解散でも散開でもなく、「完結」。しかし、似たようなもの。
「まあ、ちょっとくらい覚悟しておけ」なんて。
バンドを応援すること、バンドを好きになるということにはそんな覚悟が必要で、歳を重ねていろんなバンドがマイクをステージに置くような光景を見てきて、どこかで「慣れと麻痺」が体に染み付いていたんだと思う。喪服の袖に腕を通すのに慣れてきたみたいに。誤用じゃないよ。
人間は不死ではないし、バンドはいつか終わりを迎えるものだって気持ちが数年前から概念として固まっちゃってる。
チャットモンチーが活動に区切りを打つことはなんとも惜しいし悲しいんだけど、そういう感情をアウトプットするのをセーブする自分がいて、変に気丈に振る舞ったり。いやな大人になってるな。
どうしてこんな記事を金曜の宵に書いてるんだろうと思う。
ちょっとした自慢と思い出話を記録しておきたいなって気持ちと、「ガールズバンド」という(これまた定義も曖昧だけど)括りに甘えれば間違いなく私の音楽生活の中心部にいたのはチャットモンチーであって、優れたメロディメーカーである橋本絵莉子であったので、卒業してから好きな子にメールで告白をするような女々しいことを十年ぶりくらいにしてみたくなりました。
明日が休みの日でほんとに良かった。
超無敵な三人の音楽
これまでいくつものガールズバンドを目にしてきて、さらに何度も「チャットモンチーっぽいな」と言い続けてきたくらい、私の中では判断基準判断材料になっている。ガールズバンドはチャットモンチー以前、チャットモンチー以後に分かれる。(ロッキン・オンのバンアパ記事の引用です)
それくらい心の中心にあった。7188も忘れてはいない。
チャットモンチーを表す言葉で私が一番好きなのはやっぱりこれ。
「超無敵」
となると察しの通り 言わずもがなこの言葉が生まれた「三人体制時代が最高」派ってところになるんでしょうが。
話がしたいのもそのあたりで、歴史好きの女が言う「やっぱり安土桃山時代がロマン的には最高よね!」みたいな、そんな扱いだと思ってください。乙女団でのライブもツネ・シモリョーとのライブも観たけれど、『告白』のツアーライブが一番かな。私のライブ体験は。
8cmのピンヒール、あれは震えたなあ。
バスケットボール、よく枕にしたなあ。
久美子がフロアとスネアの両うちで盛り上げるときにスティックを落としたんですけどね。なんでそんなこと覚えてんだろうか……。
チャットモンチーの良さ
高校生ってそんなにまだ視野も広がっていなくて、これからいろんな音楽をdigっていく時期じゃないですか。やけに音楽に詳しいやつと仲良くなったりして、今後を左右するようなこともあったでしょう。
言ってみればそんな、ヒナドリ理論インプリンティングな状態の私をぶっ飛ばしたのが『恋の煙』でした。
アウフタクトのイントロかっけええ!
