【分析】『響け!ユーフォニアム』は京アニの現在形-集大成だったってことでいいじゃん!

【この記事のこと あなたの周りにも拡めてくれたら それはとってもうれしいなって】

にちは折田(兄).exeです。この作品たったいま大好きになりました。(前フリ

[挨拶]

私、好きなんすよ『ソラニン』のコミック。映画はなんか尺長いみたいだけど、コミックは全二巻のショートサイズなんで未読のかたは是非。 まだ未成年の、バンドやっているそこの君、大学いかないでバイトとバンド並行生活の君、君だよキミ。ひとつの人生訓としていまからでも読んでみないか?

三時間あれば読み終える内容だ。流行りのポップスとかアイドルソングが席巻してるいまの音楽業界つまんねー、と嘆く君みたいな悩める男がこの本のなかに生きてるから。映画はまだ観てません。

二期が待ってる

う最終回までいってしまったので、週刊っぽく(リアムタイム性を出しつつ)言及するのもなんか違うなー、というか先を知ってしまったぶん自分のなかの書くことに対する熱量がいまいち発揮できなくてですね……。

A選抜オーデ回、トランペットのソロパートを巡っての再オーデ回と非常に楽しみつつもブログに起こさなかったのはいつものごとく忙しかった(名古屋と東京に行ってました)のと、移動時間の隙間を縫って原作の小説を読んでいた背景がありましてね。

いまってカバーと同じサイズの帯まであるんですよ!原作イラストレーターの立場がねえなあ、とかなんとか。

第十話の終わりに原作を読み始めて、なんとか最終回放送日の前日に二巻まで読み終えました。三巻早く届かないかなー。

浅草 雷門の前から望むスカイツリー

浅草 雷門の前から望むスカイツリー

ああ、私の数週間を振り返ってしまいましたね。失敬失敬。

ソロパート再オーディションのときはまだ原作未読状態で、順番とオーディションの方式なんかを想像してたんですよ。演者が見えちゃうと余計なフィルターがかかって審査に影響するからブラインドでやるんだろうか、とか盛り上がりを狙い順番をどうするかとか。順列を考えるまでもなくパターンは4つ、

  1. れいな→かおり ◎れいな
  2. れいな→かおり ◎かおり
  3. かおり→れいな ◎れいな
  4. かおり→れいな ◎かおり

となって、まあ順当に麗奈がそのままソロ当確なんだろうとは思ってました。「じゃあ、上の1か3のどちらかの順番になるだろう。どっちがいいか、どっちがドラマチックでドラスティックか」と考えました。

昨今はどうも3が主流というか力を持っているというか、キャッチャーでベタなんですよね。先攻は負けフラグなんてことも言われてたり。先にそれなりにいいものを比較対象として見せて、あとが本意気でブッ超えしてくるパターン。いわばテレフォンショッピングのパターン。それだけ説得力がある手法です。悪かない。悪かないんですがね……。

なつ「いつもの『俺くらいになると』?」

ああ、やっぱりそうくるかー、となるんですよ。

物語として作られたもの”という目線を持つと、「これは舞台装置である」「彼はこの言葉を喋らせられている」とか痛々しい病的発想を思いつくんですよ。ええ、そっとしておいてください。

結局、順当な3でした。でも1のほうが良かったな、とも思ってます。

麗奈がまず吹く。圧巻でみんな驚嘆する。リボンも「まあ……うまいんじゃない?」みたいな。

かおりが吹く。

リボン優子「あれ?何も感じない……」

とまあ、ここにNTR的な嗜好と美徳が溢れんばかりにあらわr。

ちなみに、「原作がそうなんだからしょうがない」的なのは京アニではあまり通じない。アニオリもボンボン放り込む社風なので、アレンジもなにもトータルで京アニへの評価で問題ないかと。このアニメも例外でなく結構原作との差異がある。アニメを観てても、あまり原作に改めて手を伸ばすというのがないので、今回の一連で脚本の役割が少し見えてきた気がします。

響けユーフォニアム

月が木星近くを通過。生で観測できましたか?

