『小林さんちのメイドラゴンS』のOPが良い

『小林さんちのメイドラゴンS』OPアニメ感想文

久々になにか書く。暑さで筆も腕も鈍っている。元からか。ははは。

夏っぽさなのか、露出オーバーでハイキーな画面が、観ていて心洗われます。

小林さんちのメイドラゴンS』が放送されてしばらく経ちますが、OPが良いですね。EDもいいです。一期も観ていたのですが、二期のほうが作品を楽しんでいる感があります。説教臭さというか社会学のエッセンスに慣れてきたのかもしれません。あれは社会学なのか?

ともかくOP。

既視感のある「スルーアイ(※)」っぽい演出は、『日常』のセルフパロディと評価しています。

瞳のなかにズームしていって別のカットに繋がっていく演出を「ジャーニースルーアイ」、なんて昔読んだ演出本には書いてあったけど、ほとんど耳にすることはない。恥をかくかもしれないから、おおっぴらに言わないが吉

某作画コンテストエントリー作品では、このスルーアイを入れ込んだものがけっこう多くて、「お好きなんですね」と思ったり。

『小林さんちのメイドラゴンS』OP
『小林さんちのメイドラゴンS』OPより

作家の手癖が出ているというよりは、あきらかに「重なり」を意識した演出です。

これに近いのは、大森貴弘監督の『BACCANO!』『デュラララ!!』の両OPかなと。『スナッチ』オマージュのあれです。手癖とかそういう領域じゃない、と言いたい意味がわかるかと思います。

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左への飛行

トールが左に向かって飛行しています。

『小林さんちのメイドラゴンS』OP
『小林さんちのメイドラゴンS』OPより

私はわりとスクリーンディレクションを意識しながら画面を観ていることが多くて、どうして左か、どうして右なのか、と納得できる理由をこしらえたりできなかったりしてます。

「左はネガティブ、逆進行、帰路のイメージ」「右向きがポジティブ、前進のイメージ」を基本的なセオリーとし、わりかし支持しています。あくまでも基本的に。

そこから、「じゃあポジティブな絵なのに左に行っているのはなぜか」と問答を発展させたり。全部が全部、演出的な意図が明確に乗っているとは思っていないし、見た目に良いを最優先でも全然構わないと思っています。無理にでっちあげるよりは素直に正直に受け止めたほうが良い気がしますし。そして、保留、棚上げもよくやります。

左に向かうのはバックトゥタイムとの連動か

『愛とシュプリーム!』の歌詞は、以後の京アニを触れていると私は思います。視聴者の期待も含めて、作品を通しての回答であると。

あまり言葉にすると「美化」と捉えられるのは避けられないでしょうが、「愛こそがすべて」がやっぱりアンサーになるんじゃないかと。EDの「噛み合わない価値観は噛み潰しちゃいましょう」の歌詞も、ひとつになるアーキテクチャもそう。

わかり合えるかどうか、の物語だから『小林さんちのメイドラゴン』が選ばれたのだとさえ思います。

ともかくバック・トゥ・タイムのイメージなら左に後進してもおかしくはない。

小林の視線とトールの視線

『小林さんちのメイドラゴンS』OP 『小林さんちのメイドラゴンS』OP

『小林さんちのメイドラゴンS』OP 『小林さんちのメイドラゴンS』OP
『小林さんちのメイドラゴンS』OPより

大まかにいえば右と左へ視線を向けているのですが、もう少し精確には右斜めと左斜め(右奥左奥)と少し角度がついています。それでも、小林さんがトールを、トールが小林さんのことを気にかけているのは十分に想像がつきます。

ここで面白いなと思ったのは、画角の切り方。画面の作り方。

パース理論とか難しいことは考えずに、つい視線を追ってしまうのはなぜなのか。

  • デスクの配置家具の配置が視線の向きに沿っているから?(これはつまりパースですが)
  • 振り向いた先に光源があり明るいから
  • 空間として白く(明るく)ひらけているから

この3つくらいが混ざり合っているのかなと。確証はないですが。

サビで一緒になる2人

『小林さんちのメイドラゴンS』OP
『小林さんちのメイドラゴンS』OPより

AメロからBメロを通して、同じ画面には入らなかったふたり。

その焦らしを払拭するかのように、サビ前で小林の手を引いて飛び立つトール。これもカタルシスになるのかな。

ここの浮上具合がすごく好きで、運動エネルギーが位置エネルギーに変わる瞬間、頂点でGが消えるふわっとした感触が伺えます。

『小林さんちのメイドラゴンS』OP
『小林さんちのメイドラゴンS』OPより

サビでは右に向かってファフニールたちとともに優雅に空を飛ぶ。わかりやすいセオリーに沿った右への前進です(私のなかの、ですが)。とすると、最初のトールは会社向かっているから左なのか?

