で補足
左が部屋の奥、右が玄関だったのが……
左が玄関、右が部屋の奥になっている。
このあとは二人の間にカメラが入って、リバースショットで収束。いいね!
以上、第2話のイマジナリーライン絡みのシーンでした。
『スクールガールストライカーズ』第2話
脚本:吉岡たかを
絵コンテ・脚本:錦織 博 演出:橋本 敏一
第1話に続いて錦織氏のコンテでした。
第1話、図書室での怪談のくだりでも立ち位置が変わったりカメラがころころ移動したり、森田芳光ワールドみたいでしたけど錦織氏のクセなんでしょうか。
茶色と赤のエレガントな部屋の色づくり、ちょっと『パプリカ』のホテルっぽさありましたね。そんなことないですか?
『スクールガールストライカーズ』、継続
あんまり立ち位置とか向きとか気にしない人が動画を撮ると、イマジナリーラインが食い違って話として繋がらなくなってしまったり。違和感はあるんだけど原因はわからない……みたいな困ったことになるのはよくあることです(何を偉そうに
さきほども言いましたが、かっこいいかどうか、無駄に混乱させているだけで終わってないかが重要なんだと思います。
騙される心地よさがその”跨ぎ”にはあるのかどうか。
ミスってI.Lを越えてしまったのか、ギミックとして越えたのかは難しいところで、最初は「おい!! 体鍛えるってレベルじゃねーぞ」なんて貶してやろうかなって下心があったんですが、この記事書いているうちになんだか好きになってきました。光源の扱い方からしてどうやら作為的ですし(俯瞰-伊緒が訪ねてきたカットでソファの横のランプを隠しているあたりで推測)。
お話は別段面白くはない
この伊緒との会話シーンにおいても、「でも」を二文の間で二回しかも同じトーンで使っちゃうってのが、どうなんだっていう。どうなんだっていうか、「ダメだろ!」を遠回しな表現で言ってみただけですが。
お話の流れとそれにつながってくる会話、それとは関係ないけど楽しい会話のバランスがひっちゃかめっちゃか。私はいま何を魅せられているんだろうか? って気持ちがぽんぽん浮かんでくる。
今のところの見どころはOP冒頭のユニフォーム姿の伊緒のバウンスですね。あれだけは観たほうがいい。私得とも言える沢城みゆきの声でも好きな声域かつ好みのキャラクター。
沢城みゆきの”艶やかな女性A”系の演技はあんまり好きじゃないんですよ。不二子とかシンフォギアの博士(?)のような。そっち系よりは、神原駿河のような”清純”さこそが沢城みゆきの真骨頂なんじゃないかと私は思いますね。芹沢とか。
まあまだ第3話ですしおすし。これから楽しくなってくるといいなあ。
おしまい。
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