そこですぐに橋エリの声にハマり、オルタナ風味の組み立てのドラムにハマり、アレンジ力のあるバンド最高だぜと『耳鳴り』を購入。高橋久美子のプレイでドラムの楽しさを深めていったのは間違いない。
耳鳴りで一番好きなのは『終わりなきBGM』。これはなかなか順位が変動しない。歌詞ワークがいいのよ。女子の心の可愛げと、ついでに助詞の使い分けの美しさが最上級。
「ドラマでも昔話でもないよ」と「ドラマより昔話よりずっと」
この対比。しびれる。高橋久美子の歌詞は初期中期のチャットモンチーを大きく押し上げたと思ってます。『親知らず』とかメロディとともにタマランチ、
で、チャットモンチーは楽器のセクションのバランスがほんとにいいバンドでした。それぞれがそれぞれに意味をもたせるような構成。スピッツに近い。
二本でぶ厚めの音圧だった『耳鳴り』も好きだし、スリーピースであること、ライブで再現性を高めることに重点を置いて一本のギターで弾く意識で作った『生命力』どちらも好きだ。『告白』の高橋久美子は、ドラマーとしての熱量が極まっていて、収録シングル『風吹けば恋』『ヒラヒラヒラク秘密ノ扉』『Last Love Letter』は全部ドラムがキレッキレ。叩いてて楽しい。聴いてて楽しい。
自慢話そのいち
『風吹けば恋』にはPVがあるんですが、これ、抽選でファンにエキストラとしてPV撮影に参加してもらう形式のもので、応募したら当たりまして。連名応募だったからバイト友達の名前を勝手に書いていたんですが(当たると思っていなかった)、当選ハガキ持っていって「来週、一緒に東京来てくれるかな?」って説明したら渋々ついてきてくれました。ありがとう、まっさんまさまさ。
このPVです。
いいですよね。間奏のジャムってる感じ。
橋本絵莉子がめちゃかわいいPVのうちの三本です。
これの群衆モブのなかに当時の私がいたのです。
初めて秋葉原に行ったのもこの日でした。ドンキに寝間着を買いに行ったんですけど、「ここがアーカーべーの劇場かあ」くらいのそんな時期でした。
話のベクトルが変な方向に。
撮影のときに、「この人数での撮影だと、顔までハッキリ映るのは望み薄だな」と確信した私は肩車を友人に提案しました。SUM41のPVみたいなディレクションならスタッフさんからも許容されると思ったんですが、その前に友人に断られまして……。結局完成したPVでは全く自分を判別できませんでした。まあいいや、自分がメインのPVを作ればよろしいやん、本気でそんなことを考えている若者でした。馬鹿者でした。
でも『Last Love Letter』の撮影モブよりはマシかな。あれはPVとしても酷かった出来だから。あれは思い出にならない。ははは。
自慢話そのに
スクール・オブ・ロック、通称SOLの新年企画で橋本絵莉子に年賀状を出したんですが、2月か3月くらいに返事がきました。三人のサイン入りなので橋エリからの返事とは言い難い部分はありますが、まあいいじゃないですか。半分ラブレターみたいな内容だったので”求愛”を6年早く先取りしていました、私。
家宝です
あんまり実感がない
数時間前は驚きと納得と悲しみが混在してたんですが、自慢話書いているうちに実感が薄れてきた。楽しい思い出が多いと前向きに捉えることができるんだろうか? まだ先のことだって思ってるのか。
幕を下ろすことに納得ができる、というのはあるかもしれない。チャットモンチーとしてやり残したことを想像しにくい、みたいな。
ふたりに期待ができなくなったわけじゃないし、新しく曲ができたらまた聴かせてほしい。でも、まあなんとなくわかった気にもなる。
久美子が抜けてバランスが変わって、戦えるようにまた変身して、足掻いて足掻いて、でも以前とはやっぱり別物だなと私はついつい比べてしまって。そこからさらに紆余曲折があるんだけど、ここにきてチャットモンチーを終わらせる決断を下したことに対して、すごく納得した。
あの時の輝きはもう戻らない、ならあのときに戻ればいい。
別にいまいるガールズバンドがつまらないわけじゃないんですけど、この感覚は懐古が混じり始めてるんだろうけど、聴かなきゃもったいないロックバンドだと、ワンチャン期待しないおじさんはそう思うよ。
まずは『耳鳴り』から。そのあとに『chatmonchy has come』に一旦戻って「橋本絵莉子の声わっけえなあ」と思いつつ、間違いないソングライティングと素質を味わってから、『生命力』で名盤としてのパッケージ力を体感して、そこから『告白』でぶっ飛んであとはキャリア順でいけば、というかこれ私の聴いてきた流れだ。あいまにシングルが度々入るけど。『変身』にいくまえに『表情』だな。完璧だ!
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