年間10選の時期がやってきました。例年通り(参加は二回目)三馬身ほど出遅れましたが参加させていただきます。
10選のルール
・2018年1月1日~12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。
・1作品につき上限1話。
・順位は付けない。
新米小僧の見習日記 様のHPより引用
さっそく行きましょう。話数表記は作品準拠で。
- ハクメイとミコチ 第11話「夜越しの汽車/雨とテンカラ」
- 宇宙よりも遠い場所 STAGE2 「歌舞伎町フリーマントル」
- ゆるキャン△ 第1話「ふじさんとカレーめん」
- ミイラの飼い方 第3話「たいせつなひとが風ぜをひいたらとてもしんぱい」
- こみっくがーるず 第8話「わんにゃんにゃんわんまつり」
- グランクレスト戦記 第11話「一角獣城、落つ」
- ハイスコアガール 第11話「ROUND11」
- ヤマノススメサードシーズン 第10話「すれちがう季節」
- One Room セカンドシーズン 第9話「天月真白は探してる」
- ゾンビランドサガ 第7話「けれどゾンビメンタル SAGA」
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アレとかコレとかが入っていないのは観れてないからだ!
アニメ史に確実に残る衝撃の2018年
以下、作品トータルと選んだ挿話についてごちゃまぜたコメント。
宇宙よりも遠い場所 STAGE2 「歌舞伎町フリーマントル」
私にも「人がたくさんいる状況下での鬼ごっこ」の経験はあって、あの楽しさもまだ覚えています。友達のマンションだったりイオンモールだったり、いま思い返すと迷惑を顧みずの幼い行為だったし、いまの自分が特に嫌いな「公共性を軽視(ほとんど無視)」した行動で、おそらくもう、私が鬼ごっこをすることはないと思います。
本作のテーマのひとつに「青春」がありますが、青春を「開かれた可能性」とみるならば、私のなかで鬼ごっこはもう閉じてしまった(自ら蓋をした)可能性のひとつということになる。それを彼女たちはまだ持ち合わせているんだなと思うと無性に悲しくなり、一方で、「青春という可能性と幸福」は世界から消えたわけじゃなくて、自分のそばから離れているだけでどこかに存在はしている、という再認識の嬉しさも湧き上がり、複雑な感情を掻きむしられる歌舞伎町鬼ごっこでした。
クリフハンガーではなく、毎話きっちりと話をまとめ上げるつくりはドラマの構造に近く、締めの時間になると勝ちBGM的に流れるsayaさんの『宇宙を見上げて』も高ぶりに拍車をかけてました。
こみっくがーるず 第8話「わんにゃんにゃんわんまつり」
第8話Bパートは、漫画を描くこと──クリエイトすることから少し距離を変えた人たちの話から始まして。それだけでもうテーマとしてキツイものがあるんですが、総括すると「クリエイターでいること」みたいな話で。
何かを生活よりも本意気で取り組んだ人なら琴線に触れる部分だと思うんです。で、思いもよらない初歩の初歩でつまづいたり、「諦めたほうが楽じゃないか?」って自分を信じられなくなってきたり。
普通、自分で言いたくないですよ。「恥製造機、いや私そのものが生き恥」なんて。そんな哀しいこと言わないでよ。
ポンコツって苦しいですよ。そのポジションに甘んじて気楽になれるも一瞬で、書き続ける以上、挑み続ける以上は苦しい時間が常になってくる。
ぽんこつがゆえに習得率も悪く、時間ばかり空費して、いじけて、もっと効率良く取り組まなきゃと色んな情報ばかり求めて、蓄えて、そうして本来進める作業から遠のき、くすぶって。未熟なままで。横ばっか見て。上ばっか見て。
でもまだ自分に期待を持たないと、自分だけでもファンじゃないと潰れてしまいそうな、そんなポンコツがどうにも嫌いにはなれなくて。それをしてしまうと自分(まさに自分)の否定になってしまいますし。
続けることも簡単じゃない。頭もおかしくなってくるし、性格も変わる。
言うなれば編沢さんの一言「これはすごいことですよ!」が聞きたかったすべてで、私にも言ってほしかった全てだと思います。
EDの特殊画もいいですね。誰もが主人公だって改めて思いました。
グランクレスト戦記 第11話「一角獣城、落つ」
後半の炎の演舞など画面がかっこいいのはさることながら、ヴィラール・コンスタンス役の櫻井孝宏さんとマルグレット・オディウス役の甲斐田裕子さんのやりとり・演技がすごく良くって。両者が両者をわかっている淀みなく品のある会話の運び・台詞。さすが歴戦の猛者は役者が違うなと。
「負け戦の準備」のなかで、幸せだった(たとえそれが小さな見栄であったとしても)と告げるマルグレット・オディウスと、戦に勝った立場でも「自分の幸せは捨てたのですよ」と語らねばならないマリーネ・クライシュ両者を通した”女の幸せ”もお話として面白かった。
ゾンビランドサガ 第7話「けれどゾンビメンタル SAGA」
「足でドーン!」と「ドアはお前が直しておけ」のバカバカしさ(モップはお前が……)。
