【映画】『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』観てきました

ブレイキング・バッド 映画の話

共産主義者の排除を掲げた映画業界(ハリウッド)の理不尽な圧力により業界追放を余儀なくされた優れた脚本家ダルトン・トランボ。居場所も手助けもなくなった彼は偽名を使い脚本を作り上げ、悪権のさばるハリウッドにカウンターパンチをくらわす計画を企てたのであった。

映画『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』予告編

 

主演のブライアン・クランストンは、大ヒットした『ブレイキング・バッド』シリーズのウォルター先生を演じてた俳優でして。目を中心とした柔らかい表情と”キレ芸”が私すごい好きで、完全にこの人の演技目的で観に来た感じがあります。

あとは、作家もの映画って『カポーティ』以来だし久々に観たいな、エル・ファニングの成長を確認しておこう、くらいの理由ですかね。

広告
広告

『トランボ』あらすじ

二次大戦が終了し米ソは冷戦をむかえる。資本主義こそが正しいと主張するアメリカでは、(ソ連と同思想である)共産主義者はソ連のスパイの疑いをかけられ、危険分子のそしりを受けるわけです。実際にトランボは共産主義者である自覚があるんですけど。デモもするし。いわゆる確信犯だったんです。つまりそれが”正しい”と思っている。

で、作中では「共産主義者は悪者、危険である・迫害されている」というナレーションでの説明(そういうの前提でお話を聞いてねタイプ)はあるものの実際になにか暴力的な行動に出たりというシーンはなかった……ように思う。すごく紳士的なロビー活動はあったけれど。

キングブラザーズスタジオのオーナー(監督?)の「虫男が政治を語る脚本なんて作るんじゃねえ! オレは虫男と娼婦がセックスする映画が撮りたいんだよ!!」みたいなもう意味分かんないくらい清々しい主張もおかしかったんだけど、そのあとの練り直し案でセックスする理由として「宇宙から来た虫男は女性に自分の子供を生ませて地球上を侵略しようとしてる」てっいう、それまんま『スピーシーズ』ですよ兄さん、の流れからの「じゃあこうだ。宇宙から来た虫男は娼婦に恋をするんだ。星に残してきた彼女にそっくりだったから」「娼婦の顔が虫女に似てるのか?」

……みたいな脚本家同士でよくやる案出し→否定の与野党協議ごっこも面白かった。

海の向こうのコラムニスト

性コラムニスト(批評家)としてヘッダ・ホッパーというおばちゃんが出てくるんですが、向こうのコラムニストっていうのはそりゃすごい影響力を持っているようで。

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』でも似たようなポジションでコラムニストが登場しました。この人の評価が悪いとほとんど興行が負け戦になる、みたいな。映画専門なのか舞台なんかも守備範囲なのかまではちょっとわからなかったんですが。

どんな影響力かというと「私がこの映画、『つまんない見なくていい』って書いたら、客足は80%失うわよ」みたいなことを平然と言って、実際にそれに近いことを実行できるんですよね。times誌の表紙飾るくらいの人ですから。

だからおいそれと文句は言えないし、みんなおべっかを使ったりするんですよ。

これが、

私は圧力お金で信念は曲げません。つまんないものはつまんないって言う!

みたいなスタンスだったらまだ共感もあるんですけど、共産主義者ヘイトの私情で動いてるから完全に悪役。悪役に見えて正解なんですが。

 

こういうの、日本ではちょっと当てはまらないような。日本にもいるんでしょうかね、こういう感じのご意見番的な評論家やコラムニスト。

すぎが「この映画最高(or 最低)」とか言って何%が選択を変更するだろうか。町山智浩が。宇多丸が。前田有一が。

むしろきゃりーさんなんかが「あの映画ちょーおもしろー」なんていうとそれだけで客足が伸びることはありますよね。パブリシティってやつですか。

ピントぼかしの演出がぐっときた

業界側、体制側についてトランボをいじめてきたホッパーもついにカウンターを食らうんですが、自室であるニュースを聞いたときのアングルとカメラの使い方が良かった。

 

トランボ 映画 

なつ「画がうまくなってる」

(スピードは上がってる気がする)

 

まずは本人にピントがあっていて驚きの表情。

こんな構図だとたいてい、ピンぼけしている奥の被写体にピントを送りたくなるところですが、ずっとホッパーにしかピントが合わないまま。

でも、Times誌が後ろに飾られていることは視聴者にもしっかり伝わる。それぐらいのボケ具合。

つまりTimes誌という過去の栄光が霞んだままだって表現だったのかと。ちょっと感動。

もうホッパーのコラムに影響力はなく、神通力は消えてしまったと。

のためにと共産主義者は排除しようとしていた彼女が、

元共産主義者が脚本書いて、元共産主義者が主役を演じた映画を、共産党に批判的だったジョンFケネディ大統領が「良かったよ」なんて言った日にはそりゃ後ろから刺されたようなもんでしょう。

『トランボ』なかなか満足でした

最初の五分位は「やべ、これ面白くならんかもしれねえ」とか思いましたが、二時間が割とさらっと終わってしまった映画でした。

ダルトン・トランボの代表作といえば、どうしたって『ローマの休日』が最優先でしょう。そのあとに『ジョニーは戦場へ行った』を観て、作家の幅を浴びるなんてどうでしょうか。

Amazon.co.jp: ローマの休日(日本語吹替)を観る | Prime Video
ある小国の王女アンがローマを訪れた。王女は王室礼儀的な堅苦しい行事にうんざりで、侍従の目を盗みひとりで街へ飛び出してゆき、広場のベンチで寝込んでしまったところを、通りかかったアメリカ人新聞記者ジョー・ブラドリーに助け起こされ、彼のアパートで一晩を過ごす。

 

コメント,ご意見など (中傷発言はNO)

関連エントリ&PR記事

タイトルとURLをコピーしました