受賞者やその所属事務所によって、来年の声優養成所・専門学校の顧客 げふんげふん……生徒数に大きな影響を与えるとまことしやかに語られる声優アワード。またこの季節が来ました。
前回2016年の雪辱を果たすべく頑張って予想しましょう。
では2017年版へまっすぐGO。とその前に……審査基準と概要を調べると意外な発見がありました。
概要:そもそも声優アワードとは一体どういうものか
声優アワードは、その年度に「最も印象に残る」声優や作品を対象に、その業績を称える本格的な「声優を対象とするアワード」として2006年に創設されました。日本音声製作者連盟、KADOKAWA、小学館、小学館集英社プロダクション、文化放送、アーイメージがアニメ業界各社と協力し、声優を表彰するものとしては業界最大の舞台を提供し、声優地位の向上に寄与することを目的としています。
>声優アワード公式サイトTOPより引用
今年で11回目の開催となった声優アワード(アウォードと言いたいのを我慢)ですが、授賞項目によって審査の流れが大きく二つのタイプに分かれています。
- 一般投票により集まった得票の候補者(一次候補)から選考委員会が選定・評価・贈賞(二次審査)するもの。
- 実行委員会のみで選定を行い贈賞するもの。
このふたつ。第一群、第二群と公式では括っています。
その栄えある授賞式は来たる3/18(土)となっており、あと二週間。
第二群の受賞者は2/21付けで数名がすでに先行発表されています。
第二群 [選考委員会にて顕彰される特別賞など]
故人の中で、長年に渡り外画も含め多くのジャンルに貢献された声優 今回は、特別功労賞に代えて、本年度ご逝去された声優を顕彰しました。(※公式発表)
- 小林 清志 所属:俳協
- 清水 マリ 所属:81プロデュース
- 堀 絢子 所属:ぷろだくしょんバオバブ
- 中尾 隆聖 所属:81プロデュース
- 島本 須美 所属:フリーランス
シナジー賞〈作品として声優の魅力を最大限に発揮した作品〉
キッズ・ファミリー賞〈子ども達の視点で選ばれた声優〉
特別賞〈どの賞にも当てはまらないが、表彰すべき特別な活動をされた声優・作品・活動等〉
(赤字は3/18に発表)
一般投票の方法、対象となる作品・期間
次に花形ともいえる第一群の選考の詳細について。対象作品は以下の通り。
対象の作品と期間
2015年12月1日~2016年11月30日の期間中に
- 新作としてTV放送された作品(新作エピソードが放送された作品もふくむ)
- リリースされたDVDまたはビデオ作品
- 初めて上映もしくはネット配信された作品
- ゲームとして発表された作品
これらを対象として、そのなかで良かった演技(≒声優)を一般参加者が投票する。評価に加味されるのは演技のみではないようですが……。この得票で何人の声優が二次の候補にノミネートされるのかはわかりません。
さて、対象期間が分かれば次は投票の方法だ。
投票方法(窓口)
声優アワード公式サイト・WebNewtype(KADOKAWA)・animelo mix(ドワンゴ)
の各webページ投票フォームにて投票可。全部が別口扱いなので、各サイトで四回投票すれば一人で四票ぶん投票できます。なんとまあ。
ドワンゴとKADOKAWAか……。ううむ。ええい何も言うまい。
投票期間は2016年10月1日~2016年11月30日──もうとっくに終わってます。
なんかおかしいぞ、これ
どうしてなのかわからないんですが、対象期間の区切りが秋クールの途中なんですよ。アカデミー賞もそうだったけど。
だから『響け!ユーフォニアム2』とかだとコンクールが始まるかどうかくらいのはずで、久美子とお姉ちゃんのすれ違いとか衝突とか氷解とか、あすか副部長との「またねっ」とかあのあたりのピークは対象外になってしまうわけですよ。この発表をそのまま受け取ると。
でも仮に、黒沢ともよを主演女優賞に投票したい人がいてその理由が「あすか先輩との涙ぐましいお別れシーンにぐっときて」とかだとしたら、なんというか、上手く言えないけど、”空振り”してるじゃないですか。そんな場合、「この投票って無効になるのかな、理由はどうあれ得票としてカウントはするのかな?」なんてことを考えてしまう。Amazonの「期待を込めて星5つ」に似た歯痒さを感じる。透明性がどう、よりも基準としてそれはどうなんですか、という。単純に空振りしちゃうと参加者も本望じゃないよなあ。
【2017/3/5追記】私、またなんかやってしまいました?
