作画崩壊の話、続きを書こうと思っては入るんですが、言葉が出てこないし核心をついたような感覚が得られず悶えています。年内は諦めました。
こっちの記事は書くの初めてですが年内には出してみたいので、いま急いでカタカタしています。年間のベストではなく心のヒットを振り返るコーナ。
ブログ「新米小僧の見習日記」様のページを参考に。
・2017年1月1日~12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。
・1作品につき上限1話。
・順位は付けない。
というルールで選出しました。
※にわかに語られる「第8話にはいろいろと降りてくる」説にはひっぱられていません。
視聴完走したのは40本くらいだと想う
四期あってそれぞれ10本くらい観るとそれくらい。そんなに安定して観れたわけじゃないので34~40くらいの、そんなサンプル数です。
『リトルウィッチアカデミア』第8話「眠れる森のスーシィ」
■脚本:うえのきみこ ■絵コンテ:今石洋之 ■演出:中園真登
3話でもなく4話でもなく。
「テンポ」や「間」ほど語るのにやっかいなものもそうないわけですが、LWAは最初からアッコの天真爛漫なおしゃべりさんというキャラクターがそのまま作品の推進力ひいてはリズムキープに一役買っていた。アッコが何かするたびに仲間やカメラが右往左往していたドタバタ劇が繰り広げられていたぶん、後半に入りアッコが試される時間になるとアッコの可動域は狭くなり動きは小さく予想の外へ飛び出すダイナミックさが薄れていった気がした。振り返っての感覚なのでたいした自信もないですが。
8話、断頭台におくられるスーシィの分身をアッコが助けるシーン。動きは小さいのに情報量にあふれている感じ。ちょっとした画の連続だけで何がどうなったのかが全部わかる。少ない動きに凝縮されたアクションが見事。この発想力がほんとに天才的だと思いました。
『徒然チルドレン』第8話 「傷だらけの天使」
■脚本:浦畑達彦 ■絵コンテ:セトウケンジ ■演出:牧野友映
この回は笑いましたね。初キスってデリケートな問題に、おふざけ混ぜないとまともに話せないちあきとかなのやりとりが初々しくて。「馬鹿だなあ」って笑いながらもちょっと羨ましい恋々模様の青春があったりして。魅力あるカップルが多くてキャスティングも合ってて、作品単位アニメ10選でも入れたいくらいです。
1話の心の領域に踏み込む演出や完成度。2話から登場の戸松が演じる妹など『徒然チルドレン』は見どころたくさんでした。
『メイドインアビス』第10話「毒と呪い」
■脚本:小柳啓伍 ■絵コンテ:小島正幸 ■演出:孫 承希
富田美憂がもし声優アワード新人賞を獲ったら、まあここの演技が評価されたんだろうな、と断言できるくらいにえげつないものがありました。それを5割増しくらいにしたのは登場人物平等に科せられた、手を抜かないサディスティックな呪いからのダメージを正面から撮ったカメラやドラッグ系描写による状況の悪化表現。「ああ、これはまずいな」と観客に思わしてなお継続どころか勢いを増す拷問のような痛み。めったにない「痛み」の共感が得られた回でした。ナナチはやっぱり可愛いですね。
『終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?』第1話「太陽の傾いたこの世界で」
『終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?』第1話より
■脚本:枯野瑛 ■絵コンテ:和田純一 ■演出:池下博紀
全体で見た構成として、第1話の冒頭が最終話の中盤だったり最終話一個前のBパート終わりだったりってのが手法としてはよくあるもので、それなりにアガるので私は好きです。不意打ちだと尚良。
でも「ああ、これは最終話あたりでここに戻ってくるんだな」って分かる作品も多々ある。『終末なにしてますか-』もその部類。おそらくは状況が唐突で断片的に始まるからだと思うんだけど。
それはそれで悪いとも言い切れなくて、「この状況はどういう経緯でなったんだろう? 気になる(視聴しよう)」となれば結果的に大成功です。事実、アバンで私は「これは大作の予感!」と興奮してましたし。後半に入ってもヴィレムの有能性を表す演出として”聖徳太子タイム”がありましたけど、あれって音声ありだからこそ再現可能なテクニックですよね。原作の活字であこそがどうなってるのかは知らないんですけど、アニメ化成功の一例だと思います。
『このはな綺譚』第8話「かりそめの訪客」
■脚本:吉岡たかを ■絵コンテ:奥村よしあき ■演出:鈴木芳成
ほへー、やられたーって感じでした。叙述トリックですかね。Bを主軸にAを繋げ付けた感じはありますが、Bだけでも見応えがありました。いい話聞いたなあ。
『月がきれい』第12話「それから」
■脚本:柿原優子 ■絵コンテ:岸誠二、平峯義大
■演出:ふじいたかふみ、高田昌豊、中田誠、平井義通、池端隆史
携帯電話やスマートファンなどの通信端末が発展した現代においては
、遠くにいるキャラクター同士の連絡手段が確保されているのがデフォルトな状態で、ドラマ性にひとつの(逆向きな)縛りができていると思っていたんです。観客に対してスキがひとつ増えるというか、ツッコミが入りやすいところだと。アニメにかかわらず小説なんかも同様ですが。
その半面、本作はLINEのようなものが頻繁に登場する。これは岸誠二が作品を作るうえで重要視している「時代性」のようなものを反映させた結果というか癖というか。監督の性分だと思います。
