評判の高いASMR特化型イヤホン、「E500」を買いました。イヤホンの進化にはいつも驚くばかり。
これです、final(ファイナル)から出ている「E500」。
なにがどうなればこんな優秀なイヤホンが2020円で市場に放たれているのか。乱獲の予感をビンビンに感じています。
いま2000円以下でイヤホンを探してるなら、予算上限にあと20円プラスしてこのE500を買ってみてください。幸せに近づけます。Amazonのタイムセールなら1750円くらいになることもありますし、セール時期は要チェック。
ちなみに、こういう作品を嗜みたくてE500を買ったのです。
おっとり照れ恥ずかし、視線下げつつハニカミ、みたいなところのお得意のかわいさに加えて、近接(超近接、半ゼロ距離)の囁きの威力が高いですね。寝息・吐息のデクレシェンドの甘さがそそります。一聴ください。
E500はASMR向けという触れ込みですが、音声作品だけでなく、映画にも良し、意外にアニメにも良し、ゲームにも適している全方位型のオールラウンダー機だと思います。
そんなこんなで、そろそろE500のレビューを始めましょう。
エントリー価格帯に革命的なイヤホンが存在していた
外箱はスタンダード。
もしかしたらE500に関して、「えっちなイヤホン(命名:小岩井ことり)」なんて二つ名くらいは耳にしたことがあるかもしれません。知らない方にはいきなり何を言ってるんだこいつ状態ですね。
家に届いて早速聞き流していましたが、エントリーモデルの相場である2000円台3000円台の価格帯に革命を起こすイヤホンではないかとすこぶる驚嘆。いやすごいイヤホンがあったもんだ。
「すっきりしたSE215」という印象である
E500はASMR向け、VR向けのイヤホンというバイノーラル特性との触れ込みではありますが、普段のリスニングも十分堪能できる性能を持っています。ポップスでもメタルでもフューチャーベースでも鮮やかな色が浮かびます。
買いたてのイヤホンは角が立っている(だからエージングが必要)なんて話をよく耳にしますが、初聴からいい音がしてびっくりしました。
エントリー価格帯の有線イヤホンだと、フィリップスのsheシリーズ(SHE9700は良かったなあ)を推していた過去もある私ですが、finalのイヤホンも相当すごい。
一聴した第一印象はすっきりしたSE215といった印象(経験のあるイヤホンのサンプルが少ないですが)。
Westoneのレシーバーで無線イヤホン化させて使うのがメインになっています。イヤーピースはSHURE3連フランジ。
このイヤホンもおすすめの逸品。耳コピにも向いてます。
すっかり1万円超え商品になっちゃってまあ……。
SE215のような低音のパワフルさは半歩ひいて抑えめにしつつ、高音部の素直なニュアンスは取りこぼさず、音の鳴る空間を広く眺める志向を目指している、というのがE500の第一印象。何よりも全部の音を拾ってやろうという気概をばりばりに感じます。
気持ちよくなってついつい音量を上げたくなります。
有線イヤホンはSHURE掛けでタッチノイズを軽減
SHUREのイヤホンの話が出てきたのでついでに「SHURE掛け」についても少し。
E500は有線イヤホンです。着脱式ではない”純正”のイヤホンです。
「有線イヤホンか、有線はタッチノイズがあるから嫌なんだよな……」と思うのは理解できます。しかし、有線によるタッチノイズは「SHURE掛け」をすれば90%は軽減できます(当人比)。タッチノイズが理由で有線イヤホン敬遠派にもおすすめの装着方法です。
ケーブルを耳の後ろから通すことで耳裏がオブザーバーになり、タッチノイズの発生を防ぎます。これでもうイライラしません。
E500はshure掛け向けに設計された形状ではありませんが、ケーブルは柔らかくドライバも小さいカナル型で、無理せずシュア掛けが可能です。効果は絶大、お試しあれ。
ASMRに留まらないオールラウンダー型のイヤホン
ボーカル域、ボイス域の描写力再現力が素晴らしいのですが、バンドセットの音源を聴いても、ドラムの低音やギターの音色も輪郭がすごく出ていて、聴いていて面白いです。特にシンセベースの”ざらみ”。波形が見えるようです(見えません)。
