フクナガコウヘイって知ってますか?
堂島孝平でもなくてシミズコウヘイでもない。フクナガコウヘイ。
ステージのまんなかで背筋(はいきん)を伸ばすフクナガコウヘイの風貌を観て私は『ア・ハード・デイズ・ナイト』の頃のポール・マッカートニーを思い出しました。
え? お前は近視なのかって? そうですよ。
赤い公園とのツーマンイベント『パレい公園ー赤いろの雨ー』〈12/3 at 心斎橋BIGCAT〉
ライブレポートって野暮だよね。やっぱね。まあいいや。
先日、雨のパレードのライブに行ってきましてね。いままで観てきたライブ会場(pangea、広島パルコ、梅田shangri-la、心斎橋COMPASSなど)のなかでは一番大きかったと思います、心斎橋BIGCAT。
始まる前のぼにゃりとした予想としては
- 出番は雨のパレードが先
- どっちも”トーキョー”の名を冠した楽曲があるからそれをそれぞれ演奏するだろう
- 赤い公園は『純情ランドセル』をメインにポップな(失礼な言い方だけど初見でもしっかりと伝わるくせの薄そうな)曲をして、西東京なんかの様子がおかしい曲もしてくれたらな
- とにもかくに『今更』をやってくれたら最the高
くらいを考えて会場入り。
(7分押しで)予想通り、雨のパレードが”先攻”
(対バンっていうのは対戦するバンドってことですよ。バチバチに倒しに行くのが良しのこと。だから私はライブを”観戦”しにいくわけです)
お客さんの層はどうなっていたかというと、若者多めでおっちゃんもちらほらな感じでした。
- 雨のパレードは知ってるけど赤い公園は知らない、またはその逆。
- 雨のパレードも赤い公園も聴く(私はココ)
- 赤い公園のポップな部分が好きだけど、濃いのはよくわかんない。
- フクナガコウヘイかっこいい。
- 藤本ひかりがかわいい。
- 腰に手を据えて歌う佐藤さんまじかっこいい(私はココ)
などなど、様々な分布があったよう。
先述のおっちゃんはおそらく赤い公園ファンだな。
佐藤さんのMCから察するに、雨のパレードがお目当てのお客さんのほうが多かったもよう。前回のBIGCATでの赤い公園ワンマンもパンパンっていうほどお客さん入ってなかったし。赤い公園のライブ観ていないのはもったいないなあ。ライブすげー楽しいのに。
雨のパレードを聴こう
インストで空気をじっくり練ってからの『new place』
見た目にも面白い右手も使ってのハンマリング(あれもライトタッピングに含まれるのか?)と符点ディレイ。象徴的なベースフレーズ。4でも8でも気持ちいい。
一曲目からnew placeもってくるなんて。私はてっきりラストに持ってくるもんだと思ってたので。
あの瞬間もっと沸けばいいのになあと毎度のことながら思う。「new placeきたよー!」って感じでね。
COMPASSでのワンマン、梅シャンでのLILI LIMITとのツーマンと、どちらもラストの曲がnew placeだったわけで。そういうポジションの曲になってたのかと。
余談:アンコールのなかったCOMPASSワンマン
そういえば、COMPASSのワンマンってアンコールで曲をやらなかったんですよ。お客さんの手拍子アンコールはあったんだけど。
お客さんの「手を叩けば出てきてくれんでしょ? もう二曲ぐらい用意してるっしょ」的な最後だけ帳尻を合わせるような、フロアに立つことについての意識の薄っぺらさとでもいうものを、軽く蹴っ飛ばした彼らなりの意志表示だったのだと、私は勝手に結論づけています。
他にも余地はたくさんあるんだけど。実感として、あのライブは「めちゃくちゃ面白いかった!」といえるものではなかったし。ワンマンや大トリだからって毎回アンコールが組み込まれてると思うなよ。
BIGCATに話を戻しましょう
最後にnew placeを演った意味みたいなのをあれから考えるようになって、今回のライブでは一曲目に持ってきた意味なんかも勝手な解釈が広がり滾ってたんですけど、どうも会場は反応が目に見えて薄く、「アウェーなのか?」という空気が表面化したような感じになってた。
そうなると、アウェーを想定してのつかみとしての選曲かもしれない。
4つで取ればいいリズムは間違いなくノリやすいし、雨のパレードで一番聴かれている曲もおそらくこれなので、”あー、この曲聴いたことある。あの人達なのか”という挨拶代わりの効果もあるかと。
とにかく、アウェーなのかどうなのかは置いておいても、大きな会場が映えるバンドだなあと観ていて思った。昼の野外は合わないだろうなとも。タワレコも合わない。
そのあたりBOOM BOOM SATELLITESに近い気がする。暗さも演出の一つ。
リバーブと伸ばしと間の多いメロディのせいなのかな。
あと、あのステージングいいですよね。フクナガコウヘイが会場見渡す感じの。目があってるような錯覚に陥る。いやいやまさか……あれ、ほんとに目があってる?
なつ「みんな思うみたいですよ」
だから近視だって言ってるじゃないですか。
『Tokyo』がフロアに馴染む日は来るのか
誰とも共有してない感覚なんで何とも言えないが、ライブで観る『Tokyo』がいつもしっくりこない。もともと雨のパレードの音楽って、ベッドに寝転んで一人ヘッドフォンで聴くような位置づけの音楽のような気がしてるんです。私のなかでは。
ウヒヒ志向って言うんですかね(言わない
すごいリラックスできるし、心に沁みるものがある。そんな開放された状態、カタルシスを浴びる瞬間は身体も休ませておきたいもので、固いモルタルの上で立ってるなんて嫌なんですよ。
new placeやbreaking dawnみたいなプリミティブなリズムはガンガン体揺らしたくなるんですが、Tokyoはどちらかといえばゆら~と揺れつつも聴き入るタイプに分類してる。
だからライブで(フロアで)聴いててしっくりこないのかと思ってたけど、どうも違う気がしてきた。
キックだ。ドラムのバスドラの音が違うんだ。あれは。
音符の位置とかじゃなくて、音色。
キックの音が生音アナログチックでうるさいんだと思う。ライブだとギターが引っ込みがちでドラムがよく通るんだけどTokyoはそこがミスマッチに作用してるんじゃないかなー。
次のステージへ
noctilucaでの歌うベース(是永さんじゃなくてね)とか良かったし、『10-9』を演るあたり、けっこう攻め攻めだったなあなんて思ったワケです。赤い公園聴く人ならハマる余地は十二分にあったとも。
夜の匂いをBIGCATで演ったらなあ、まんなかで鍵盤ハーモニカ吹いて。面白い画になってたと想像する。きのこ帝国はたぶん吹くだろうな鍵盤ハーモニカ(ヤマハ製かわからないからピアニカと言えない)。
次のレベルって意味もあるだろうし、次の現場って意味もあると思う。
新曲『stage』の前だったか後だったか覚えていないがMCで次のステージに進んでいこうと思うみたいな旨の話をしていたような気がする。new placeはもう最新ではないし彼らのピークではない。ましてや代名詞でもない。
脱却の意識がPVのアートワークや楽曲から感じませんか。
秒速13メートル以上で進化する彼らにはラストにふさわしい曲が既に生まれているのだ。
そんな意識でのセットリストだったのかもしれない(粗略&野暮な〆)。
そして、赤い公園のライブが始まる。
コメント,ご意見など (中傷発言はNO)