「”現代(いま)”の中学生の青春模様を描くのにどうしてスマートフォンを排除するのか?」
これを観ている”スマホが当たり前な中高生”たちには、けっこうな疑問符になるだろう。「電話すればいいじゃん。なぜその選択をしないのか不自然でならない」そんなことを考えると思う。『justbecause』……。
現代の若者のスピード感というか、やりとりの手軽さでしょうか。このあたりって30代以上のクリエイターはけっこう抵抗のある部分だと思います。私がそうってだけかもしれないけど。手軽さと軽薄さがイコールで繋がるわけじゃないにしろ。
愚痴ってても仕方ないので最近の通信機器がネックだなんだと言うよりも、スマートフォン(ならびにLINEのようなもの)を組み込んだ話をつくればいいじゃないかってのが、監督のスタンスだったんだと想像する。
だからweb小説を使っての告白アプローチであったり、タイムレスな意思交換に意味をもたせるドラマを書いてきたわけです。スマートフォンがあるからできることを。
ここまではまあ前提としての話。
で、私としては今の若者はスマホに毒されて縛られていると思い込んでいて、太宰を読む小太郎には是非こっちに戻ってきてほしいと思てたんですわ。
そこでもって最終話。
「終章」を書いたあとに茜に会いに行く途中で、一旦通知がないか確認するんですよ。LINEのようなものにリアクションがないか。(返信はなし)そこで確認した後に「違う!」って言ってまた走り出す小太郎は、このタイミングでスマホから彼は解脱したんですよ。
「思いというものは、文に込めるよりも言葉にして音にして伝えるものなんだ!」という太宰の時代の作法に思い至るというか、太宰の時代も恋文はあったと思いますがとにかく、それこそが愛の形だとここでは確信するんです。
この瞬間小太郎と私の精神性は完全にリンクしました。
もうね、心中「いっけええええ」ですよ。太宰だけに
まあその後、またLINEのようなものを普通に使い始めるんですが……。
『Fate/Apocrypha』第22話「再会と別離」
■脚本:三輪清宗 ■絵コンテ:伍柏輸
■作画監督:伍柏輸 浜友里恵 りお
エフェクトとアクション。作画の未来を覗いた。
私、正直に申してまだまだ眼も言葉も足りていません。凄さを言葉にできない。しかしエポックメイキングは確かに果たしたし、語るべく要素は詰まっている。作画について、アニメーションについて、何かを学ぶには22話を通っておいて損は無いと想う。
『けものフレンズ』第3話「こうざん」
(スタッフ不明)
12話と迷ったんですけど、単話でみるならこっちかなと。第12話は11話とセット的なところがあるじゃないですか(言い訳
いわゆるお使いイベント的な回だったのですが、目的(解決すべき問題)の提示からその解決、新たな目的地への手がかりと小出しにされる世界観へのヒントなど、謎部分のコントロールがうまいぞ! これ面白いぞ! との認識が固まってきた回でした。
バッテリーの充電している間に、庭に生えてる草でカフェのマーク作ってかばんちゃんの知恵を発揮する場面。功を奏してお客さんが来るのに合わしたような充電完了の「ピコーン」ってカットの流れが気持ちよかった。『セイ・エニシング』のラストを思い出しましたね。
『終物語』第7話「おうぎダーク3」
単話扱いにしにくいところはあるんですが、ハートにじわ~っと来た感覚は覚えているのでインしてます。物語シリーズがほんとに終わったと思ったんですよ、あのまとめに入ったときに。付き合いが長いアニメが終わるときのあの感じを久々に味わった。卒業式がこんなんだったなあ、みたいなね。
西尾維新の締めの言葉が名作感をかもし出すのだ、っていうのは長らく主張している持論なんですが、「めでたしめでたし」の破壊力はなかなかのものがありました。『SHIORI』の流れるタイミングも完璧。「ああ、終わらないで……」とそんな気持ちでした。
「愛〈め〉でる」の過去形で、「愛していた」っていう忍の告白でもあるのかなとも思ったけど、めでたしの語源は別の流れがあるのでここは思い過ごしの可能性が高い。けどまあ、自分本位の解釈もアリですよ、鑑賞スタイルなんて。
『ゲーマーズ!』第2話「上原祐と強くてニューゲーム」
■脚本:内田裕基 ■絵コンテ:川村賢一 ■演出:安部元宏
コメディ系が粒ぞろいな一年だった気もします。第6話のしつこーい「こうどな心理戦」など基本はコメディなんですが、第2話でのリア充をめぐる上原君「何がリア充だ見下してんじゃねえ! 俺が充実しているように見えるなら、それは俺の努力だ!」って論旨には、はっとさせられました。自らぬるま湯に浸かりながら外にツバはいていた自分が恥ずかしいです。「人生、あとには戻れない」と言わんばかりにUターン禁止の標識も美味しい。同じような意味の「一通」じゃダメなんです。
で、締めの台詞「最近さ、ゲームが楽しいんだ」がまたいい。助演男優賞ものですわ。
書いてみて気づいたこと
- ひねくりだした感が強い。
- 各話タイトルまで覚えているのは以前から稀ですが、半年前とかになると「あれって何話だっけ?」レベルにまで記憶が薄れていく。
- HPで確認しても「あのかっこいい演出があったのはこの回で間違いないっけ?」と自信を失う。
- 記憶もそうだが、感動した熱量のことを考慮しても、観てあとにメモを取るって大事なんだな。残念なことに間が置かれた二回目の感動は薄味だったり別物だったりする。
2018年もゆっくりよろしくお願いします。
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