【映画】『ディアトロフ・インシデント』はモキュメンタリーのていをなしているのか?

【この記事のこと あなたの周りにも拡めてくれたら それはとってもうれしいなって】

ディアトロフ・インシデント

職場の同僚が面白いなんていうから借りてきました、『ディアトロフ・インシデント

こんな言い方から始めるとまるでいまからこき下ろすみたいな展開ですが……、まあ褒めはしない。こき下ろすほど細部まで本腰いれて観ていなかった。いや、最後までしっかり観るには観た。大逆転ホームランがあるかもしれないと思って。つまらないと思っても壁に叩きつけたりはしない。ささやかにも太宰治イズムを信条としているので。

 ダダイズムならぬダザイズム。

モキュメンタリーの定義

モキュメンタリーあるいはフェイク・ドキュメンタリーと呼ばれる映画のジャンルがある。

代表的な作品としては、『食人族』から『カメレオンマン』『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』『パラノーマル・アクティビティ』『クロニクル』『REC:レック』『クローバーフィールド』となかなかに歴史のある変わり種のジャンル。

「あるできごとについてのドキュメンタリー動画を撮っている」ようなふうに見せかけたフィクションのこと。ちょいメタい構造です。半年に一回くらいはこっち系のものが観たくなったりする。基本的にPOVかつカメラ目線の画にときめく嗜好があるんです私(基本的に?

定義ってカシコマルほどじゃないですが、作品の共通点として、

  • 本編はハンドカメラでのホームビデオライクな画作りで描かれる
  • 撮影者あるいはカメラの所持者が主要登場人物になる(つまりカメラマンの存在が如実に視聴者に伝わる)

のようなものがある、のだと思っている。

とくにカメラマンを意識させて、「これは撮影をしています」というイメージを視聴者に与える導入はモキュメンタリーでは必須かつ鉄板お約束セクションといえる。『スパイダーマン』や『ゴッドファーザー』ではそんなことはないでしょう。あれらはフィクションではあってもドキュメンタリーの類ではない。だからアングルにいろいろバリエーションがあってもそこにカメラマンは”存在していない”。

モキュメンタリーの作品では移動が多いと画面が大きくブレる。相対的にFIXが少なくなる。『パラノーマル・アクティビティ』のような例外もあるけど。ハンドカメラを横に置いてFIXとして引きの画を撮ることもある。

『ディアトロフ・インシデント』こんな話

1950年、ロシア・ウラル山脈のディアトロフ峠で登山家9名が原因不明の変死体で発見される。(これは実際にあった事件)現代になっても謎が残るこの事件の真相(被害者の心理分析)について、心理学専攻のホリーが学内から協力者を集め調査をするべく現地に向かう。
この調査の様子をカメラに収めた映像が、遭難したホリーらの捜索中ディアトロフで見つかる。そこにはびっくら真実が……。というお話。ファウンド・フッテージ要素もある。

ディアトロフ・インシデント ディアトロフ・インシデント

このびっくら真実要素については、まあどうでもいいんですよ。賛も否もない。想像のはるか斜め上(下)でしたが、モキュメンタリーに感激するようなものは期待してませんし。いっちゃえばこれフィクションだし。

なつ「全部台無しだよ」

でもモキュメンタリー映画にはリアルさをとことん追求して欲しい部分もあるんです。とことん茶番を演じて欲しいんです。観てる私たちはモキュメンタリーですが、彼女らが撮っているのはドキュメンタリーですから。

で、ネタバレになります。

調査メンバーから死人が出るんですよ。まあある程度の予測はしていたと思いますが。その死んでしまうシーンがね、雪崩に飲み込まれて岩か何かにバキャ!って当たって顔が潰れてしまった、みたいな痛々しいところ。そのシーン、メンバーがカメラにぐーんと向かってきて、バキャ!→レンズにヒビ、となる。

これ、カメラに当たったんならそれでいいと思うんですけど、岩のなかにカメラが入った的な画作りはモキュメンタリー教義に反してんじゃないかなーと思った。演出ぶりすぎって言うんですかね。 その嘘はだめでしょ、と。

もうひとつ、物語の終盤ではびっくり生命体がメンバーに襲ってくるんですけど、ここの追っかけられるシーンもカメラがめちゃくちゃしっかり前を走るメンバーをフレームに収める。収め続ける。右折左折を繰り返す。パニックシーンだってのに。

施設のなかが暗くて迷路みたいになってて前をカメラのライトで照らしてるんなら一番前を走るのが最善だし……うーん、よくわからない。VRのアトラクションを見せられているようだった。画面だけFPSみたいな。(よくわからないって言い出したら終わりだね

逃げてるっていうのが伝わればあのシーンの役割は果たしてると思うんだけどな。

ファウンド・フッテージ

『ディアトロフ・インシデント』のwikiに「この作品はファウンド・フッテージに含まれる」って書いてるから言うんですけど、あのカメラ(最後のカメラ)と映像、どうやって世間に出たのよ、って疑問は残るよね。

ファウンド・フッテージって、前述のドキュメンタリーとして撮ったものが、作成者は消息不明の状態でビデオだけが見つかり、なかを観るとすごいものが映っていた。そんな展開の作風ですよ。定義なのかはわからない。 ルールよりはマナーの類かもしれない。

で、ですよ。この作品のあの映像。あれはどういう経緯で公開に至ったんだよー。パラドックス起こってないか?

そんなことが気になりました。

誰だよこの翻訳したの

ディアトロフ・インシデント

冒頭、まだディアトロフに向かうまえ、同行カメラマン.ジェンセンのドヤ顔台詞。

逆説的脱衣。なにそれ。

雪山で遭難すると外気に熱を奪われて体温が次第に下がります。あるレベルまで体温が下がると、それ以上の体温の低下を阻止しようと、皮膚血管収縮によって熱放散を抑制し、体内から体温を上げようとします。このとき体内温度と体感温度の差が生じると、暑いと錯覚を起こし衣服を脱いでしまうことがあります。ますます体温は低下し結果凍死します。

これは「矛盾脱衣」と呼ばれ、日本国内でもこのような状態で発見されたケースも少なくありません。英語だと:paradoxical undressing

それが、「逆説的脱衣」 ボランティア軍を思い出しました。

総括

ジャケットの宣伝コピーからうかがえるように駄目な映画でした。コピーでなんとなく匂いがするんですよね。ドブ以下の……とまでは決して言いませんが。

吹き替えも定位が変なバランスでねー。カメラ持って喋ってるの理解してますかって。褒めるとこないぞ。もうやだこの映画。

特におすすめはしません。見放題の環境の人なら暇は潰せるか、くらい。

by カエレバ

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