【寸評】『AKG TRIBUTE』はネバヤン演奏の『君の街まで』が突き抜けてる

AKG ジャケット ヘッドフォン 楽曲に関するメモ
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”市井のリスナー”がトリビュート・アルバムに触れるとき、参加しているアーティストのことを前もって知っているものなのだろうか、と考える。

音楽好きなら全部知っている可能性はあるだろうし、その反対のケースもある。結局は、トリビュートされるアーティストによるところが大きいかもしれない。ちょっと危ない発想である。ファンの質次第、と書くともうほんとに良くないので、このへんで。

 

トリビュート・アルバムっていうのは、参加する各アーティストの名刺みたいなもんだと思うんです、私は。

どうアプローチをかけるのか、どうやって料理をするのかでお客さんを掴めるかどうかに繋がってくるんじゃないですか。同じコンビーフの寿司でも、作り手次第でみんな味が違うように(古い

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『AKG TRIBUTE』発表

結成20周年のアジカンのトリビュートアルバム。発売日が来るのを今かいまかと待ちわびてました。今回のアルバムに収録されている楽曲の「原曲」は全部知っていましたし、よく聴いております。

つまり、アーティストの味付け、味の違いも判断できる……はずである。

1周目、当然、頭から再生。

「順位をつけるならこんな感じか」なんて当たりをつけ、そのまま3周ほどリピートしたり次の日にもう一度聴いたりした結果、1周目の率直な感想とさほど変わらない感じになりました。

一言ざっくり、

同年代・同年期のAKGファンでもおすすめできるかどうか……

という内容でござんした。期待値が高かったのか……。

アルバム全曲の寸評をはじめる

ほんとに少しずつ。あまり詳しくないアーティストもいるので。

『ソラニン』/yonige

アルバム『マジックディスク』収録

アボカドの楽曲及びMVが独り歩きしてる感のあるyonige。もうひとつyoutubeで曲を聴いたら全然パンチがなかった。

楽曲の話をしないと。

ここ二年かで録音機器や録音環境がまた進化したんだなと思ったり。それは嫉妬混じりの嫌味として、ギターの音が耳をひく。

『未来の破片』/04 Limited Sazabys

アルバム『君繋ファイブエム』収録

フォーリミ(通ぶるな)については「ドラムがいいなあ。あと声の伸び」ばかり言ってます。それくらいの浅いところしかいまだ踏み込んでいないだけだけど、アジカンにおいて伊地知潔のドラミングというのは思春期持ってかれた世代の贔屓目を多少取り除いても、相当にカッコイイものなので、並のドラムアレンジじゃ敵いっこないんですよ。それこそ、パート尺に縛られず原曲を壊していくぐらいじゃないと、予想と期待は越えられないのかもしれない。

これは全曲通じて思ったこととして表明したい。

『Re:Re:』/じん

アルバム『ソルファ』収録

アジカンにないものを押していけば原曲との差別化は図れる。とするならば、別楽器からのアプローチ、電子的アプローチ、打ち込み編集の妙など色々な方法が見い出せそうではある。

そして、この曲を聴いてて思ったのは、あんまりアジカンで(健さんのギタープレイで)カッティング押しの曲がなかったかなと。そこがじんの得意とするところ(手癖?)にわりかしハマったかなと。

『夏の日、残像』/amazarashi

アルバム『君繋ファイブエム』収録

差別化にもうひとつ有効な手段はなんといってもボーカル。大切なこと忘れてました。ボーカルの力でただのカラオケもその人の曲へと染まっていくことはちょくちょくある。

秋田ひろむの声にはそれがある。

ちょっとレイドバックするドラムと、拍の頭で旋律一発だけのピアノがいい。

「このトリビュート、買って正解だったのか……?」と再生ボタンを押してから長く続いていた不安がここにきて少しずつ氷解してきました。聴き終えてもう一度リピート。

『リライト』/Creepy Nuts

アルバム『ソルファ』収録

誰かは演らないといけないリライト。”見えてる地雷”としか思えないリライト。

「すんなりと通ったんは参加者のみなさんが避けていたところに我々が厚かましくも申し入れをしたから」と話していたCreepy Nuts。耳の肥えたファンも多いアジカンのコンパクトディスクに参加するわけですから、これは相当頑張らないと”ヤバイ”とこです。

批判の的になっていた、というのを見かけましたが、私はかっこいい仕上がりだったと思いますよ。

フックの合いの手がいわゆる「私たちの嫌いなラッパーがしそうなやつ」になってるのはちといただけないとは思いましたが。ビリケンが『なごり雪』をカバーしたときのスベってるやつみたいだった(かなしい

 

音階がわかればメロだってなんだってできるんですの実践編ともとれるような、2Bやサビのあとのメロい部分なんてらっぷびとの絶望先生シリーズを彷彿とさせて個人的に凄くアガるところだったり。

懐かしいので皆で観よう。

これくらい挑戦的で実験的なアプローチしてくれたほうが楽しい。

らっぷびと×絶望先生は 俗・人として軸がぶれているらっぷ も好き。

愛情は文量に出る──ってことでこのへんで(たいした文字数じゃない)