アニメを観ていても、「靴の音は別に収録しているんだ」というのがはっきりわかります。SEとフォーリーが飛躍的に前に出てきますね。でも、馴染んでいないわけではないです。音が浮き上がってくるというんですかね。小さい音ほど耳を傾けたくなる、そんな感じです。
耳コピの用途にもおすすめできる
ベースもギターもシンセサイザーも、音階がわかるだけでなく「どう歪んでいるか」「どう弾いているか」「どう鳴っているのか」など、エフェクト的な部分にも気づくことがめちゃくちゃ多く、何回も聴いたお気に入りの曲でも新発見にあふれてます。目を閉じれば「この音はこのトラック。で、これはこっちのセンド」といったミックス風景さえ視えます(※幻聴と幻視のコンボ)。
耳コピしたい人、ミックスを深く理解したい人向けのイヤホンとしても、かなりおすすめです。
低音がやっぱりすごい
特筆したいのは、低音のゆらぎとサスティンです。フロアタムの「ドォォォーーン…………」といった残響やシンセベースのビリビリくるウーファーの質感はSE215を越えたと思ってます。
あとはエージング期間(150時間~200時間)を迎えたらどんな別の顔を見せてくれるのか、そこがまた楽しみだったりして。
兎にも角にもほとんど全方位、無線原理主義者とヘッドフォン派を除いた方々には満足を提供できるんじゃないでしょうか。
吐息の減衰を追いかける
もちろん、ASMRを堪能したい方にもハマると思います。評判通りの近距離間。
囁きや吐息のニュアンスっていうのはクレシェンド・デクレシェンド、その始まりと終わりの小さいところに大事な気持ちいいポイントがあるわけです。
「ハァ……」とか「……スゥーー」といった、呼吸の減衰と際立ちをどれだけ鮮明に描写できるかがイヤホンのチカラの見せ所なのです。声が消えて空気の音だけになる瞬間が気持ちいい。それがE500の真価であり、上田麗奈の魅力である。
おすすめです。聴キスギ注意
外見のお話とデータ
ケーブルの長さは1.2m。耳の位置からだいたい膝の下あたりまで、ぶらーんとぶら下げた長さがそれぐらいです。コートの深いポケットに入れる人、パンツのサイドポケットに入れる人、どちらにも十分な長さ。
太さは中ぐらい。シュア一家よりは細いです。
ジャックはL字設計。
愛機のZenfone(ASUS)に差し込むとこんなふう。ちょっと出っ張ってる感じがします。スマートフォンで使う機会はあまりない私。
イヤーピースはSS/S/M/L/LLの5サイズ。
予備は別の袋に入ってます。
柔らかいシリコンが採用されていて、装着したときの耳馴染みはいいです。
本体は芯形で細く、ぐっと押し込めて三連フランジいらずな作りです。
音量はやや小さめか
インピーダンスは16Ωということですが、手元にある「UM PRO 30」や「SE215」と聴き比べると若干の音の小ささを感じます。
本来の思想がVR用、ASMR用といったバイノーラルシステムの環境に強いつくりであることを考えると、そこまで大音量を求めるシチュエーションは限られるか、アンプやソフト側の音量調整を複合的に想定したのかもしれません。
左右の見分けがつきにくい
難点は左右の見分けがつきにくいことでしょうか。
LとRの印字はされていますが、画像はけっこうなズームで撮ったものです。
衰え始めたおじいちゃんの目にはキツイです。慣れると手触りで判断できるから、慣れましょう。
ASMRにおすすめの革命的イヤホン、final「E500」のレビューでした
これはいい買い物をしました。ASMRブームの火付け役になったのも頷ける。
公式のデータを引用しつつちょろっとした雑感を書いてきましたが、これは久々に自信を持って言える「買い」イヤホンです。少年少女から紳士淑女まで、耳コピから耳かき音声まで、力強い相棒になるポテンシャルあり。
そしてそして、E500の本領発揮はやはり音声作品でこそ。
ベストマッチなイヤホンを買ったあとには、ベストマッチな声優を耳元に召喚しましょう。
E500を耳に通せば音声開化の音がする。
マイクやリモコンも付いてたほうがいい、という方には上位機種にあたるE3000を候補に。
以上、「ASMR向け」に留まらない優秀なイヤホン、E500のレビューでした。
おしまい。
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