今晩『響け!ユーフォニアム2』の最終回なので、それまでの猶予時間(一時間半しかねえぞ?)で目についた演出というかカットつけというか、そういったものに解説を入れていこうかな、なんて。で、最終話観終わったあとに加筆する、みたいな。
偉そうな講釈の半分は無駄口と深読みだから話半分でオナシャス。
やたらと揺れるカメラ、画面動の補筆
第2話を観たあとに書いた記事〈『響け! ユーフォニアム2』一第1話冒頭の画面動(画ブレ)について〉での結論は、「キャラクターの心の高揚をカメラのブレで表している」というものでした。
一般的な画面動の使い方というのは
- 衝撃等を誇張して表現する(地面に叩きつけられるタイミングで揺らすなど)
- 見た目ショットの身体的な揺れ(視野狭窄やめまいの表現など)
このふたつが主流かと。
これが1のパターン。
で、今回の画面動はキャラクターの浮ついた心情を他者の目を通して表す、3番めの用法と言っても良さそう。2番めの発展型でもある気もします。
この画面動でチームの雰囲気の違いを演出していたのが、第5話『きせきのハーモニー』。
第5話「きせきのハーモニー」の画面動
関西代表をかけての大会、演奏がじっくりと展開される挿話。
”金”発表、そして関西代表高が選出される場面。結果を待つ面々。
まずは”金”発表。ここではまだ画面は揺れない。気持ち(喜び)のピークはまだ先にあるから。久美子や麗奈にはあくまでも想定内の”金”のステージ。軽いピースサインからもそれらが伺えます。
そしてじっくり溜めたあとの…………「プログラム、16番」。
ここで揺れます。
この揺れ(喜びの感情)は北宇治高校面々のものなので、カメラのフォーカスも彼女たちに合わせていました。
なるほどなるほど。
ちなみに、代表に選出される他の2高、大阪トーショー高等学校・大阪明星コウカの発表のときの画面動の有無はというと、
大阪トウショー高等学校は揺れません。つまり、喜びに爆発力がない=代表選出さえ想定内ということでしょう。さすが王者、「やったね」なんて軽い口調で異性間おしゃべり。へっ。
一方こちらは明星コウカ。涙をたくわえて皆で喜び、画面はブワッと揺れる。
絶対の自信はなかった様子。嬉しい感情が溢れんばかりに爆発しています。
と、そんな仕掛けが施されていたわけです。
第5話「きせきのハーモニー」
絵コンテ:石原立也、三好一郎(木上益治)
OPに色がついた
大会を終え6話からはOPのモノクロだったパートに色がついた。みぞれと希美が仲直りして色がつくんだと思っていたので、「あら、まだつかないのか……」とかなんとか。Bパートくらいで「代表が決まってついたらキレイかそりゃそうだ」とひとりごちておりました。
リバースショットのセオリーと右詰めの空間つぶし
リバースショットというのはですね。
二人ないし複数人の対話シーンで、カメラがそれぞれ一人ずつを枠に入れて交互にきりかえていく(つまりリバース)手法です。完全に一人を収めるパターンもあれば相手の肩口や後頭部を見切れさせるパターンと何種類かあります。
動画で観れば一発です。
最初のやつとケチャップ、君が飲んでるカクテル、ここいらですね。
リバースショットの基本、あくまで基本なのですが、
- 相手がいる側に視線を向ける
- 相手がいる側に画面の空白をつくる
このふたつがあれば両者が向き合っていることと位置関係が観客にも把握できます。このセオリーを逆手にとった例は過去にいくつもあるんですが。
そんなリバースショット小講座を踏まえての第8話「かぜひきラプソディー」
第8話「かぜひきラプソディー」
「お姉ちゃんだから我慢」というテーマは、奇しくもデレマス第17話でみりあに妹ができたことで「お姉ちゃんって辛いよねー」なんて黒沢ともよの演技と雑破業のシナリオにぶっ飛ばされたことを思い出しました。まあそんなことは関係ない話。
