町さんかわいい。
応援がてらヤングマガジンサードっていう、いままで名前すら聞いたことのなかった雑誌を買いに行きました。103円でした。レジに通すと102円でした。
603円が103円になっているという出版社の気合の入れようなので、ここはみんな、缶コーヒー1本我慢して書店へGO!
クレヨンと鍵盤が示す、作品テーマとメッセージ
画像を見れば一目瞭然、鍵盤の配置を模しています。それぞれサイズの違うクレヨンが並び、ピアノの白鍵と黒鍵を表現してるわけです。
ピアノ配列、色とりどりのクレヨン、そして作品テーマのひとつ「異種間の交流」すなわち『調和と共生』とくれば思い当たるものがあるでしょう。
1982年に発表されたポール・マッカトニーとスティービー・ワンダーの共作『Ebony and Ivory(エボニー・アンド・アイボリー)』です。
「ピアノの黒鍵(Ebony)と白鍵(Ivory)が一つのハーモニーを奏でるように、白人と黒人、無色人種と有色人種、すなわち人類が調和する」というテーマのデュエット曲でした。
亜人ちゃんたちの境遇(マイノリティへの風当たりや集合の壁)と未来への願いがリンクさせているわけですな。
背景やキャラクターに色が付いていく過程でも最初に灰色なのもポイントが高いです。
『亜人ちゃんは語りたい』EDアニメーション
絵コンテ・演出:安藤 良
作画監督:川上哲也 色指定・検査:赤間三佐子
安藤監督、いいところからアイデアを引っ張ってくる。
第1話のコンテも安藤氏が手がけており、クールものの第1話は監督みずから絵コンテまで描くのがやはり主流なのかなと思うこの頃。
余談ですが、最近のクレヨンや色鉛筆は「肌色」って名称は使わないで、”薄橙色”って言うそうです。「スキンカラーとは何事だ!」って誰かが怒ってるらしく、薄橙色のクレヨンが入ってない場合もあるとか(まじかよ
比喩と対比の本と機械
色がそれぞれの個性や差別化を表すのはよくある手法です。
おとぎ話のなかの登場人物だった亜人と、現代人代表のテツオ。長い歴史のなか伝承されてきた「本」と近代文化の象徴である「PC」というふたつの媒体による対比。ニクいぜ。
あとは第一話の良かったところなど、雑談じみたお話です。
やっぱり好きなんです、リヴィールフレーム
この間のユーフォニアムの記事といい、なんだか最近リヴィールフレームの話ばっかりしてるな私。あとマッチカット。正直しつこいよね。
第1話アバンの”桜の花びらリヴィール”(勝手に命名
これは場所移動と時間移動の、ふたつの演出効果があります。
一方こちらはOPの”本棚リヴィール”gif(勝手にry
こちらはカメラアングル(とカメラ位置)が変わるだけで時間軸はそのままのパターン。
リヴィールフレームは編集技術
遮蔽物を跨ぐとズームになっていたり、カメラが移動したりといったリヴィールフレームは多いけども、アングルが変わるのはわりと少なめな気がする。わからない。いわゆるトラックスルーソリッド(壁すり抜け)と混同しそうではありますが、私は撮影時の技術としての演出か編集時の技術としての演出かという点で、演出テクニックを判断/分類してます。
OP映像の寸表
カットの繋ぎがいろいろと手が込んでて……というか手広く手を出しすぎててというか……上手いのかよくわからない。立体絵本のところはすごくかわいいし、生徒三人の心のなかの寂しさを薄い色で描きつつも、佐藤先生の色は対照的であり、「これぞ人生経験の差」みたいな、若さゆえの、みたいなところはわかる。
でもそのあとの「雨上がりのチャイム いっせーのーせで校舎飛び出す」あたりの歌詞と映像のマッチ具合に味わいがない。
歌詞がまんま映像になっているのって、私はあまり好きじゃないんですよ。面白みに欠けませんか?
「水たまり」で水たまりとか出てくるし。叙景詩ってそういうことじゃないんだよなあとか思います。フジファブリックの『陽炎』の、あれが叙景詩ですよ。
つまるところ歌詞に映像が引っ張られているせいか、映像が歌詞を追っかけすぎたのか。岡田麿里の作詞は発注ミスじゃないか?
