黒猫かわいいよ黒猫。
『西尾維新大辞展』が街にやってくる──というかもう来てしまった。そしてもうすぐ去っていく。去るものは追えずだが、未だ間に合う。申(さる)とか未(ひつじ)とか『十二大戦』にカケたわけじゃないし、申が八番目で未が九番目で、だから八九寺だ、とかなんも繋がってないのだけれど。
ともかく、心弾ませて行ってきました。大阪心斎橋は大丸ビル14F。
楽しかった。
駅の改札が出たところから看板を見つけ、やや高揚。
美術館などにあまり足が向かない性格なので、観覧の知識や作法もさっぱりのなか、よくわからないまま購入したのは1700円(開催日以降は2000円)の音声ガイド付きチケット↓
まずはこの辺りのシステムの詳細について書いてみましょうか。
西尾キャラ、揃い踏み
せっかく持っていたオリンパスのカメラの威力を存分に発揮できず……。
会場内はテキスト成分多めの展示物以外は割りかし撮影に関しては緩めでした。メインストリート沿いの壁画には各シリーズに登場する数々のキャラクターが列をなしてました。
ま、それは置いておいて。音声ガイドのシステム。
キャラクターによる音声ガイド
上のように三パターンのガイドがありまして、入り口でヘッドフォンと再生端末をスタッフさんに渡されます。内容については、『物語シリーズ』のオーディオコメンタリーのような、と言えばあらかたのイメージが掴めるかと思います。つまりほぼほぼ楽屋トーク……。
「館長 庵野秀明 特撮博物館」のページより引用
このウォークマンみたいなボイスメモみたいな端末に15トラックくらいの音声データが入ってまして、展示会場内のスポットで、自ら端末を操作してガイドを流すような使用方法です。ガイドはそれぞれの作品についてキャラクターの視点から紹介するようなかたち。
私は、掟上今日子✕哀川潤のガイドでいざ入場。
哀川潤「音声ガイドを担当する哀川潤だ。俺の名を知らないなんて言わせねえぜ」
掟上今日子「はじめまして、哀川潤さん」
哀川潤「知らねぇのかよ!」
──みたいな小芝居から始まり、
哀川「ここは『最強シリーズ』のコーナだな(以後、うんぬんかんぬん)」
と各コーナ、一分前後ほどの時間でふたりのやりとりと解説を入れてくれる。各トラックは繰り返し再生が可能です。会場内にはおおまかな順路(のようなもの)が存在するけれど、私が行った日はぎゅうぎゅう詰めでもなかったので前半のほうに戻って繰り返しガイドを聴いたりしてました。会場にいるあいだ、ずっと堀江由衣と甲斐田裕子の美声が聴けるのです。
特に好きだったのが、『最強シリーズ』を解説する哀川潤とのやりとり。
掟上今日子「(このシリーズは)SFなんですか」
哀川潤「”すげーふしぎ”って感じかな」
──これですよ。
言わずと知れた、手塚治虫イズムの藤子・F・不二雄イズム「SF→すこしふしぎ」からの着想(※1)、というかジョークなわけですが、「すこしふしぎならぬ、すげーふしぎ(って感じ)」って言いたくなるところだと思うんですよ。私ならそう言っちゃう。なぜならどういったジョークか伝わってほしいから。伝わらないジョークは意味不明なことを口走ったのと一緒だから、怖いですよ。
タイトロープでのバランス感覚、いいなあ。
収録された時間は全部で15分……は無かったかもしれません。10分はあった……はず(おい
※1 長い間、手塚先生と藤子先生を間違えて記載しておりました。ご教授いただいので謹んで訂正いたします。失礼しました。
ワークショップ
ワークショップと題して、西尾維新のタイピングを再現したものがありました。キーボードがカタカタ自動書記で画面のWordに書き込まれていく様子が間近で見られます。手元には方眼紙のメモ帳や電子辞書がありましたね。
気になったのは、「美声のナガヒロ(『美少年シリーズ』に登場するキャラクター)」と打ち込むときに、
長弘→永広→永廣→長寛→長広→長宏→永祐→ナガヒロ
といった具合でスペースキーの連打による文字変換がなされていたこと。
誰か即急に「F7」をセンセイに教えてあげてほしい。
最後の展示物「ありがたり」
あとがきも娯楽性に溢れている著者の展示会の締め、「ありがたり」。あとがたりに一瞬空目してしまった。
過去、世に出してきた作品が、縦に横に、ときにバラバラにばらされて、およそ17つ散りばめられ隠されている。あなたは全ておわかりになるだろうか?
そのうちのひとつ。全部を晒して並べてみよう。
私はテキストをじっくり読んでいたのでトータルで二時間弱会場にいましたが、少なくとも閉場まで残り一時間程度は余裕を持って行ったほうがよいと思います。
あと会場内にはトイレがないので、入るまえに済ませておくのが吉。
高いか安いかでいうと……すごい適正価格!