原作からの変更点もろもろ

さて、原作とアニメ版の『響け!ユーフォニアム』の違いについて少し触れましょう。 私はまだ二巻を読み終えたところなのでその範囲内の情報になりますが。アニメ一期で描かれた範囲は京都府吹奏楽コンクールが終わるまで、つまり一巻の最後と合わさります。

口調、言語

原作:台が京都なのでキャラクターはみな京都弁がデフォルトになっています。久美子(とその家族)だけは小学生のときに京都に移ってきたので標準語が抜けないまま、となっている。 しかし、文体で方言っていうのは読んでいてなんともきついものがある。舞城王太郎とか平気だったのに。

キャラクターのひとりに関西弁キャラがいる場合テニスの王子様とかてーきゅう!)と違って、ほぼ全員がじゃりン子チエなみにこってりしてると違和感がすごいありました。あまりそういうものに触れてなかったからでしょうが。私自身いまも大阪に住んでますが、それでも最初の受け付けなさは異常でした。

プロローグとして中学のコンクール結果発表の場面から始まりますが、いきなり高坂麗奈が「アタシ、めっちゃ悔しいねん」とか言いますからね。もう倖田來未が脳内再生されちゃって「うわー」とアニメからイメージが崩れていく私でした。まあ、一巻の半分くらいで慣れちゃうんですけどね。

オーディションのA組とB組

そもそも葉月は初心者なのでオーデに参加できずB行きになってます。アニメでは「あたし落ちちゃった」みたいなさらっとコミカルなシーンがあったので一応オーデは受けたんでしょう。

で、B組も地方でコンクールに出場するんですが、アニメではAチームに濃いめに照準を合わせる都合からその流れはなくしてます。

塚本しゅういち

久美子と同じマンションに住んでます。 アニメ版ではそんな感じはなかったですね。あと彼の乗り込んでくる駅の法則がよくわからなかった。

【2017/1/2追記 二期では同マンションに住んでいるのがわかる。駅云々は寄り道とかそのような理由でしょう】

原作ではやや唐突に思えた葉月の恋心もアニメではちらちらと絡みの場面を用意してわかりやすくなってました。決して惚れっぽい軽い女に見えない配慮、いいですね。

ソロオーデの申し出

原作ではコンサート前日の、コンサート会場でのゲネプロ中にかおり先輩が自ら申し出ます。
これはいただけないなーと思いました。ナイス改変。

かおり「先生、仕切り直ししてください」

「や、でもトランペットみんなを見る時間とかありませんし」

優子わたしは辞退しますから(←そもそも力不足なんですが)

ペットA子「わたしも」

ペットB子「わたしも」

わたし「じゃあ……、おれも」

「しょうがないですね……じゃあ、いまから中世古さんと高坂さん
のふたりで審査をやり直します
。それでいいですね?」

かおり「はい!」

れいな「…………」

いや、ほんとにこんな感じの流れですよ。ここは変更して良かった点ですね。

アニメオリジナルの成分

とはれいなと久美子があんなにイチャイチャはしてないとか「れいな呼び」は県祭り以前からだとか、県祭りでのセッションもアニオリだったりするし、滝先生のよくわからない遅刻キャラ設定とか、久美子の「上手くなりたい×12」も原作からけっこう味付けされたものだったなとか。このシーン、『オトナ帝国』のオマージュだと思うんだけど……。

記事タイトルの集大成に後乗せするなら、ポニーテイルが積極的に使われたのもアニメオリジナル要素です。ポニテといえばハルヒですな。……とまあ、原作の見どころ半分くらい出してしまいましたが、アニメだけでなく原作も手にとってみてくださいね。

新しい京アニ演出を垣間見た

京アニの演出、と言われてぱっと思いつくのはやっぱりジャンプカットじゃないでしょうか。演出っていうか技法っていうか、まあ同じか。

なつ「ジャンプカットの例が欲すいです」

──京アニ演出と銘打っても発明したのが京アニって意味じゃなく、初出はゴダールと言われている。ジャン=リュック・ゴダール。『勝手にしやがれ』『気狂いピエロ』などで有名な人。え、ピンと来ない? そうすか。

ちなみに「きぐるい」じゃなくて「きちがい」が正解の読み方です。近年はPC的な配慮から「キグルイ読み」する場合もあるとか。(へえ、にわかが読み間違えたんじゃないの?)

