レビューの企画に応募したら予想に反して当選しました。しかし、当たったからには真面目にレビューします。サウンドのようにフラットに。
で、こちらが今回レビューするノイズキャンセリング機能搭載の完全ワイヤレスイヤホン『Sudio ETT』。
聞き馴染みがないですが、スウェーデン発のブランドです。スウェーデンといえばSpotifyもスウェーデンの企業でしたね(数少ない手持ちのスウェーデン音楽情報)。
長い間、ノイズキャンセリング機能に関してはアンチの立場をとっていました。
ピュアオーディオ的にどうなのだという葛藤や疑問が理由です。ノイキャンとか搭載させたら音が悪くなっちゃうんじゃないの、みたいな。
しかし今回の聴き比べをした結果、元の音源に悪い影響が出ているのかは判別できませんでした。音源への悪い影響も感じられない。集中したいときに雨の音や自動車の音がカットできるのなら、生活にノイキャンを取り入れるのもありかな、と気持ちを切り替えていく所存です。
そんな体験レポート&レビュー、始めます。
Sudio ETT、製品データと気になるところ
製品仕様と主なデータは以下の通り。
- 対応機器:Android,iOS
- 製品タイプ:インイヤー 完全ワイヤレスイヤホン
- ドライバー型式:ダイナミック
- マイク内蔵:あり
- Bluetooth:5.0
- 通信距離:10m
- 対応コーデック:SBC
- 防水性能:IPX5
- ワイヤレス接続:対応
- 最大連続再生時間:約6時間(ANC ON+音楽再生約4時間)
- ケース含み連続再生時間:最大30時間(ANC使用で最大20時間)
- フル充電時間︓約90分
- 充電方法︓USB Type C、ワイヤレスチャー対応
- クイックチャージ︓15分充電で1時間再生
- 同梱物︓クイックスタートガイド、充電ケーブル(USB to Type-C)、シリコンパラボリックイヤチップ5セット(5サイズ)、シリコンイヤチップコニック3セット(3サイズ)
平均的というか常識的なツボは押さえています(インピーダンスなどの数値は省略しました)。
続いてデータと雑感。難癖っぽい自覚あり。
防水性能は「IPX5」
レベル5ということは、大雨には耐えられるけどお風呂の湯船に潜ったりはできない。湯船に落としてもすぐ救出できればなんとかなる、といったレベルの防水性能ですね。
耳につけたままシャワーを浴びられるということで、お風呂でもラジオを聴いたりクラシックでリラックスなんてことも実現可能になりました。私はお風呂で使用する習慣がまだないため、お風呂に持ち込むのはもう少し先になりそうです。
音質面:AACも対応していればよかったのに
AACやSBCというのはコーデックの規格のこと。
ワイヤレスイヤホンでは、データ送信の際にどう圧縮するかが音質&遅延に影響してきます。SBCはコーデックの標準規格なのですべての機器に対応しています。その上位規格として、iOSならAAC、AndroidならaptXと、遅延が少なく高音質なコーデックが存在するのですが、本機ETTはSBCのみの対応。
SBCが低性能なわけではないのですが(実際のところ、本機の「遅延」に関しては演奏動画などを除けば十分に許容できるレベル)、演奏動画やダンス動画、音楽ゲームなどは音と映像がジャストでハマらないので、気になるかも。
漫才やコントを観たりするくらいなら問題ないです。
通信距離が心もとない
これも手持ちの別機種のワイヤレスイヤホンとの比較で感じたことですが、通信距離の公表値、10mの境界線付近では安定しません。8.5mくらいで想定していたほうがいいです。ちょっと短い。
同じclass2(通信距離10mの製品)の別機種イヤホンではPCからBluetoothで繋いだままトイレに入っても十分に接続を維持できていたのに、「ETT」ではたまに音が途切れます。壁に弱いのか、距離に弱いのか、ここはウィークポイント。次の改善点になれば。
これも端末がずっと近くにある方なら気にならない、目をつぶれる問題でしょう。
sudio ETTの外見や装着感について
せっかく撮った写真もあることですし、載せていきます。
中身を横から引き出すタイプ。プレゼントを想定されたような設計がおしゃれです。
同梱アイテムは、クイックスタートガイド、充電ケーブル(USB to Type-C)、シリコンパラボリックイヤチップ5セット(5サイズ)、シリコンイヤチップコニック3セット(3サイズ)
本体のほうも見ていきます。
サイズ感はこのくらい。
ケースの蓋を開けるとイヤホンが入っています。出荷時は絶縁テープが貼ってあって充電されていない状態です。付属の充電ケーブルを突き刺して1時間半ほど充電すればフルで使えるようになります。