上記の対象作品の期間についての私の疑問ですが、いろいろと勘違いをしておりましたので文面は残したまま間違った箇所を改めて訂正して記載します。
まず、対象作品は ”期間中に新作として放送された”作品なので、作品単位で10月から始まっていた作品については12月に放送されたぶんの演技なども評価対象に含まれる”はずである”、ということ。2月に放送していた『ろんぐらいだぁす!』も本年度の審査対象に含まれる、と。
もうひとつ。そもそも投票期間が11月30日までなので、12月に放送された話数の演技などは一般の人はサンプルに取り入れようがないということ。
結局、おかしなねじれが残ったままです。もやもや解消せず。
うだうだ言ったところで容姿のみでの評価や応援がてら投票する一般の方がいたとしても、それを否定する術も権利も私は持ち合わせていませんし、あくまでも、その年を象徴した声優を決める催し──ですからね。演技賞ではないのです。
あとは二次での選考委員会がつじつま合わせをするんでしょう。そういうのは最多得票賞だけでいいよ、なんて思ったり思わなかったり。
【2017/3/5追記終わり】
声優アワードについて少しは参考になったでしょうか。
乱暴にいえば「KADOKAWAが勝手に開催してる、おらが村的催し」な側面もあったりするので、そもそも辞退のスタンスを取っている事務所の存在も視野に入れておかないと……というのも古い話のようで(オイ
2017年の声優アワード予想はこんな感じです
去年のラインナップをプレイバックした記事を書いてました。こんな作品あったなあなんて参考にでもしてもらえれば。
予想を表にまとめるとこう
青い囲いは最初に記事をアップしたあとの追記です。
新人男優賞は、さすがに一人だけは寂しかったのでお二人追加しました。
特別賞に『君の名は。』を。本作が箸にも棒にもかからないのもなんかやだなあ、でもどこに入れるのがいいのかなあ、といつまでたっても結論は出ません。2作品に賞がもらえるところではないんですが対抗馬的に差し込みました。
【パーソナリティ賞】田村ゆかりの黒うさぎが終わり、終わった番組とパーソナリティに賞を与えるのも変な話と言っておきながら、実は学戦都市ラジオもひっそり終わっていた(おい
このあとは各受賞どころの寸評です。
主演男優賞の予想(過去には連続受賞・該当者なしもあり)
『昭和元禄落語心中』の八雲師匠。
『昭和元禄-』は与太郎が主演とみせかけて実際は八雲の物語ですから主役といえるでしょう。いま放送中の八雲の演技もキレッキレなのですがそこは評価対象に含められないのが残念。
—
にも一票。
『クロムクロ』のW受賞をこっそり期待している私がいる。それが新人賞枠なのか主演賞まできちゃうのかが迷っている最中。主演はさすがに難しいだろうけど。
なんといいますか、去年のラインナップを見返してみて、カッコ良かった男主人公っていうのがあまり見当たらないんですよね。富野御大ふうにいうところの”ナメたくなる”魅力みたいなものを持ったキャラクターが。私はノンケですけど。
そこへきて青馬 剣之介 時貞はカッコ良かったですよ。やっぱり人気キャラクターは刀を持つんですよ(何年前の分析だ)
なので大穴ではありますが。
—
殺せんせーは……、ないと思いたい。
主演女優賞の予想
『クロムクロ』『ルル子』『デュラララ』『フリップ・フラップ』『競女!!!!!!!!』……。『GANTZ:O』にも出演してました。去年はまごうことなきM・A・Oイヤーだったんですよ。wikiで見ると21本出てるし。一昨年なんか29本出てるし。働いてるなあ。
本数が正義とは思ってないですが、無視できない貢献度。まおさんの声好きなので長く聴いていたいです。
—
『響け!ユーフォニアム』がやっぱり私の2016年なのです。
TVシリーズデビューなら2012年のアイカツ、声優としてのキャリアデビューなら2010年『宇宙ショーへようこそ』になる。なので、もしかすると新人賞枠の選考基準(デビューから五年以内)からは漏れてしまうんではないかと。そうなら逆に絞りやすくなったような気もするけど(そんな理由で良いのか?