『迷子犬と雨のビート』/シナリオアート

アルバム『マジックディスク』収録

男女混声がいい。ほんとにドラム叩きながらこんなに歌えるんかいな。本家で聴いた当初「アジカンがホーン隊? ちょっとちょっとマジカヨ」と揺らいだ記憶がある。そのホーンのパートがコーラスになってて好き。最後のオクターブ下げの「いこう」まで律儀にコーラスしてるのも好き。

『ブラックアウト』/LILI LIMIT

アルバム『ファンクラブ』収録

原作愛もとい”アジカン愛”を一番感じられたのは本曲。

もちろん愛を持つだけじゃなくて、アジカンのおいしいところを咀嚼して吸収して、最初の前菜を経てようやくメインデッシュがドカンと来た感じ。

ここにきて「ああ、アルバム買ったぶんの元は取れたんじゃないかな」と思える曲が。

キーボード、というかプログラミング様々な楽曲。パートのけつに差し込んでくるジャミングノイズがいい。ここって原曲だと、裏拍のスネア&オープンのハイハットを閉じて「バシィ」とキレの良さが気持ちいいところなんです。いやあ、おいしいと思える箇所が通ってるっていいですよね。

歌詞カードに「携帯電話のCMで流れていた……」というコメントがあって、キャリア会社については触れてなかったんですけど「──そんなこんなでアジカンはいまでも僕達の英雄です」的な結びになってたら笑い転げて五億点あげてました(面白くない

『N.G.S』/夜の本気ダンス

アルバム『君繋ファイブエム』収録

NUMBER GIRL SYNDROMEの略で「N.G.S」なのです。だから(と言っていいのか?)若干音のテイストが、毛並みが違うのが特徴のこの曲。

NUMBER GIRLを少しでも通っていればもろに気がつく寄せのサウンド。Base Ball Bear『つよがり少女』のときのあの感覚。

ことこの曲に関しては”ナンバガらしさ”を追求するのが正解なのかどうなのか。判断できませんでした。

実際聴いてみて、ナンバガらしさは薄いし(弱いって言い換えたほうが良いかもしれない)。マイクのショートディレイとか、ギターのサウンド具合とかやりたいことはわからなくはない。けどナンバガらしさってそういうことなのか?

そもそもこれはNUMBER GIRLじゃなくて、いつもの夜の本気ダンスなのかもしれない。夜の本気ダンスは一枚しか聴いてない私じゃちょっとこれ以上語れない。

逃げます。

アヒトイナザワのドラミングごっこをする伊地知 潔が楽しい曲なんですよ、N.G.Sって。スネアロールのコンビネーションと長~いフィルがアヒトイナザワの特徴なんですが、トリビュートのほうはそのあたりは皆無。最後のサビに戻るパートなんかは聴いてて「……お、おう」って感じです。私もそれ叩けますっていう。これじゃ何も伝わらないか。

とかく私のドラミングセンサーは全く反応しませんでした。
アレンジしたリフも正直に申すとダサい。もっと逃げ道あったろ。

『アンダースタンド』/BLUE ENCOUNT

アルバム『君繋ファイブエム』収録

ギターロック勢の流れが戻ってくる後半。ドラムは四つ打ちギターはハイポジションでピロピロなバンド雨後の筍みたいに発生してもうどれがどれか見分け聞き分けのつかなくなった時分にバンドの名前を知ったので、印象があまり良くない。身勝手。

なので、通称ブルエンの楽曲について数曲しかまだ知らないんですが(不勉強ですみません)なかなか良かった。間奏のドラムフレーズとか。ギターの貼っつけ方が雑だなとは思ったりもしたけど。「Understand」じゃなくて「アンダースタンド」ってカタカナ英語で歌ってくれていたらなお良し。

これからアルバム聴かせていただきます。

『ムスタング』/リーガルリリー

アルバム『まだ見ぬ明日に』収録

チャットモンチー橋本絵莉子の影響は大きかったんだなと未だに思うことがあります。なんでもチャットモンチーにつなげてしまう(GO!GO!7188 には繋がらないのがこれまた謎である)のが私の悪い癖。あとはやくしまるえつこに結びつけてしまうことも多い。老害街道驀進中2017→

ともかく『魔女』で「ああ、持て囃されてポイされないか心配」とか身勝手なことを思ってたリーガルリリーが参加している。意外と普通な演奏になってて評価をつけづらい。曲が良いので加算されてる部分がありそう。「風景画」「言うまいが」のところはドラムのフレーズ変えたら良いのに、くらいの苦言しか思いつかない。

リッケンバッカー』と『ムスタング』、の悪ノリみたいな選曲だったら今後不買運動を起こしたいね。

『君の街まで』/never young beach

アルバム『ソルファ』収録

本作優勝の演奏。他の曲と2馬身くらい差がついてます。

このアルバムを聴くにあたって、なるべくフラットな状態での視聴を目指しました、一応。参加アーティストもカバーされる楽曲も、できるだけの情報をシャットアウトして。しかし、yonigeの『ソラニン』から始まるものの、イントロ一発でどの曲かわかってしまうのでした。悲しくも。それなりにアジカンには熱心だったので。そして、原曲からたいして壊れてないから。