OPとEDがしっかり『亜人ちゃん』の物語をパッケージしているのはグッジョブなのです。なのですが……。
第1話の寸評。PVの出来が良すぎたのか
第1話というものは特に気合が多く入っているもので、流石のキャラ動かしですし、線崩れもないし。とはいえPV観たときの期待を越えてこなかった。
PVの「生徒の具合くらい顔を見たらわかるさ」からのいい流れが本編は数秒の空白が伸びてた。間延びである。
ひかりがいきなりタメ口なのが気になる……とか言い出したらもう老害認定受けそうだから流しますが、テツオが「ええと……」みたいなこと言って名前を聞こうとしているってなる回路に無理があると別アニメでも似たような展開をお目にかかる際に常々思う。そんな名乗りの持って行き方ってあるかよ。あそこは「で、その子はどこにいるの?」とかに繋がる可能性もあるでしょうに。
ひかり「先生の担当って保険?」
これもようわからんのだが、「保険じゃないの?」が正しいんじゃないのか。会話がつながってるようなギリギリつながっていないような。
とはいえ細かな所作は大好きです
シーンの本筋とは直接関係ないのにも関わらず、ごく自然に別の動きを入れる演技──ながら演技と勝手に称していますが、これが私は結構好きなんです。料理に一手間加えるようで愛がある。『ヤマノススメ』でここなのお母さんがここなの話聞きながら押し入れの襖を締めるやつ。ああいうのたまりませんよね。
ながら演技、さいこー。
このずり落ちた鞄を何気なく肩にかけ直す、いいなあ。たまらんなあ。
ひかりは町さんと話すときによく屈んでますが、目線を合わすのが良心的、とかそういうのより、相手の顔が近いほうがより気持ちが伝わっていいじゃん、くらいの考えのほうが純なキャラクターっぽいかなとか思ってみたり。
物語性について
「亜人が現代において個性として認められていた」というのは、学校にも通えるし教員にもなれる、ということでもあるけれど完全なものでは”まだ”ない。亜人側の四人からもそういった実感がちらほら行動や表情に現れている。
偏見ではないにしろ拭えきれないニガテ意識を持っている人間はまだいる。そういった社会のなかで、おそらく一番それを被っている体質持ちの亜人が町さんなんですよね。見た目がどうしてもインパクトあるので。他の亜人も別の悩み(キュートな)を抱えてるわけではありますが。
その町さんの一件を第1話でほぐす。これで物語の方向付けがしっかりできあがる構造なのだ。教室でひかりと町さんだけが仲良くなってはいけないんです。普通の人間も混ざってきて橋渡しとなる。これが大事なところ。
町さんいいキャラクターですね。眉毛の動きが印象的。芦奈野ひとしさんのキャラクターに通ずるものを感じる。
篠田みなみは『ふらいんぐうぃっち』の木幡真琴が私のなかの印象に残ってます。声の優しさと丸っこさが佐藤聡美を思わせる。でもヒヤッとした怖さも出せて、いい役者だなあ。
まだ第1話なので雪女ちゃんに乗り換える可能性もあります。日笠陽子ももちろん好きなので佐藤さんにいくかもしれません。私の好みとかどーでもいいですね。はい。
細部まで丁寧
神は細部に宿るなんていいますが、ガヤの生徒のちょっとしたそれっぽい会話とか、返事書くテツオの動きとか「デミって呼ぶの」の少し前のひかりの立ち上がり方とか、観ていて飽きない施しが細部までたくさんなのでおすすめですよ。
手紙受け取るところのマッチカットは背景の動きが少ないから印象が弱いのかも。
マッチカットgif
【失礼……こりゃあジャンプカットですな】映画『モンスター』のモーガン・フリーマンの手つきに似てますな。
キャラクター性に振り回されるようなPOVのカット
長ーい廊下なんかで正面のずっと先を見つめたまま歩くとすぐにわかりますが、人間が歩行する際に頭身は八の字を描いているんです。頭身が、よりは重心が、のほうが正しいのかな。自然、もしも視線が可視化できたとしたらそれも八の字に揺れるはずです。ぜひ廊下で試してみてください。
獲物を狙い不穏な運動をみせるPOVによって、ひかりのキャラクター性に暗い部分の疑いが芽生える。タメとツメがいい。
上昇するひかがみ供給
冒頭のワンショットから一枚。
こういうふうな、下からナメる撮り方や脚だけのショットのときって太ももまでしっかりフレームに収めてたと思うんですよ。少なくとも2年前以前(以降?)なら。しかしこの絵は膝上まで。太ももを排除してひかがみを強調している。文化的フェテッシュは太ももからひかがみに明らかにシフトしている。と私は思う。
冒頭で校舎の前に突っ立っていたひかりは、ヴァンパイアの性質のひとつである”招かれないと建物のなかには入れない”というアレを踏襲していたんだろう。だから門の前でもじもじしていた。登校時は先生方が声掛け運動をやっているから入っていける。なるほろ。さっき気付いたんだけど。
あと生物準備室での「十字架は? にんにくは? 心臓の杭は?」なんかのやりとりは『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』でのクリスチャン・スレーターとブラッド・ピットのやりとりからのオマージュ的なやつです。といっても定番の会話でもあるか……。
おしまい:亜人ちゃんについて語りました
ほい、あんまりまとまりがないテキストになりました。気になって観てもらえたらいいんですが。
あと実写でもなにか面白いものを……。
クリスチャン・スレーターとトム・クルーズに萌える映画を紹介してさよならとしましょう。
ヴァンパイアにインタビュー、つまりヴァンパイアと語り合う……あーなるほど(勝手に納得
【1/15追記】
そういえばスウェーデン発の『ぼくのエリ 200歳の彼女』の存在を忘れていました。そのリメイク作『モールス』も。なんでこんなネタバレタイトルになったのか……。
ヴァンパイア映画なら『ぼくのエリ-』がすこぶるオススメです。
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