これが日本にも当然流れてきて、邦画でもたまに見かけるのです。

大林宣彦監督作品『青春デンデケデケデケ』とか岩井俊二監督の『花とアリス』とか。

もとはワンカットで撮ったシーンを編集作業で切ることにより、一味違ったスピード感が出せるんです。実写の場合は編集で切り貼りしますが、アニメは原則として不要なシーン(使わないシーン)は描かないが基本ですから、あらかじめ残す部分を計算して原画を描いていく。


京アニ作品郡に限らず一回は観たことあると思います。

文字に起こしても伝わりにくいのは承知で書きますが、例をひとつ。”放課後、無人の教室。忘れ物を取りに来た女生徒”という設定。教卓から教室全体にカメラを向けている状態を想定してください。わわわ、忘れ物~。

  1. 女子生徒が後ろの扉から入ってきて、まっすぐ向かい側後方の窓に歩いていき、軽く体を乗り出しながら運動場の様子を眺める。
  2. 数秒後、何かを思い出したようにはっとして、自分の席に移動して、鞄に教科書を詰める。
  3. 鞄を背負い、後ろの扉から教室をあとにする。
  4. (一旦無人の教室の画ができあがる)
  5. 電気を消し忘れたことに気づいて教室に戻り、消して、再度教室から出て行く。

  とまあこんなシーンがあったとして、カメラはfixでいいとしても全回しで使うのはどうも尺として長いなと思いませんか。別段重要なシーンでもないですからさらっといきたい。上のままワンカットでいけば、三十秒は確実に使ってしまいますよ。それじゃたりないかも。 そんなときのジャンプカットです。

  1. 女子生徒が後ろの扉から入ってきて、まっすぐ向かい側後方の窓に歩いていき軽く体を乗り出しながら運動場の様子を眺める。
  2. 数秒後、何かを思い出したようにはっとして、自分の席に移動して鞄に教科書を詰める
  3. 鞄を背負い、後ろの扉から教室をあとにする。
  4. (一旦無人の教室の画ができあがる)
  5. 電気を消し忘れたことに気づいて教室に戻り、消して、再度教室から出て行く

  の部分だけを残します。けっこう省けましたが、ストーリーは崩れてないです。

1は視線が窓に向いてから窓に着くまで、2では席までの移動距離を、3では教室から出る移動距離を、4は尺次第、5は入ってからスイッチまでをそれぞれカットしました。

伝わりましたかね。絵がかけないってもどかしいですな。観たほうが早い動画を用意しろ。仰るとおり。

期の作品でいうと『血界戦線』でも松本理恵(同作品監督)さんの絵コンテ回ではたいてい入れてきてましたし、EDもジャンプカットの応用亜種と思ってもらっていいんじゃないでしょうか。

それで話をジャンプカットに戻すと、ゴダールのジャンプカットはカメラが動くんです。フォローっていうんですかね。私が好きなのはfix(カメラを固定すること)でのジャンプカットなんです。京アニはfix系なのです。あんまりやるとくどいのは百も承知。

そんな名物演出は今回抑え意味。代わりにピン送りが顕著でした。

響けユーフォニアム カメラ

夏紀と葉月。ここまでぼかすとさすがに過剰

どんだけ被写界深度の浅いカメラで撮ったんだー!ってなりますよ。 ピン送りもさることながら、私が気になった技法……は次回(あとがき)にでもまとめます。さようなら。  

TVアニメ『響け!ユーフォニアム』オリジナルサウンドトラック おもいでミュージック
by カエレバ