でも『君の街まで』は違った。

歌詞のメロになってようやくイメージが繋がる。気づく。これはやられた。最高だ。

最後の拍取りが変化するとこから逆に設計したみたいなバランスの良さ。メロのアレンジとコーラスの付け方と、クリーンとクランチの気持ちよさと。文句の付け所すらトーシロの私には思いつかない。何度か聴いているうちに冒頭のノイズが原曲での「間」を引き継いでいることにも気づいて、もう一から十までニクいっすなあ。

余談:ムスタングもそうだけど、『君の街まで』でも用いる一回目のサビは半分のサイズで”のつくりっていいですよね。

『踵で愛を打ち鳴らせ』/the chef cooks me

アルバム『ランドマーク』収録

ゴッチのモードが大きく変わった気がしたランドマークから。マジックディスクでその気配はあったようにも思う。

ともあれ、時期でいえばこの二枚の間2011年に、東北地方太平洋沖地震および東日本大震災があって、心中何かは変わったはずである。ムスタングを初めて聴いたときは「なんだか優しい歌をうたうようになって、さては結婚でもしたな!?」なんておふざけを勝手に思っていたんですが、ランドマークではまた一枚皮がめくれたような。リスナーとしていいことなのかよくないことなのかわかんないけど。あんまりアジカンの魅力が出てないなーとは思いました。アジカンの曲というよりは後藤正文の──Gotchの曲っぽい。いまとなってはの見方。シモリョーさん繋がりって意味合いがなくはない。ある。

zeppのチャットモンチーのオープニングアクトでの演奏がもはや懐かしいthe chef cooks meですが、これもすごいいい仕上がり。ピアノはやっぱり存在感でかい。

『君という花』/KANA-BOON

アルバム『君繋ファイブエム』収録

アジカンキッズ、アジカンフォロワー臭が参加者のなかで一番にじみ出ていたのは何と言ってもKANA-BOON。まあ公(おおやけ)のものですが。

『君という花』をチョイスすると知ったときは「四つ打ちどんだけー」と恋ダンスでも始めようかと思ったり。四つ打ちアイデンティティこじらせてますね。

で、君繋よろしく最後の締めに『君という花』を持ってきているのに、すげー普通にカバーしてるような内容で驚いた。逆に。むしろ逆に天地無用ですよ。もう疲れてるから内容も意味不明ですよ。

「僕らが演奏して、鮪が歌っていればそれでもう成立してますから」とでも言いたげなどストレートな演奏。この演奏を最後に持ってくるソニーサイド。

PS.ジャケットのヘッドフォンについて

AKG ジャケット ヘッドフォン

この女の子が装着しているヘッドフォン。ソニーの定番モニターのMDRcd900-st(のはず)

イヤーパッドの形こんなに四角寄りだったっけ? って気がするんですけど、まあ間違っていないでしょう。

で、AKGなのにソニーのヘッドフォンとは何事か!?(AKGというオーストリア産のヘッドフォンがあるのです) っていうのはくだらないジョークとして流してもらって、モニター向けヘッドフォンを携帯端末に挿してこの女の子はどんな聴き方をしてるんだろうと、首をかしげてみたり。わざわざ標準プラグを3.5mmに変換させるパーツまで買ってさ。

mdrCD900-st 標準プラグ

MDRCD900-stの先端はこうなってるんですよ。ウォークマンに指すような形状じゃない。アンプとかに指す形。それをXperiaなんかに挿すには3.5mmに変える必要があって、正味な話、目的がよく分からない。この状態でお外歩くのはちょっと恥ずかしいぞ。部屋の中なのか外なのかわからないけど。。

──と思ったら、ヘッドフォン繋がってない! スピーカーで聴いてるのか……。でもヘッドフォン装着しているし……。なんなのこの女の子。うーん謎。

どうせ賛否両論になるんだ

アーティストの選出とか楽曲の選出とか曲順とか、ソニー・ミュージック内の評価や期待度や売り出したいバンドとか斜めに訝しんで考えるもの楽しくなってきます。

名刺代わりって前の方で言ったけど、実際は名刺交換なんだねこれは。名刺渡しであり、橋渡しでもあったりして。

そうなると私たちはアジカンの楽曲という架け橋で次のバンドの種を見守っていくんですね。

おしまい。

コメント,ご意見など (中傷発言はNO)

  1. すっげえ読みにくい駄文

    • >すっげえ読みにくい駄文
      すいません、冒頭の花見の話とか本題との関係が薄くて自分語りまみれで「すっげえ読みにくい駄文」の導入に思い当たるフシがあるのでがっつり捨てました。ちょっとだけマシになったと思います。他の部分は私の文章力では急造の修正は難しいです。

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