ボタンは左右のイヤホンにひとつずつ。マルチファンクションと呼ぶらしいです。
ボタンで行える操作は以下の通り。
- 再生/一時停止
- 次の曲に進む
- 前の曲に戻る
- 着信に応答する/通話を終了する
- 着信拒否
- NC機能のオンオフ
完全ワイヤレスイヤホンの課題(あるいは限界)といってもいい、曲中の早送り/巻戻し、音量の調整は本機でもできません。端末側での操作が必要になります。
イヤホンへの充電は点滅が終われば完了のサイン
ケースにしまうと自動的に電源がオフになり、イヤホンへの充電が始まります。充電中はゆるやかに点灯を繰り返します。フル充電が終わると消灯します。
だいたい一回フルで充電するとランプがひとつ消費していました。
ケースを充電するタイミング
一番左のライトがチカチカ点滅し始めたら、ケース内の残りの電力(充電)がなくなってきたサインです。放っておくとイヤホンへの充電が始まらなかったり、イヤホンへの充電の途中で切れると再度イヤホンの電源がオンになったりします。
光り始めたらコードを繋いで、ケースの充電をおこなうようにしましょう。
ケースへの充電は光り続けるランプに注意
今度はケースへの充電。
ケースが充電中のときは、4つあるライトが点滅しながら左からひとつずつ溜まっていきます。4つのランプが点滅せずに光れば完了。途中までの充電でも、イヤホンに電力を供給することが出来ます。
コンセントと接続している間は、充電が完了したあともずっと光り続けている(点滅はしない)ので、勘違いしないように。点滅が終わったら抜いておきましょう。
充電のスピードはかなり早く、タコ足配線に繋いで充電しても1時間半で完全充電されました。
ワイヤレス充電にも対応
ワイヤレス充電器なるものを私はまだお目にかかったことがないですが、テーブルに置いただけで充電が始まるスグレモノがあるらしい。充電が始まるとケースのランプが光るので、状態はひと目で分かりますね。10年前に想像していたものが実用はおろかこんな安価で販売されている……驚きです。
この充電器はETT以外の製品もワイヤレス充電に対応していれば充電可能とのこと。
聴かないときはすぐさま充電ケースへ
私は充電に対する変なこだわりがあって、イヤホン側のバッテリーが少なくなってから充電したいという思いがあるのです。スマートフォンなんかでもそうですが、残量80%くらいで充電したくないんですよ。15%を切ってからしか充電を始めたくない。もしかして少数派かしら。
裸で置いてはおけないからって逐一充電ケースに収納するのもどうにも抵抗があるのですが、そこは頭を切り替えていかないといけないようです。リチウム電池の扱いも進化していると信じましょう。
バッテリー残量ナビからはけっこう長持ち
残りのバッテリーが少なくなってくると、ナビで知らせてくれます。最初のナビ通知から約14分で完全にシャットダウンしました(ノイズキャンセリングモードはオンの状態)。
耳にフィットする形状、寝ながらイヤホンも合格ライン
ETTは耳の「ヤマ」で安定を図る設計で、腕立て伏せをして顔が下を向いたり、グラウンドを走ったり首を振ったり自転車に乗って段差を乗り越えてもイヤホンは外れずに聴き続けることができました。フルフェイスのヘルメットを装着しても圧迫感は薄く、痛みもなかったです。
これはなかなか良し。
耳の穴に突っ込むタイプでもないですし、わりかし平たいボディが功を奏しているのか、横になって枕を下にしても痛みはありません。若干の押し込み感は当然ありますが、睡眠前のリスニングも問題ないでしょう。勝手にボタンが押される、ということもありませんでした。
寝イヤホンにもわりかし向いている部類だと思います。
外見からはロゴが視えない
ブランド名は内側に印字されていて、装着していると他人からは視えません。これは利点かどうか人それぞれ。私はどっちでも構いません。
デザインに関しては画像の通り、AirPodsのようなつるっとした流線型のシャープさはなく、丸より四角寄りの「樽」のイメージです。
「北欧らしい洗練されたデザイン」はいまいちわからないズブの素人ですが、さらさらしている手触りで安っぽさはない感じです。滑って落としたりもしにくそう。
ペアリングが完了すると点滅しなくなる。素晴らしい
いろんなイヤホンを使ってきましたが、接続完了後にも光り続けるあの仕様はいったい誰に向けて点滅しているのか。ほんとうに意味がわからなかったのですが、ETTはペアリングに成功したあとは点滅しないので、部屋を暗くしても点滅に悩まされることはないです。
他の機種にはなかなかないGOODなポイントですね。
電源をオフにするとイヤホン側では戻せない。そんなあ
あと注釈として書き残しておきたい点がひとつ。
