【箱の中身はなんじゃろな】ハコモノ映画『[LIMIT]』

【この記事のこと あなたの周りにも拡めてくれたら それはとってもうれしいなって】

どうやら私はハコモノの映画が好きらしい。あまり自分では意識してないけども(ハコモノというジャンルを知らなかったの意じゃなくて)友人にそう言われた。

ちょうどDVDをPCにインサートして▶のボタンをプッシュしようとしたところに呼び出しがあった。先月代理で購入した車の内装パーツの代金を忘れないうちに払いたかったらしいが、本音はDVDを優先したかった。結局コンビニ駐車場の端っこで三時間ほどだべってしまい、そのうちで映画の話になり、冒頭の私の趣向に帰着するわけだ。ハコモノ。

これ以上のハコモノは出てこないんじゃないかな?

箱モノ(ハコモノ)っていうのはジャンル要素のひとつで、

  • 特殊な状況下で
  • 舞台移動が限りなく少なく

みたいな条件付けができる映画です。私の主観的な物差しも多分に入ってくるので、外で使うと話が噛み合わなくなることもあるやもしれません。今回ホロウがどうだのといったギターは全く関係ありません。

ちょっと詳しく解説しましょう。[LIMIT]の話が知りたい方は飛ばしてください。ぺっ!

様々な「特殊な状況下」

【いい忘れてましたが、映画のみならず小説・漫画・舞台なんでもいけます。物語としてのフォーマットの話ですので】

まずは舞台を軽く分析。というか全体の俯瞰。

なつ「特殊ってどっからが特殊なの?」

──これはもうずばり一言でばしっと言えます。

【閉鎖的】この一言に尽きますね。じゃあ、最初から「閉鎖的な状況下」にしとk……

「閉鎖的」であって「閉鎖」ではないところが肝であり退路であり……条件を狭めすぎると例すら浮かんでこなくなるというポンコツデータベースっす。あ、「孤立」とかの枕もいいですね。「謎の……」とかもいいですね。

導入部分は外部だけど、閉鎖的な空間に主人公たちの舞台が移り本編がスタート、といったパターンもハコモノとみなしていいと思います。(私は認めない派です。あくまで広義の扱いでいれてみましょう。)
よりこだわった制作だとファーストカットからラストカットまで”箱”のなかで完結させたりもするので、そちらが正統派のハコモノでしょう。

離れ小島の別荘に集まった貴族たちの間で殺人事件が!しかも嵐が直撃して本土には帰れなくなってしまう。そして第二の事件が……

人類は街を覆うように壁を作り外敵の襲来に備えた……言い伝えで壁の外へは出てはいけないらしい。

クリスマスにニューヨークに向かう旅客機がテロリストのハイジャックに合う。通信空手が趣味の主婦が愛する家族のために立ち上がる。

舞台移動が限りなく少ない

本編がどこかの”内部”で進行しているなら、”外部”とは隔絶されているべきであり、また外部の動きにはフォーカスを当てるべきではない、そうすると崩れてしまう。と私は思っています。外部はいまどうなってんだろう、と視聴者に疑念を持たせるんです。

これも上で書いたような「頭からケツまで内部で完結させる」に通ずる部分です。

私が思うハコモノ判定

上の二点を踏まえて、これがハコモノ、これは惜しいけどハコモノとは違う──というのをさらっと書いてみましょう。独断ですので、誰かにチクるとかやめてください。

ミステリーの定番、孤島症候群はハコモノと認めてもいいと思います。金田一シリーズでもそこに含めるものがいくつかありました。が、ただの孤立だともうパンチはないのでハコモノなりの謎や驚きを加えて欲しいですね。視野が狭まって周りの情報が視聴者に悟られないのがハコモノの利点ですから。