アイドル像の話。アイドルがあるべき姿の話。わたしもどちらかといえば「アイドルはトイレ行かない」的信仰の良さを支持したい、というか、偶像よろしく遠くの存在であってほしい派で。あんまりドキュメンタリー調に努力してる姿とか好んで見たくもなくて。「彼女たち頑張ってるでしょ?」的なエンタメが面白くなくて。まあそれはどうでもよいか。
なんと言っても後半のライブシーンのかっこ良さ。
アイアンフリルのダンス、手描きでがんがん動く。音ハメが決まってたり裏のリズムを画から感じられるのっていいですよね。
フランシュシュは動きがあるカットは3DCGで、たまに手描きも混ぜつつ。
「転んでも立ち上がってー♪」からの横に置いたカメラにフレームインしてくる四人と、さくらが前に出てくるところでピントが合ってくるカットのコンボに心掴まれました。
そのあとの落雷により『目覚めRETURNER』がテクノver.になるというぶっ飛んだ脚本はほんとに感動しました。アニメってこんなに面白いんだなっていつになく大興奮。部屋で一人、久々に涙ぐみました。
ハイスコアガール 第11話「ROUND11」
大野さんの境遇が辛い。世界がモノクロになるのもよくわかりますはい。
「10カウントで終わるはずだった世界が色づく、エンカウントでコンティニュー 小さな革命だった」はここのためにあったんじゃないかと思うくらい、物語にこれ以上なく寄り添う歌詞とそれを挿し込むタイミング。
ハルオの気取らない性格と、「ようやっと」みたいな随所でみえる懐っこい喋り方がとにかくいい男でした。サムスピのロード再現も笑いました。
ヤマノススメサードシーズン 第10話「すれちがう季節」
仕草ひとつ部位ひとつとっても、切り取り方や残し方が変われば伝わる効果も違うもの。
画面のなかの画(絵)に”絵”以上の意味を含ませ、膨らませる──それが「優れた演出」なんだな、と演出というものの働きと重要性を再考するきっかけになった第10話。指の組み方や手の振り方、荷物を肩に戻す腕の回し、随所にキャラクターが生きてる感じがすごくした回でした。
かすみ様の顔に斜陽が広がるカットのインパクトは忘れがたいです。
One Room セカンドシーズン 第9話「天月真白は探してる」
2ndシーズンで飛躍的に画面力が上がって驚きました。
シリーズ通して主人公(視聴者)をフレームに入れないカメラの制約を貫き、ときおりの主観ショット(そして視姦ショット!)を混ぜながら、彼女たちが映えるレイアウトで撮っていく。主観ショットでありながらも、否定や肯定の意思表示にカメラを首に見立てた大振りアクションなどの大味な表現もなく品がある。
主人公のフェチズムとカメラセンスに軽く嫉妬。
なかでも天月真白編は、ストーリィ良しED曲良し声優良しの三拍子揃いの短編でした。
新体操のポージング中に繰り出される舞台照明(サーチライト)を意識したコントラスト強めの光と陰影の効果も素晴らしかった。
ハクメイとミコチ 第11話「夜越しの汽車/雨とテンカラ」
挿話で選ぶという今回の趣旨ですが、1話から11話までを積み上げてこそ味わえる面白さもあったような気がします。気がつけばすっかり小さい世界に親しんでました。
そんな特殊な世界のなかに生きているハクメイとミコチにとっても夜汽車に乗るのは非日常のできごとで、知らない景色に一緒にワクワクできるお話。旅行っていいなあと。
同乗した乗客のガヤ、走行する列車がレールを叩く音、雨の音などの環境音SEが絶えず流れるリアリティの近さが印象深い回でした。
仲が良くても、全部の嗜好があうわけではない。
ヒリつき、いつ爆発するんだろうとヒヤヒヤしながら観ていた「釣り」を巡る二人の腹の中の思い。それをお互いに言いあい、受け止めあう二人の関係性、とりわけミコチの吐露には感じるものがありました。
ものを好きになるきっかけなんてなんてことのないことなんでしょう、的なやわらかいオチも好き。雨は上がる。
ゆるキャン△ 第1話「ふじさんとカレーめん」
冬キャンという新しい趣味を知る。松ぼっくりの「\コンニチワ/」の衝撃。
LINE(無料通信アプリ)らしきメッセンジャーの描写も、目で追いやすいテキスト設計になっていて非常に好ましい。
日光、月光、ランタン、蛍光灯、焚き火──みな違う光の柔らかさや温度を使い分けて表現していて勉強になる。深夜しか拝めない景色、キャンプの醍醐味が詰まった良回。
優れた食事描写に必要なものをほとんど凝縮したようなカレーめんを食すシーンが登場したのもこの回。
ミイラの飼い方 第3話「たいせつなひとが風ぜをひいたらとてもしんぱい」
ミー君が一晩、空(主人公)の看護をするシーンが良かった。ミイ君は言語を発しないので「うんしょ、うんしょ」的なイメージを乗せた鳴き声と、感情のポップアップアイコンだけで魅せていく構成。サイレント映画を観ているときのような、台詞の想像を掻き立てる楽しさがありました。ミー君の愛らしさが爆発してます。
カットの並べ方も抜群で、部屋に差し込む月明かりを中心に、机の上の洗面器やこぼれた水滴にかかる反射光の描き方が非常に美しい回でした。
アニメって面白い
以上です。観てない作品も多数ですが、よければ2018年アニメの復習の参考にしてくだされば、さいわいです。良いお年を。
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