候補は他にもいますが、この二人にします。
助演男優賞の予想
『ユーリ!!!on ICE』は観てないので作品や演技が良かったのかわかりませんが、2016年のビッグタイトルになったのは言うまでもない。観てないから主演男優賞の枠にも選ばなかったのです。
諏訪部順一の評価が高かったらしい。諏訪部順一の良さに気づいたのがここ二年くらいなのです。観てないから入れづらい。でも入れます。
—
影山とノヤさん(『赤髪の白雪姫』のオビもかっこよかったなあ)をあえて外して。一番震えたのがブロック後のツッキーの勝鬨〈かちどき〉。内山昂輝、いいですよね。ずるいですよね。
—
あとは一年中声を聴いていたい櫻井孝宏。困ったときの櫻井孝宏。
毎年助演男優賞獲ってそうな勢いがある。『アクティブレイド』の瀬名の常識人がキチっていく演技は良かった。瀧先生も霊幻師匠も良かった。あ、『亜人』の戸崎さんも。
助演ってどこまでの範囲なのか、毎度悩む
伏兵でもないし、not主演だったらいいのかな。脇を固めていた、いい声優だったらいっぱいいたんですけど。ハイキューの面々とか。
助演女優賞の予想
去年の発見のひとつとして、「寿 美菜子うまくなってないか?」というものがありまして。
といっても『アンジュ・ヴィエルジュ』と『響け!-』のふたつしかサンプルがないんですが。ははは。しかも『アンジュ-』のほうは主演だからまた話がややこしく……。結局のところ、田中あすかの演技しか助演女優らしいものはない。でもそれで十分じゃないですかー。
映画『聲の形』『君の名は。』両方に出演し、TVシリーズも頻繁に耳にした気がする。わかりやすい声だから残りやすいだけかも。藤川さんとかはよくわからん演技だったなあ。
『聲の形』は観てないからわからないんだけど、『君の名は。』のさやちんは いいこでした。甘ったるくもてっしーとの適切な距離感をとっているが良かった。
あとは日笠陽子ですか。
私がただただ好きなだけなんですが。村主さんの声のトーンは非常によかった。何かと脇を固めていた印象はある。八神コウとか。でも決定打になりそうなキャラクターや演技は浮かんでこない。
新人男優賞
声優としてデビューしてから5年以内、という基準がね。難しい。
こないだ「いまからでも遅くない。こっそりおさえておくべき新人声優」みたいなの見て、黒沢ともよとか千本木彩花とかがリストアップされてたりするんですよ。
…………。
遅いわ!!
遅すぎるでしょ。主役一本やったらもうメジャーじゃないのかよ。なんて怒っててもしょうがない。
で、数日考えたんですが、今回の新人男優賞、”該当者なし”なんじゃないですかね? さすがに盛り上がりに欠けるか。地位向上どころじゃない。
伊藤節生のモブがハマり役だったのと阿座上洋平くらいしか記憶に残ってないもんで。若い人あんまりわからない。
すごい消極的に阿座上洋平を挙げておきます。
新人女優賞
2016年の収穫(偉そう)として何人かの女性声優の評価(偉そう)がぐーんと上がったりしました。パワプロでいうところのパワーB→Aに評価替えするみたいな。弾道2→3にするみたいな。そんな感じです。シャウト○、みたいな。
【候補】村川梨衣、田中美海、鈴木絵理、長縄まりあ
『ステラのまほう』でハマりました。井口裕香インデックスの再来かと。いや、再来は言い過ぎました。「彷彿と、」くらいにしときましょう。思い出は大切に。
しかし『六畳間-』の記憶が全くないのだが、どういうことなのか……。
まあいいか。また機会作って観直してみます。
『ステラのまほう』の部長や『ブレイブウィッチーズ』の菅野なんかの低めの声がいいなあと思いました。にゃーたんとかほたるんみたいなお薬盛られたような明るいキャラクターの印象があったので、「ああ、こんなのもできるんじゃないですか(偉そう)」なんて。
部長さんのようなローテンションなぼつぼつ話す系のキャラクターって、演技力が測られにくいからあんまり上手くない声優がやりがち、みたいな話を聞くんだけど、その反面ああいうキャラクターやるには声質がいいものを持ってないとキツイんじゃないかなとも。長門とか(ここで長門が出て来るあたり、世代感が出る
今回の大本命です。
『灼熱の卓球娘』の上矢あがりってキャラクターと演技が良かったんですよ。伸びる声がいい。
『僕らのフロンティア』、名曲です。
「ああ、WUGってことはあのヤマカンの……」なんて思想は一旦横に置くべきですね。捨てなくてもいいけど。横において。
あと『シュヴァルツェスマーケン』のカティア。でも作中で一番可愛かったのは変装中にメガネを外していたグレーテル・イェッケルン中尉なんですけど。
まあ、本命です。
鈴木絵理は……、鈴木絵理だ。
そんなトートロジーで逃げつつ、結局は花守ゆみりが獲るんじゃないかと思ってます(投げやり
なんか波に乗ってた感じはあるんです。政治的ムードとか言い出すとつまんないんだけど。
『ガラスの花と壊す世界』の主演とかやってましたし。これ、めちゃくちゃ面白かったって作品でもないんですが。PCかじってないとついていけなさそう、って思いながら観てました。
