【アニメ】『正解するカド』脚本:野崎まどについて書いた日記話

正解するカド第一話 アニメの話

正解するカド』第9話放送時、脚本:野崎まどがブチかましたホームランを客席から見上げ、消えていったボールを見送りながら私は口元を緩めて心中小さくガッツポーズをした。アベンジャーズ的な引用で「これが野崎まどだ」でも言いたい気分だった。

 

私と”野崎まど”との付き合いは『[映]アムリタ』が出版されてすぐの頃、かれこれ8年ほどになる。二見くんが掲示板に目をやってから8年も経っている。思えば遠くへ来たもんだ。

──といってもこの場合の”野崎まど”は、「私は芥川が好き」同様に野崎まどが書いてきた小説のことを指すので、著者・野崎とは当然会ったこともない。

当時、純なトンガリワナビーだった私は最原最早の奔放なキャラクター性に惚れてしまい初めて著者へのメッセージというか巻末に挟まれているアンケートのようなものを書いたことを覚えている。わざわざ切手まで貼って投函したのだから相当に衝動的な高揚があったんだと振り返りつつも、電撃一強のキャラ萌え時代──あまり迎合したくない煽情的な作品がウゴウゴしていた時代──にメディアワークス文庫は新風を吹き込んでくれるんだと期待もあったり。メディアワークス文庫もKADOKAWA傘下なのだが……。

 

 

独創短編シリーズ 野崎まど劇場』のなかで西山田組若頭抗争記録という短編がありまして、私の地元の、自転車で15分位の地名がオンパレードで妙な親近感をおぼえたり、「もしかして同郷なのかな、」なんて想像すらしてました。

短編小説どころか、もはやコントの台本をたくさん読まされている感覚なのですが、いいアンテナを持っている人だなと毎度笑わせてくれる本書はオススメです

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このブログの屋号も潜在的に影響を受けていたのかもしれない。

でも一発目の西部劇の短編からアクが強い作風出まくりなので、まずはメディアワークス文庫から刊行されている作品を何か(『2』以外)読んでから読むのが良いんじゃないですかね。

そこで言葉のやり取りの味が楽しくなってきたら『野崎まど劇場』も楽しく読めるはず。やはり最初は『アムリタ』か。

なにせ【オールタイム推薦図書のコーナ】に置いているくらいだから、それくらいのお気に入り具合なのは伝わってほしいところ。放送が始まってからラインアップに加えたんじゃないからねっ!

 

とにもかくにも私は「野崎まど」が依然好きである。これももちろん比喩だけど。

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『正解するカド』おもしれえなあ

正解するカド第9話
『正解するカド』第9話より

 

古参ぶってもしょうがないので、なんて前置きがすでに少なからず古参である自覚がいやしく滲んでいるというか「とはいっても古参でありたい」なんて願望が見え隠れしている気がする。それはまあ良しとして。

さて、『正解するカド』。

ジャンルでいえばSFが土台になるのだと思う。SFにはまったく明るくないのでハードやソフトの裁量も曖昧だけれど、『未知との遭遇』のテイストで身構えていけばいいのだと判断した(第10話観た感じだと『2001年 宇宙の旅』も入っていたり)。似ているとかではなく。

アムリタから『2』までの初期中期の作品傾向でいえば、野崎まどの作品世界は割と狭い範囲のできごとだった気がする。芸大での自主映画の話。小劇団の話。私立学園での殺人事件。作家志望ガールとの共作の話……などなど。野崎など。

狭い世界でありながら、常識をひとつふたつ覆してきた。お約束を反故にしてきた。

が、作品内で真実や新概念が提示されてもやはり世界がどうこうなるわけではない。あくまでも小規模。世界のどこかではこんなことが起こっているかもしれない。そういう想起だけで幕を終える。そういった観点からは「少し不思議:SF」な性質を持っているといえる。エブリディ・マジックではないにしろ。

それが、ハヤカワから出版した『know』では「SF作品ゆえ」とはいえ、世界設定からして明らかにテイストが変わった。世界のシステムに絡まっていくべく、主人公の役職も重役のポジションに設定されている。小市民が非日常で何かをする話ではなくなった。

ハリソン・フォードの『ブレードランナー』が設定はそのままでリック・デッカードが一般人だったらという想像をしてみればわかりやすい。話は全く別物になっていたはずである。──これは別にいらない情報だった。

そして今回の『正解するカド』の主人公、真道幸路朗もエリートでありエリートらしい役職についている。外務省 国連政策課の首席事務官。なんだかすごそうだ。スケールもでかい。

ヤハクィザシュニナ──異方の存在は宇宙の外から来ている。

おそらく作品史上最高規模〈スケール〉であり、(ここがすげえ大事なのだが)最多の人を物語に巻き込んでいる。主人公にかかる命運の比重が『アムリタ』とは桁が違う。話のジャンルが違うから当たり前なんだけど。

ともかく。とはいえ?