ふたりのキャラクタートーク音声ガイド(10分前後)で700円。手が届きそうで、ほんとに届いてしまう価格設定。
いわばオプション/またはトッピングですよ。
そのままのラーメンでも美味しいけれど、極上のスパイスでさらにいい体験ができますよ、的な。ヘッドフォンしていない人の隣で「ふふふっ」みたいに笑って悔しがらせたり怖がらせたり。ちょっと気持ち悪いか、これは。
入場に際してひとり一つのヘッドフォンが支給されますが、たとえば友人ふたりと別のガイドを選んで一周して、出口手前で交換→最初に引き返してから別のものを聴く、ってのもできます。ちょっとせこい思考だけども。自由に行ったり戻ったりできるかどうかは当日の混み具合にも多少左右されるかも。迷惑はかけずにみんなで楽しみたいものですね。
間違っても出口付近で待機して知らない人に「交換しませんか?」なんて言わないように。
出口を出るとガイドは返却しないといけません
「出口を出る」って怪しい日本語だなあ(どーでも案件
展示の最後を飾るライトアップ『ありがたり』のコーナを過ぎると物販コーナに出ます。ちょうどそこにスタッフさんが待機しており、ヘッドフォンと端末を返却。お持ち帰りは不可です。
音声ガイド付きチケット、改め「音声ガイド貸出権つきチケット」だったのだ。
まあ、入り口で気づいてはいたんですけどね。なにか持って帰ることのできるマテリアルなものだと思っていたけど、そうじゃにゃいなこれは……って。
となると、せっかく遊びに来たのに私がココに来たことを証明するモノがチケットの半券しかにゃいことになる。それもにゃんだか寂しいので、物販〈グッズ〉でも買って帰ろう。
物販、種類は多いが品物は少ないぞ。あ、少にゃいぞ。
物販にて公式ガイドブックを購入
ガイドブックとトラベルステッカー。この展示が終わったらアタッシュケースに貼るんだ。
Twitterからの情報で、開場前から長蛇の列ができることと、公式アナウンスで正午には(開場から2時間)グッズの売り切れ報告が多数出ることは承知してはいたのですが、大事な日に二度寝をかましてしまう私。
結局、会場入りは15:50──
テキスト成分多めの展示を堪能&鑑賞すること気づけば1時間50分経っている……。
物販コーナにたどり着いたときは17:40でした。
無数の「本日分は完売しました」をかなしく眺めながら、20分ほど物色/吟味していました。葵井巫女子ちゃんの缶バッジさえ買えたらそれでいいと思っていたのに……。缶バッジは人気ありますねってスタッフさんもおっしゃってました。ジャア,モットカズヲフヤサンカイ
物販までのルート
じゃあちんたらプロジェクトマッピング観てないで物販にまずは行っとけばいいじゃん、と、そう思ったでしょ。甘い。
物販のコーナは展示会場を”出たところ”にあるんですよ。大阪がそうだっただけで他の会場の詳細はわかりませんが。
「会計を済ませると再入場不可」のアナウンスも重ねて行われる。絶体絶命ラチェット機構。
会場まわりはこんな感じ。あいかわらず写真が下手。
もちろん精算を済ましていないグッズを抱えて展示会場内には戻れませんし、会計を済ませると再入場不可なのである。絶体絶命ラチェ(ry
なので、当日券(前売券)で入る→駆け抜けて物販→会計を済ませて再度入り口でチケットを購入(使用)なんてことになる。こんなマラソン私は嫌だ。
もしかしたら案外、そこまでギリギリで切羽詰まっていることはないかもしれない。ビビりすぎかも。煽ってすみません。煽っち、って呼んでもいいですよ。
すげー楽しかった、西尾維新大辞典展
8月上旬、Twitterフォロー先の方がリツイートしているのを見て初めてイベントのことを知って、もしあれがなかったら来れなかったかもしれない。
西尾維新アニメプロジェクトの関係者(スタッフや声優)も数名はフォローしているので東京編・大阪編が始まったタイミングで広報的に知り得た可能性もあるけども、事前に知れたことでお盆の隙間を作ることができたのは僥倖でした。
小唄さんふうに「十全ですわ」とでも言っておきましょうか。もしくは「剣呑剣呑」とか。
とにかく、行ってよかったと私は思ってます。
楽しかったですし、モチベーションが少し回復しました。
以下、ギャラリー。写真下手でごめんなさい。
西尾維新大辞展、ギャラリー
迷ってるヒマなんてなかったの
「迷ったらとりあえず行ってみようやってみよう」「やらないで後悔よりやって後悔」など、この手のメッセージに私は懐疑的で、そもそもなにか迷っている状態って精神的にも健康ではないことが多くって、その状態で作り出された選択肢の良し悪しは前提から間違っていたりして。良し悪しどころか「悪し わろし」だったりして、どちらを選んでも不幸な道しか残されていないことも当の本人にはわからないものです。わからないことこそが唯一の幸福だなんて皮肉は21世紀にはとっくのとうに賞味期限が切れていそうです。肉だけに。あとがきっぽく書いてます。
「迷ってるんだったら行けば?」とは言い難いですが、敬愛する”いーちゃん”の言葉のなかから引用するなら、
「迷わず行けよ、行けば分かるさ」
こうですね。いーちゃんって猪木かよ。
実はこれってアントニオ猪木の創作詩じゃないんですよ。今知ったんですが。
そんな感じで〈西尾維新大辞展にひとりで行ってきたよ〉でした。
西尾維新作品に少しでもかすった方々、良くも悪くも一期一会のこのキカイに足を運んでみてはどうですか?
黒猫かわいいよ。
おしまい。
コメント,ご意見など (中傷発言はNO)
手塚治虫イズムというか、
藤子先生ではありませんでしたか?
確かに黒猫は可愛いですが
ちぇりおー様、ご指摘ありがとうございます。
おっしゃる通り「すこしふしぎ」は藤子・F・不二雄先生の残した言葉でございます。
本当にどうして手塚先生と書いていたのか……すごいふかかいです。
訂正いたします。読んでくださりありがとうございました。