イヤホン側の操作で電源をオフにはできますが、再度オンにはできません。独立してオンオフの操作ができないため、ペアリング不良でリセット時、大きな移動時はケースの携帯が必需になります。これは不満点。
特別困る事態はなかなか発生しないかもしれませんが、謎が残る設計ですね。
ノイズキャンセリングの性能について
一番の注目ポイント──ノイズキャンセリング。
NC機能はどちらかのボタンを2秒間推し続けるとオンとオフが切り替わります。ガイダンス(ナビ?)が「オン」と「オフ」の切り替えを教えてくれます。
オンの状態のほうがやはりバッテリーの消費が早いです。使い所を見極めて都度オフに切り替えるのが長持ちの秘訣ですが、しだいに面倒くさくなってきて、いまはほとんどオンで過ごしています。
自宅では「90%無音」を獲得できる
90%というのも感覚に頼りすぎなきらいがありますが、ひとまず自宅・室内でNC機能をオンにして差作業をしてみました。
- 雨の音
- 大通りを走り抜けていく車の走行音
- アイドリングストップの車のエンジン音
- 車・玄関のドアを閉じる音
- 階段を登ってくる住民の足音
このあたりの持続するタイプの音は一度気になると全部の作業がだめになってしまいますが、心配もどこへやら、ほとんどカットしてくれました。さすがに救急車がやってきたときはサイレンに気づきましたが。固定電話の着信も2度ほどスルーしました。留守電が残っていて電話があったことに気づく。
集中したいときも、もう大音量でかき消さなくても大丈夫なんだと思うと嬉しいですね。他人からのストレスにめちゃくちゃ弱いので。
STEP2:ノイズキャンセリングとともに外を散歩する
ぱっと思いついた「音の大きい場所」──駅へと向かいます。
駅に向かって歩いている最中、時速20kmぐらいで車が1m横を通過していきましたが、抜かれるまで全く存在に気づけませんでした。ノイズキャンセリング自体にこういう怖さがあるので、外の移動時は使い所が難しいですね。
ともかく駅前に到着。
線路の真下の位置に入って電車が通過するタイミングも試しましたが、さすがにこのあたりは普通にガタンガタンとイヤホン越しに聞こえます。おそらくどんなイヤホンでも電車の下で無音になることはありません。ノイズキャンセリングに未知の期待をしていたようです。
ただ、その場でイヤホンを外してみると、60kmで走っている自動車の「しゅーー」といった走行音が聞こえてきて、「そうだな、普段はこれぐらいの音がする環境だったな」と思いのほかうるさい環境に身をおいていたことを思い出しました。
決してNCの効果が出ていないわけではない。
物理的に音を遠ざけるようなイメージ
たとえるなら、自動車やバイクといった音の発生源を物理的に遠ざけているようなイメージです。
5m横を走る自動車を20m向こうに、20m先で走っている大型のバイクを30m向こうに飛ばしているような感覚。あるいは音の発生源との間に壁を2枚3枚挟む感じ。
そういった「マイルドなノイズキャンセリング」の印象を受けました。
NCの性能について「マイルド」という修飾(あるいは評価)がふさわしいかはわかりません。が、Apple AirPods ProやWF-1000XM3のような完全シャットアウトと謳われるクオリティまではいかないまでも、あくまでも「ノイズ」だった音が止んだのは、ノイズキャンセリングのチカラだろうなと思います。
おしゃれイヤホン「Sudio ETT」のレビューでした
目玉の機能であるノイズキャンセリング性能はマイルド。といっても、初めてのノイキャンであれば、十分に新しい機能に満足できると思います。現に私は新鮮味を体感しました。すでに、AirPodsやソニーのノイキャンを体験している人にはおもちゃみたいなものに聴こえるだろうから、わざわざ手を伸ばす必要性は、薄い。
イヤホンでは個人的に重要視しているフィット感、それからタフさに関しても、ETTは問題なし。
音質は変な尖りがなく、高音も落ち着いていて、幅広いジャンルで音楽を楽しめます。
付け心地で推していける
「身に着けたくなるイヤホン」という観点からは、ひと目でわかるAirPodsなどとは違い、一歩外したおしゃれ感もあると思います。そっちには疎いのでなんとも言えませんが。デザインが気に入ってるなら安心してゴーです。
自分に最適なモデルが見つかるイヤホン診断が公式サイトで受けられるので、一度試してもらうのもいいかと。
会員サービス「Sudio Sphere」に登録すれば製品保証期間が3年に延びます。こちらも要チェック。
そんな感じで〈ETTで初めてのノイズキャンセリング体験をした〉話でした。
おしまい。
関連リンク
eイヤホンでのレビュー「sudio ETT」│e☆イヤホン
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