キャラクター配置論についての考察

「SF」と聞くと、宇宙へ行ったり地中奥深くに潜ったりすることが多い。となると大掛かりな設備が登場し、背景には莫大な資金の存在が必要になる。個人資産にも限界があるので、その対策ではないが「よく理由は知らないが、お金に潤沢な組織」が登場する。そこで、この組織が「公式」か「非公式」かというものが一つの分水嶺となる。

もうひとつ。

主人公が有能であり何かに長けたセンスの持ち主である、という基本的な型のひとつであるが、物語がスタートする段階で、「有能だからそのポストについている」のパターンと「有能だけどもふさわしいとはいえないポジションに甘んじている」パターンに別れる。

『カド』『フルメタル・パニック』は前者パターンであり、後者の代表となるのは『インデペンデンス・デイ』『アルマゲドン』『ヱヴァンゲリヲン』などが入る。

「抜擢」がキーワードかもしれない。それっていわゆる「巻き込まれ型主人公」なのでは……?

このふたつはけっこう重要な視点だと思っているので皆さんも映画なんか観るときは確認がてら思い出してみてはいかがでしょうか。

話を野崎もどにまどしましょうか。

どうにもM・ナイト・シャマランを思い出してしまう

野崎まどに対する作品を読むときにナイト・シャマランがだぶるのは私だけではないと思う。ナイト・シャマラン好き、かつ野崎まど好きメンがどれくらいいるかは未知数だけども、設定を盛大にぶち上げて後読感とともに「これ、畳みきれた……のか?」と名状しがたい気持ちにさせてくれる。この感覚。たまんねーな。

世界規模の作り方にも似た傾向を見る。

シャラマンは『シックス・センス』から観始めた私ですが、『シックス・センス』のコール少年の”ある能力”で設定ぶちあげて見事に走りきった作品。これも世界規模は小さく、二人の対人関係が基軸でした。

アンブレイカブル』も同様。基軸は二人。事故の被害者は例外にしましょう……。

サイン』『ヴィレッジ』『レディ・イン・ザ・ウォーター』も狭い。
”とある限定的な場所”のできごとで完結する。

ハプニング』でようやく一段階範囲の広がりをみせる。シャラマンの妙設定が社会問題に発展する。

このように、だんだん物語の舞台に広がりが見えるところが密かな共通点だったりする。

妙な設定を出発点や終着点にする点も似ていると私は思う。その「妙さ」のベクトルが似ているのかもしれない。

発想にトキメキ

シャマランの物語を真剣に叩こうとするのは紳士的ではない、みたいな考え方がいつからか定着して、冒頭の映像美からの「(今度こそはすごい大作かもしれない……)」という期待感を味わいながら最後には「まあ、シャマランだしな」的に自分を慰めるのがシャマラン映画の楽しみ方だったりする。それに引っ張られるがごとく、「まあ野崎まどだから。完璧な着地を求めるのはお門違いかもしれないな。ふははh」みたいな見方が自分のなかにはある。

ホームランを打ってベースを踏み忘れるのが野崎まどだったりするのだ。で、「あのホームランの軌道は最高だったなー」と半ば自分を騙しながら評価するのが嗜みなのだ。

そういえばシャマランの『スプリット』で過去作との繋がりが明らかになったときすぐに野崎まどの『2』を思い出したりしました。この辺もなんだかミッシングリンクを感じてしまう。

カドの話してない

第9話のホームランが予想通りといえば予想通り(ぶっ飛び新展開をほうりこんでくるだろうな、という意味合いで)ではあったけど、このあとたためるのか? 期待して良いのか? 過度な期待はなんとやら?

たためなくても私は一向に構わん! のスタンスでこのさきが楽しみです。

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世界の終わりと始まり。人類は「正解」できるのか。全ては、想像を絶するファーストコンタクトから始まった。突如出現した謎の存在「カド」。異常事態に翻弄される日本政府。そして世界の行方は、ひとりの交渉官(ネゴシエーター)に委ねられる——。 (C)TOEI ANIMATION, KINOSHITA GROUP, TOEI

タイトルの”正解する”を曲解していくと、

正解する→マルをもらう→地球(まる)をいただく→地球を侵略するぜ!

つまり、地球を侵略しにきた異方(”方”には四角という意味もあるし)ってことなのかなーとか。

な、なんだってー!!!! ΩΩΩ

 

おしまい。

参照リンク

正解するカド公式サイト

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