というか咳がナチュラルすぎてビビる。黒沢ともよおそるべし。
久美子の部屋
お見舞いに来た麗奈とCDを聴いてるとお姉ちゃんが部屋に。身勝手にCDをポイして部屋を出る場面、ありましたね。
毎度の自分勝手な行動がきっかけになり、お姉ちゃんの「美容師になりたい大学やめたい」の発言に対して久美子の思いが爆発します。
そしてお姉ちゃんと久美子の対話:リバースショットが展開されます。
ここです。
視線はお姉ちゃんの方に向いてるんですが、フレーミング的には久美子の前方は狭く後ろが大きく空いています。正位置のセオリーではない。
これは久美子をあえてフレームの端っこに置くことで”窮屈な空気”や”ゆとりのない状態”の表現を狙ってのことでしょう。視聴者はピリッとした雰囲気に緊張するわけです。
絵コンテマンの癖ではない検証として、その後の秀一とお姉ちゃんの会話。
相手が立つ側がしっかり空けられているので、観客も視線がそちらにスムーズに流れる。
これが通常の(凝ったりしない時の)リバースショット。
この使い分け、緊張と緩和のコントロールが上手い。
しかし、会話が終わったかと思うと秀一の何気ない一言が実はインパクト大だった。
秀一「まみこさん、俺達の演奏見に来てくれたことありました?」
──音楽から離れていたお姉ちゃんにはけっこう辛いんじゃねえかって一言。
ここで秀一を画面の(お姉ちゃんの)真正面に立たせることで、右にも左にも視線の逃げ場をなくしているのですよ!エグいな京アニ。
そしてラストで再度久美子の部屋へ出向くお姉ちゃん。
お姉ちゃんの心情に変化があり、二人の精神的な関係にも少しだけ、夕方よりも余地(ゆとり)ができあがる。
という仕掛けがあったわけです。
第8話「かぜひきラプソディー」
絵コンテ 演出:北之原孝將
オトナ帝国のオマージュ?
もうホント最後にするから!
『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』より
ご存知、「オトナ帝国」のクライマックスシーン。
いっぽう『響け!ユーフォニアム』第12話の「上手くなりたい」のカット。
この走り方に加え、夢のなかで忘れてた記憶をプレイバックして目覚める、というシークエンス。
三好氏も北之原氏もオトナ帝国の制作に関わっていたのでワンチャンあるか?(ねえよ
はい! もう二度と書きません!
おやつの時間
第9話であすかの部屋へ。そこでクッキー食べるんですが、部屋のシーン唯一の完全俯瞰ショット。
あすかと久美子のポジションを時計の長針と短針と見る。ほら先輩後輩の関係というか、グラマー加減とか。久美子はちんちくりんだし。
おやつは三時、っていう小ネタでしょう。実際の時間は夕方四時半過ぎだけど。
藤田春香のコンテ
第11話の大吉山。
(ゆったりと動きの少ない)背景&OFFのセリフ指し、が特徴としてあるかもしれない。まだまださっぱりだけど。
セーター着てるのにどーしてパイスラをしないのか!? もとい、どーしてしてくれないんだよ!? となったこの辺の麗奈。男心というかスケベ心というかブヒ心をにじる仕打ちよ。完全に手のひらの孫悟空でした。
で、「ああーこれは藤田春香が今回書いてるんだな」と確信したのがこのカット。
しかしもっともっと勉強が必要。もちろん私が。小津安二郎の映画でもこんなショットがありましたね。
最終回については一旦先送りにします
なんてーか、1時間そこらで記事がかけるかよ! 状態です。もう3時間経ってます。最終回の放送終わってますよ。もう、、こんな記事誰が見るんだよモードに突入したので、全選択+deleteしないうちに放流します。
関連リンク
続き書きました。全然まとまってません。
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