次のカットのトールは左に向かいます。

『小林さんちのメイドラゴンS』OP
『小林さんちのメイドラゴンS』OPより

自由に、奔放に砂漠を駆ける。顔には笑顔が浮かんでいて、どこにネガティブな要素があるのか、と早速追い詰められています(もちろん私が)。

一つ前の集団右移動とソロ左進行で何が変わったのかというと、時系列が変わっていますね。

過去編というと大げさですが、トールとエルマが一緒に旅をした一夜のカットは現代ではなく遠い過去のものです。その変化をわかりやすく表すために、服装を変え、髪型を変え、すすむ方向も変えたのです。メリハリですね。

さらにトールは左に飛行し、ドラゴンの形状に変身。

『小林さんちのメイドラゴンS』OP
『小林さんちのメイドラゴンS』OPより

対峙する存在(第1話・第2話の時点)であるイルルは、トールとは逆の向きから大きな爪を振りかざしてきます。これも右向きではあるけど、トールとの対峙を優先したと捉えれば飲み込めます。さらに人形にまつわる未練(悲しい思い出)でまた反対に揺り戻す。イルル自身の変化です。このイルルのカットだけでイルルの全部がわかるわけではないけど、何かあるのだろうという想像は働きますね。

右に大きく開けた前向きな展望

イルルの涙のきらめきから、ビルの反射光にカットを繋ぎます。

『小林さんちのメイドラゴンS』OP
『小林さんちのメイドラゴンS』OPより

画面の真ん中にはゆっくりと着陸態勢に入るトールと小林。サビではお昼頃でしたが、夕方に時間が過ぎています。反射した空模様をまず出す、というところも美味しいなと思います。

ここまで入射光はたくさんありましたが、太陽そのものがフレームに入ることはありませんでした。トールがドラゴンの形状になって火を吹くところは、もしかしたら太陽が写ってるかもしれないけど。

実体をそのまま映すのではなくて、その外枠の情報で見せたいものを察知させる。ちょっとひねった気の利いた演出。こういうのが好きです。

『小林さんちのメイドラゴンS』OP
『小林さんちのメイドラゴンS』OPより

 

降り立った二人の画面右が大きく空いていて、これまた右に視聴者も気を取られる。

『小林さんちのメイドラゴンS』OP
『小林さんちのメイドラゴンS』OPより

ここのトールの何かが視界に入ったリアクションの表情作画がめちゃくちゃいい。上手い。当たり前ですけど、上手い。表現したいように表現されている。

トールは視覚以外にも周りの状況なりを察知する機能を持っているはずですが(つまり降りてくるときには近くにカンナたちがいることは気づけたはずである)、まあ、いい絵の前では野暮なことは考えないに限ります。

『小林さんちのメイドラゴンS』OP 『小林さんちのメイドラゴンS』OP
『小林さんちのメイドラゴンS』OPより

最終的に、というと荒っぽいですが、結局、「前を向こう」がOPのテーマになるように思えます。待っている人たちがいる、とも解釈ができます(全員ドラゴンですが)。

『小林さんちのメイドラゴンS』のOPはいい

『小林さんちのメイドラゴンS』っぽく、かっこ多めで書いていたんですが、そんな小ネタが伝わったのかどうか。

小ネタといえば、『愛のシュプリーム!』のMVはアニメOPと似たようなアクションが間合間に入っています。

アニメのほうが着手は早かっただろうからアニメからMVに寄せる流れがあったのか、立案当初からシンクロするカットを作りましょうという方向性のアイデアがあったのか、よく知りません。それっぽい理由なんて、ナントデモい、え、る、の、さーーーっ!! って感じです。

補完、調和しているから何も言うまい。でも、カンナの「つまんなーい」のほうが実写よりもらしい動きだったのにはびっくりしました。タメツメ大事。

『小林さんちのメイドラゴンS』OP
『小林さんちのメイドラゴンS』OPより

『小林さんちのメイドラゴンS』オープニングアニメーション

絵コンテ・演出:石原立也

作画監督:丸木宣明 門脇未来
原画:浦田芳憲 石立太一 高橋真梨子

動画検査:黒田比呂子
色指定:秦あずみ
特殊効果:三浦理奈
背景担当:落合翔子
撮影担当:植田弘貴

 

そんな感じで〈〉でした。

おしまい。

 

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