オフビートってなんだっけ? まあいいや。
『ヤマノススメ サードシーズン』のEDがけっこう好きだ。一聴して「おっ」と思わせてくれるのは良曲の証とも言えよう。あとは噛めば噛むほど新たな味が出てくるはずである。
中盤のアクセントとして、「一点突破」のあたりのハズシっぽいパートがありますが、あそこの、というかもしかするとこの曲まるっと通じての部分かもしれませんが、一拍目の頭をズラしたメロディの付け方が気持ち良いのかなとか考える次第。ただのマイブームの可能性あり。まあ、そうは言っても自分でもよく理解しきったわけでもないので、確認がてらメモに残すとします。
お暇なら私の脳みそ覗いてください。えっ? 家族とドライブ旅行? 別にいいけど!
拍の頭とメロディの始まり方
「春はヒバリと作戦会議」
「夏はバッタと一点突破」「秋は赤とんぼと骨休め」
「冬は針土竜と夢のなか」
と季節を頭に持ってきての四節とその間の二節。
春と秋の前半パートに関しては、頭よりも一呼吸後ろにずれて、裏から入る。
「○はるはヒバリと」「○あきは赤とんぼ」みたいな。
対して、夏と冬──後半パートは前にはみ出す(前の小節の後部から始まる)ように歌が入る。
夏の「つ」、冬の「ゆ」、それぞれ単語の後ろが表/強拍のタイミングになっている。つまりこっちも「な」と「ふ」が裏のポジションにいて、裏入りと言える。言えるよな?
なにはともあれ、曲を聴いてみましょう。0:45くらいから。話はそれからだ。
間の二節
「なんで地球が丸いか知ってる?」「この場所に還ってくるため」
「いってんとっ『ぱ』」「夢のな『か』」のそれぞれ『』が表拍に着地して、すぐさま「『な』んで」「『こ』のばしょ」で裏から入る。
このふたつは伴奏のリズムは安定した表拍を基調としていながらも、歌のメロディだけでシンコペーション(※)を作っている。※裏に強拍を持ってくる、とここではざっくり理解してください。
このように一拍目にジャストで合わせない、裏裏なふわっとした体をスィングさせるようなノリでパワーを溜めていき、サビへの入りは”待ってました”なブレイク(音無し)とアウフタクトの合わせ技が最高に盛り上がる。
サビへの入りはアウフタクト
ちょっとDimension.WのEDぽさが(『ヤマノススメサードシーズン』EDより)
アウフタクトというのは、前の小節の途中から始まるタイプのフレーズを指します。弱起とか言いますが。
アウフタクトでサビに入る曲、例えば
化物語OP『staple stable』/「どこまで『で』もつづく」
花咲くいろは『ハナノイロ』/「ひらいてい『く』」
ダリフラ『トリカゴ』/「ユメを『見』せたくせに」
ぼくらの『アンインストール』/「アンイン『スト』ール」
エトセトラ……。
上記の『』で囲んだところが一拍目と縦のラインで揃っているワードで、「1,2,3,4」の繰り返しを頭でカウントをしながら曲を聞いていくと、ちょうど1と重なる。
1よりも前からずらららっと続いて強拍に流れてくるのがアウフタクト。
ヤマノススメサードシーズン『色違いの翼』だったら/「ひこう『き』雲 ふわり」
いわばバッターのスイングです。バットを振り出すパワーを貯めるため後ろに一度引く動作。野球用語でテイクバックとか言いますけど。「ひこう……」が溜め、一拍目の頭(強拍)に合わさる「き」がボールとのインパクト。伴奏が戻ってくるのもここなので、勢いがよくガっと盛り上がる。
気持ちいい。
あおいとひなたのリップシンク
リップシンク。歌唱とキャラクターの口元の動きを合わせることですが、「u」の発音だったら口をすぼめるとか、「i」の発音なら上下の歯を合わせましょうとか、「o」の発音なんだから舌がベロっと出るのはどうなのだ? とか、口だって目と同じくらいにお芝居をしているわけです。
ただ、あおい(ひなた)が歌っているだけじゃなくて、よりそれらしいポイントとして、aiueoをはっきりした口の動きに加えて、「ま行」の音が入るときや「って」のような促音や「ん」のような撥音が入るときに唇を合わせるセルが挟んである。両唇音とかそんな名称だった気がする。
これでよりそれらしく、歌っているアクションが豊かなものになる。
気持ちいいね。
そんな感じで〈『ヤマノススメ サードシーズン』EDのリップシンクとオフビート〉でした。
おしまい。
リズムの話を文字で説明するのは非情に困難だとわかりました。
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