『ガラスの花と壊す世界』舞台挨拶の思い出
年の始まり、劇場まで『ガラスの花-』を観に行きました。上映前に声優の挨拶があるというからそれもセットで。「ついに声優の舞台挨拶まで行くようになったのか……何が面白いんだ」って友人に後ろ指さされながら。種田梨沙が有能なMFしてましたね。
で、確かに面白くはない舞台挨拶がつつがなく終わり、声優とアナウンサーが横に捌けて、「さあ上映です」ってタイミングで、座ってたお客さんの1割くらいがさささーと帰っていきました。映画観ないのかよっ。私はちゃんと映画も観て帰ったぞ。
これが声豚と呼ばれる人たちか……と驚いたいい思い出。
歌唱賞
声優自らの名義か演じている役名で歌唱を発表している声優。だからRADWIMPSやLiSAなんかは対象外なんですよね。Aimerさんとかは。
歌手としてデビューした人もいっぱいいました。日笠陽子にしても沼倉愛美にしても、もう少し早く準備できなかったのかなってたまに思う。そっちは早く出してもいい人たちじゃないですか。売り出し時間違ってないかな、なんて。
這い寄るやμ’sが過去に受賞しているので声優ユニットって扱いでいいんでしょうおそらく。
宮野真守がソロで獲ったりもしてますが。
となると、『マクロス⊿』のワルキューレと『ラブライブ! サンシャイン!!』のAqoursなんかが大型なところですか。どっちもまともに観てないぜ。fourfoliumや北宇治カルテットのほうは良曲でした。
なんだかありそうですよね。ありそうで恐い。
武道館2daysは伊達じゃない。
—
A応Pは、とったりしないよね…………。
パーソナリティ賞
これはもうさっぱり。『極黒のブリュンヒルデ』のラジオ以来まともに聴いてない。学戦都市の加隈氏のラジオをちょこっと聴いてたくらい。面白いのないかなって探すには探すんですがプライベート側というか、役者じゃないときの会話ってあんまり楽しくないのが多い。台本が悪いのか? キャラクターとのギャップが生まれると本来の目的である”アニメ鑑賞を楽しむ”にノイズ成分が出て来る。うまく頭で割り切りが出来ないんだな、私は。TBSラジオなんかのポッドキャスト漁るほうが楽しかったりするし。
そのなかでも何故か聴いていた『学戦都市アスタリスク』のラジオ。一人喋りにも強かな風格があります。
去年の夏頃からよく耳にするタイトル『佐倉としたい大西』から。
なんか人気なんでしょ? 的な失礼なチョイス。なんか人気なんでしょ枠はあと『洲崎西』と『デリケートゾーン』とふたつあります。
田村ゆかりに授賞するのもなんか変な話だなとか思います。終わってしまった番組ですからね。どうなんでしょう。うん、やっぱりさっぱりだ。
最多得票賞
神谷浩史の殿堂入り。結婚公表のタイミングと関係あるのかな。邪推か。
はたして、男性になるのか女性になるのか。主演や助演、新人賞などに投票された各票を全部合計して一番多い声優──という流れなので、言ってみれば”最もいまを象徴する声優”になりますかね。 投票するのって女性のほうが多い気がします。女性が男優に投票するケースが。まあこれ私個人の勝手なイメージですが。
シナジー賞
聲の形(制作:京都アニメーション)
声優の魅力≒声の魅力なんて方程式をでっち上げれば『聲の形』はその式に対する回答のような気がする。物語として褒められたものではないらしいけど。おどろおどろしい”善意”に満ちていたらしいけど。観てないから悪くはいえない。
キッズ・ファミリー賞
コナンがシリーズ最高の興行成績を出したのも記憶に新しい。20年目で最高を更新するってすごいかっこいい。ハワイで水上ボートに乗るのと、子どもがどんどん減っていっちゃうの、あのあたりから全然観てないから今度借りてみようと思います。
特別賞
神田沙也加は声優だった。だから受賞したんだ、とすれば、のん(所属:non) は声優なのか、が争点のような気がする。だから主演女優賞には私は入れてないんだけど、2016年アニメの表彰式で『この世界の片隅に』に全く触れないなんてことがありえるか。(いや、ない)
予想のおしまいに
去年,「今年の声優アワードは田中あいみが新人賞を獲る」と豪語、ばっちり予想を的中させた私ですが、いかんせんどこにもログを残していないのが悔やまれる。といっても去年は新人女優賞 受賞者がお三方いらしたので、万馬券勝ち取った感もさほどなかったんですけど。
そんな反省から、今年こそはズッパシ予想を残してかつ当ててみたかったのです。
田中美海を書いておいてなんですが、田中あいみの受賞は「うまる」という大きなキャラクター人気でもって一次の多投票から二次審査へ、と背景があったと想像するんですが、上矢あがりや他のキャラクターがそこまで人気があったかというと……どうでしょう。不安になってきました。
しかし、オルフェーヴルがいるとわかっていてもゴールドシップやラブリーデイに張らないといけない場面が男にはある、ということですね。
お付き合いどうもありがとうございました。発表が楽しみです。
おしまい。
コメント,ご意見など (中傷発言はNO)