公開時に観に行けなくて随分時間が経ちましたが、ようやくレンタルにて鑑賞。
最強格闘技シラットと美しい身体の動かし方と迫力満点のカメラ。アクション映画の金字塔『ザ・レイド』が帰ってきました。
今回は続編『ザ・レイド GOKUDO』の感想話。「GOKUDO」は日本用のタイトルで、原題は『the RAID2: Berandal』。ならずものといった意味合いのよう。
格闘アクションをアップデートした『ザ・レイド』
まずは衝撃的だった第1作について少し。
主人公含むSWATの精鋭が、麻薬王が立てこもってるマンションビルの制圧に向かう。手下がもう危ない連中ばっかりで、バンバン味方とかやられちゃっていくなか『ザ・ロック』的に孤軍奮闘していくようなお話。
そんなん立てこもってるマンション空爆したら一発で終わりやがな、なんて言うなかれ。一般人も住んでるから静かに制圧しにいくの! 設定にこまけえこたあいいんだよ!
百聞は一見にしかず、名作のオーラあふれる予告編をどうぞ。
『ザ・レイド』はインドネシアの映画なのですが、これがもう、よだれものの面白さ痛快さ(ほんとに痛そう)なんです。接近戦まみれの人体アクション映画が好き、大げさな銃器の出てこないタイプのアクションが好きな方にはぜひおすすめしたい。
ここで登場するシラットという格闘技がまあかっこいい。ブルース・リーよりトニー・ジャーよりグッと来た。
というのが、無印を観たときの私の所感。
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初代は超えてない、かなあ
正直なところ、さっきGOKUDOのほうを観終わって、改めて脳内比較したときに「1を超えてないなあ」と思いました。つまらなくはなかったんだけど、無印の打ち立てた金字塔アクションのハードルが高かったのか、減点ポイントがちらついてそんな評価になりました。
アクション自体は見どころがあったので、どちらかといえば話の筋のほうですかね、減点対象になったのは。
2があまりハマらなかったところ
- 時間が長い
- 画面が明るい
- 潜入捜査官の動かし方
- キャラの濃さ
- 日本ヤクザ絡まないのかよ
時間が長い
前作が100分の間、ほぼ全力走り抜けのトライアスロン型だったのに対し、今回は140分。
アクションシーンが少ないわけじゃないですが、合間合間に挟まれるマフィアらしさのやりとり(取り立てとか川に沈めるとか)がいまいち緊張感のないもので、「こっちはアクションかゴア処刑を待ってるんだけどなあ」なんて気持ちに。緩急というには停滞具合がなんとも。ドラマ成分に時間を割いてしまったのだと思います。
画面の明るさ
無印はマンションをひたすら登っていく話で、このマンションが寒色系に湿っててボロボロなんですよ。家賃もでら安そうな。こんなとこに住んでるなんてやばいやつに決まってるじゃないですか(偏見
加えてその地域特有のものかわかりませんが、雨が降っててどよーんとした陰鬱な雰囲気のなかろくに光もささない暗い廊下と階段を登っていく。高級ホテルの半分くらいしかない狭い幅の廊下でそんな奴らと鉈vs拳で対峙する。この狭さにも閉塞感があって、ピリッと緊張感が出ていたのが無印のいいポイント。
対して「GOKUDO」では、潜入捜査官としてマフィアの仲間入りをして汚職刑事を検挙する、という名目でいろいろと舞台が動きます。街にも出ます。
「GOKUDO」の予告編もどうぞ。
ヤヤン・ルヒアンさん(このシリーズのアクション監修の方)がナイフの殺し屋(1とは別人の役)として再登場してちょっと興奮しました。
無印に比べて2は画面が明るいんですよ。空間が開けてて。
なんというか孤立感がないんですよね、マフィアの中に潜入捜査しているわけだから、ライオンの小屋に放たれたウサギみたいに味方はいないわけなんですが、どうも危機感に同調できない。『インファナル・アフェア』とかはどうだったかな。
なんとゆうかダーティさが薄い。アーシーさとでも言いましょうか。やっぱりマフィアってのはスーツ決め込んでガンをぶっ放すもんだろ? って方向性なのかな。
この距離で連弾ぶっ放す93R。バイクの兄ちゃんかわいそう。
潜入捜査のおいしさ
主人公ラマはマフィアに潜入捜査に入るために、マフィアのボスの息子が服役している刑務所に入っていきます。で、2年後(2年後!?)に出所して首尾よくマフィアの軍門をくぐるようなお話の入り。
ラマが、潜入捜査官なのは視聴者もわかってる。こういう場合って”実は捜査官でした”がバレないかどうか、のハラハラシーンが挟まったりすると緊張が保てるようなもんだと思うんですよ。ボスがカマかけてきたり、見つかったらタダじゃすまないぞ的な見せしめがあったり。『インファナル・アフェア』とか『エレクション』はそういうのあったじゃないですか。
そういうのがない。最初の盗聴器を外すくらい。
けっこう自由に動いてるのも「案外こんなものなのか?」なんて。用心深くないぞこのおっちゃん。
ラマが必要以上に相手を痛めつけて心苦しそうにするシーンなんかは好きなんですけどね。
「ここがお前の部屋だ」あたりのエカの台詞の訳。あれ、どうにかならなかったのかあなあ。後半の展開に支障が出てるんだけど。
キャラの濃さ
今回、敵陣営に殺し屋が三人登場するんですが、この三人がなんというかコミックキャラだなあと。キラーマスターとハンマーガールとベースボールバットマンって名前なんですが。
なんだか『刃牙』の最凶死刑囚編がちらつきましたね。あー、ドイルっぽいなこの人、みたいな。
あんまりキャラっぽいのは真剣味を削ぐような気がしたな。ハンマーガールの「あっ、ハンマー持ってかなきゃ」はかわいい。
キラーマスターとの死合が一番の見所でしょう。これは楽しかった。やはりバトルはタイマンに限る。
日本ヤクザ絡まないのかよ
これが予告編詐欺の最大のポイントですかね。三つ巴かと思いきや……何もないだとぉ!?
あんまり言うとネタバレかもしれないのでこのへんで。「1人対1000人!!」みたいなこと言ってたくせにどこにそんだけいたのかと。
カメラが相変わらずいい
シラットのアクションもさることながら親和性の高さを見せるカメラも気合入ってる印象でした。カメラ職人のワザに魅せられましたなカット。
いいなあ。ローラースケート履いて撮影したんだろうか。
総評と不満点
ザ・レイドのシリーズの売りが私のなかでわからなくなってしまった。もちろんシラットだけしていればいい映画、なわけじゃないんだけども。無印とは少し味付けを変えているのだ、と思って観るのがたぶん正解。
シリーズ通してのシラットはマジにかっこいいので(ガン=カタ級のエポックアクションかと)、まずは1から観てみるべし。
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