ただし、綾辻行人『十角館の殺人』のような、孤島パート⇔本土パートと視点が順々に入れ替わるものはハコモノではないです。同様に『タイタニックも違います。

孤立したわけではないけど、ひとつの舞台に数人が集まって何かをするという場合もあります。『キサラギ』なんかがこのパターンです。

あとは『エイリアン』シリーズなんかはその最たるものですし、私の生涯トップ20にはまず残るであろう『CUBE』はハコモノのエポック作品です。ほんとに未視聴の方には観ておいてほしい作品です。少しグロい描写はありますが、よくできた映画です。この作品を発端にしてハコモノなんて言葉が広がり始めたんじゃないか? とすら考えています。

[LIMIT](原題:BURIED)にこっちの我慢が──

さて、本題。LIMIT。原題は「埋葬された、埋められた」という意味。まんまですな。

監督:ロドリゴ・コルテス
脚本:クリス・スパーリング
主演(出演):ライアン・レイノルズ(のみ)

イラクのバクーバで働くアメリカ人派遣労働者(職種はトラックでの物資運搬)のポールは、突如イラクのテロ組織の襲撃を受け、気がつけば土に埋めた棺桶のなかに閉じ込められていました。

設定はいいですね。なにそれ怖い……で、どうなんの?  って思わせたらもう勝ちですもん。昨今バクテリア的に増え続けるワンシチュエーション・スリラーってやつですね。そう、ワンシチュエーション・スリラーはいつも設定はなんか良さそうに聞こえるんだ。ログラインは優秀なのが多いんだ。『デビル』とか『フローズン』とか、『SAW』シリーズもこの系譜に入るんだっけか。

あ、すみません。私ネタバレかましてしまいました。テロに襲撃されて閉じ込められたのは開始15分くらいでわかる情報でした。すみません。ネタバレラインってほんと難しい。

狭い棺桶のなかで気づいたポールは足元にセルフォンがあることに気づき、物語はようやく動き出していきます。

当たり前ですが棺桶のなかなので相当狭いです。私閉所恐怖症ですから、こんなとこ放り込まれたら五分でまた眠っちゃいますね。

最初のカット。暗闇でなにやら吐息がハァハァと。視聴者を焦らします。

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10:00~ごろ

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20:00~ごろ

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30:00~ごろ テロリストからの無茶な要求 まだ棺桶のなかです

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40:00~ごろ

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50:00~ごろ テロリストからの要求2 まだ棺桶のなかです

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60:00~ごろ 

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70:00~ごろ

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83:00~ごろ 全尺90:00の映画ですが、まだ棺桶のなk……

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というわけで、エンドクレジットまで全力疾走で映画は進んでいきます。

正統なハコモノでございました。

これ以上のハコモノが観てみたい(たぶんすぐ観られる)

ネットで感想とか見ると、あんまり評価が高くないの。私も大絶賛! ってテンションではもちろんないけど、まあ100円レンタルなら捨て銭にはなってないなーくらいには面白かったよ。

確かに、あの蛇の下りとか、マークホワイトって結局「?」なの、みたいに表に出したはいいけど持て余しちゃってるシークエンスは多々あった。でも、こいつ助からなくてもよくね? 的な感情が離れることもなく、同じ場所にいる人物を映し続けても視聴者を飽きさせないようカメラが動いていて楽しい部分もありましたよ。このあたりは『127時間』でも感じた部分ですね。飽きさせない興味を失わせないって、すごい大事。

ほんとは土があるんですが、つきぬけていきます

スリープオーバーあるいは垂直ズームアウト

これ、『ノー・マンズ・ランド』でもありましたね。ぐぐーとカメラが引いていって被写体は小さくなり、周りは誰もいない何もないっていうの。どちらも表現しているのは「世界から切り取られた孤独」です。

拙い部分はあれど一見の価値はあると思います。劇場で観たかたは災難でしたが。

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しかしエンドクレジットでああいう曲が流れるパターンといえば、真っ先に思い出すのは『バーディ』ですね。じゃんるは全然違いますが。

いやほんとハコモノ入門講座題材としては──おすすめです。(某ラジオ某コーナーっぽい締め

by カエレバ