京都アニメーションのTVシリーズ作品郡に順位をつけるなら、いまどうなるかとふと考えると『CLANNAD』が3番めになっていた。少し衝撃である。ちょうど一挙放送をやっているらしく、奇妙なタイミングだ。
中村悠一の岡崎朋也、中原麻衣の古河渚、秋生さん、早苗さん……しのぎを削ったあの攻防戦のごとく演技合戦。
あの頃のがむしゃらな中村悠一を最近見かけないなと、熱心な視聴者でもないくせに身勝手な想像をするわけです。やっぱりキャリアが20年近くにもなると、演技にも”こなして”しまう部分があるんじゃないかなあとか(はあ
OP映像の確認がしたくて観た『デュラララ!!』も、ドタチンがめちゃくちゃかっこよく、ついつい本編も2話ほど観てしまった。『デュラララ!!』もキャストのせめぎ合いが楽しい良アニメでした。ここまで来たらただの懐古だ。
高校球児の「これが最後の打席かもしれない」といった気迫はどこにいったのだろう。役どころによるとはいえ、良く言えばリラックスして望んでいる演技、が、あまりにもキャラクターが希薄(言いたかっただけ)。
声優の立てるところが変わったから、物語の傾向が変わったのか
気迫あふれる演技が少なくなったのは、感情があふれるような展開を持つ物語が少なくなったからではないか。シャウト(叫び)がきちんと出来てからが一人前の声優なんて基準もあったりしたが[要出典]、いまはシャウトするような場面が一度もない作品も珍しくない。
少し感情的に怒鳴り声金切り声でも上げようものなら「ヒスおば」などと揶揄されてしまうような悲しい時代だ。
まあ、高津学長には愛があるとしても。
現状、シャウトが上手い演者が重宝されることもなく、泣きが上手い演者も泣きで呼ばれることも少ないだろう(だろうっておい)。良くも悪くも、「泣き(感情の爆発)で戦える作品を創ろう」という時代ではないのだ。辛さに立ち向かう以前に辛さを見ない。「みんなで楽しくやれたらいいじゃん」的ムーブメント。
だから、熱量が足んねーな、ヴァイブスが足んねーな、と思うのも、時代的に仕方がないのかもと思うようになった。空にクジラはいないのだ。
悪者は居ない
あくまできっかけとして名前を挙げはしたものの、中村悠一個人に限った話ではないし、演者へのdisでもない。『マギアレコード』を観ていて感じた、「この先アニメを観続けても竹達彩奈の演技で感動することは一生ないだろうな」みたいな私の感受性への悲しい予感である。単にアニメへの関心が薄れつつある「未来の老害」の世迷い言と受け止めてほしい。
わざわざ「なんか最近のアニメつまんない」だけ表明して、うだうだと視聴者に留まろうとしている悲しさがある。そのうち(10年後くらいだろうか)去るから見逃してほしい。
こんな考えが浮かび、わざわざ(ブログの評価が下がる危険性を顧みずに)web上に残そうとしたきっかけは2つある。
ひとつは『かくしごと』の特番で神谷浩史と久米田康治の対談のなかで語られていた『さよなら絶望先生』の収録風景が刺激的であったという回想。
(該当箇所7:42~。非常に面白い内容なので、ぜひ最初から観ていただきたい)
そこから想像する、いまはいい現場があまりないのではないかという余計な心配。まさにおせっかい、都合よく作り上げた妄想。当時も良い現場が多かった確証もないのに、何を言ってんの私って感じだ。
よい脚本も少ない、優れたキャストも揃わないでは芝居にも熱意がこもらないんじゃないか。
そんなもの、ファンの前では簡単に見透かされてしまう、とは言うまい。
政治的なキャスティングは見破れるなどと驕るまい。ワニで狂乱するエンタメ消費層である。
しかし、肌で感じる「これ、どう面白いの?」「撮ってて面白いのかな?」が3年前くらいから顕著なのも事実だ。やはり老いが始まっている。
思わず背筋が伸びた『ID:INVADED イド:インヴェイデッド』の熱演
もうひとつのきっかけは(なんだか話をひっくり返すようですが)、『ID:INVADED イド:インヴェイデッド』の最終話で見せた細谷佳正の演技でした。大きな絶望の前に無力な男が悲しい宣告をする場面だったが、心打たれるものがありました。
なんとなく下向きの、不幸に向かっている気配漂うアニメ業界ですが、そのなかにあっても「イド」はしっかりキャスト選考がなされていたと思わせる座組みであったし、面白い話であり面白く見せる画面づくりでした。勿論、本作を制作するうえで割りを食った人間がいないかどうかわからないし、なにも確かなことは言えないのですが(個人ブログに何を求めているのだ)月並みに言えば「アニメへの愛」を感じる作品だったと私は思います。
プロが集結すれば、面白いものは生まれる。そんな希望すら抱かせる名作でした。ぜひ、その目で鑑賞していただきたい。
そして、もう少しアニメを観続けさせてください。ここが最前線。
需要がないからやらないの?
アニメ批評があーだこーだ、批評への批評があーだこーだ、副次的な要素が布団にくるまっているときに頭の中で混ざり、なんとなく文字に残しておきたくなった。別に批評文でもなんでもないけれど。
お前が作品と演技をちゃんと追ってないだけ、というお叱りが来るかもしれないが、むしろ望むところである。新世代の泣きならこの人をぜひとも教えてほしい。
読み応えのある本でした。声優志望者はもちろん、声優ファン寄りのアニメ好きの方々にも頷ける内容です。「なんであんな下手くそがキャストになれんだ!?」と思ったら読んでみるのもいいんじゃないでしょうか。おすすめです。
おしまい。
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