【音楽】きのこ帝国 『フェイクワールドワンダーランド』”十二番目”の東京

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大晦日に『ラストデイ』聴きましたか? 私は聴きましたよ。

東京に行った友人は元気にしてるんでしょうか?

そろそろ会いに行きたい、そんな季節になりました。

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フェイクワールドワンダーランドを買いました

東京に行ったのは十回程度、一泊か二泊がせいぜいで、日中フル活動のあげく寝るのは帰りの夜行バスなんてことばっかり。だから東京の空気といっても私はよくわからない。居心地はよくなかった。

移民のような──そんな表現はふさわしくないらしいが、それに近い。 とはいえ、東京は日本の首都であり、経済や政治においても重要なポジションである。重要どころか”日本”とほぼ同義と言い切ってもあながち間違いではない。

間違いなく”現場”ではある。

そんなこともあってか、東京について歌う歌は多い。
東京に向かう歌、東京に住んでからの歌、東京が変わっていく歌、東京の朝、東京の夜、喧騒、裏通り、東京にも田舎はあるんだという歌。東京から帰る歌もある。
ワンルームのベランダ、タバコに火をつけては消し、消してはまたつけ直し……

なつ「東京にほんとの空はない」

そんな詩もありました。どうしてそんなにみんな東京への思いがあるのだろう。
私にはまだわからない。

またひとつ、『東京』が生まれる(た)

インタビューでも語っていたとおり、『東京』をタイトルにするのは相当なプレッシャーがあったらしい。ハードルが高いし何より長いスパンで埋もれてしまう可能性がある。そんなことをいちいち気にせずに、瞬間風速だけ感じりゃあいいのよ的に「君が好きなのアイラブyou」なんて首の痒くなるような楽曲を発表するアーティストもさんざんいるけどさ。

とりあえずテキトーに鼻くそほじりながら辞書に指さしてあとは予測変換にお任せみたいなやつもいるけどさ。 そんなやつらはどうでもいい。別に許してやるとか認めるとかじゃないけど。まあ、どうでもいい。

きのこ帝国の話を。

生まれたてだった『渦になる』が私の耳にこびりついて、ハーメルンのあの童話みたいに梅田クアトロまで足が勝手に向かって、見事に突き飛ばされた。そのときはビッケブランカとかパスピエとか、もうクアトロでは一度に揃わないんじゃないかってメンツだった。(自慢げ

ギターのあーちゃんがね、持っているピックを弦にとんとんとん、って垂直に当てるわけですよ。(これ、文章じゃ伝わりにくいな……) ピックスクラッチをすごい細かく刻む感じ……でもないんだけど、お得意のディレイと相まって「水疱がこぽこぽ浮かんでくるようなイメージ」の音が出るのだ。にゅんにゅんにゅんにゅん……て感じ。

これがすごい好きでね。そこからさらにスティック叩いてカウントが来るってのがもう。

ドバーです。ACIDMANの『Ride the wave』以来の”スティックで脳汁ドバー”

ボリュームつまみいじったり、ネックを左手が這うときの「キュイン……キュィン……」とか、もちろんここもディレイかましながら。

全然関係ない話だけど、中学の頃にギター弾いてた友人は「エリック・クラプトンは演奏中にトーンのつまみも切り替えるんだぜ」って言ってた。

「なんで? そんなことする意味は?」と当時は思っていたけど、最近はその意味もわかるようになってきた。ほんの少しだけど。

ボーカルの佐藤も、昔はBARKSのインタビューで「自分はニュートラルな人間なんです」なんて言ってたのに。それが最近はHPのヘッダー画像や宣材写真も笑顔のものになって、髪の色も明るくなって――、と気持ちわるいファンみたいになってきましたよー!

なつ「アルバムの話をしなさい」

名盤『フェイクワールドワンダーランド』

先行シングル『東京』が一曲目を緩やかに飾る。メジャー調の歌い出しで既に変化を感じる。かと思えばAメロへのコード進行でがらっと体温を下げられる。

これってたぶんTHE BACK HORN『花びら』のオマージュを入れたMV。4:3から16:9に時代は変わったけど。

まあそんな小ネタはいい。

本当に『ロング・グッドバイ』epを経てどんどんバンドが変様していく。

きのこ帝国ってコーラスの使い方が抜群で、ヒップホップ界隈が韻踏みを強調するときにダブリングを採用するような場合もあれば、『クロノスタシス』では「知ってる?」「知らない」という会話文を男女の掛け合いだったふうに組み直す。東京の間奏のコミカルなコーラスもシンクロで覆うパートも全部佐藤あるいは楽曲をたてるためである。

決してツインボーカルとは扱われない距離感を維持してほしい。

ギター始めたての中学生がよくわかんないままにBOSSのDS-1を買って、つまみ全開で歪みまくり、煩いだけのディストーション。一聴すれば『ヴァージン・スーサイド』はそんな音で始まる。

DINOSAUR.jrじゃないんだからさ、なんて思ってみても、もうすっかり轟音のとりこにされている私はメロにくっついてくるサイドギターに涙腺じんじんです。

新しい曲を初めて聴いたときに開始十秒ほどで巻き戻しボタンを押すことが稀にある。
イントロが落ち着いて、というのか、この曲はこういう曲だって明示されるまでの数秒の間。格好いいイントロ(まさしく入り口という意味だけど)に出会うと、「ニヤッ」と笑って巻き戻しボタンを押す。 イントロから本気っていうんですか。

「いまの何? どうやったの?」みたいな。
「このイントロ作り上げるのにどんだけ時間かけたんだろうか」みたいな。

ドラム連打だったり、歌モノだったり例題は多岐にわたるんだけど。

なつ「the band apartのeric.Wとかかね?」

まあ近からず遠からず。しかしださいMVだな。 SUM41の『Over my head』とか『hooch』とかRADWIMPSの「いーでぃーぴー」とかSchool Food Punishmentの『Y/N』『in bloom』とか……もっとあるはずなのにあんまに出てこないなあ。ライブラリ眺めてもピンと来ないし。

なつ「感動は褪せていってしまうものだからね」

──悲しいが、そうかもしれない。スーパーカーのfay awayでも聴こうぜ

そんなイントロだけで心を掴んだのがunknown planet」でした。

You outside my window』ですね。背表紙みて書いてたので間違えました。。。

大晦日はこたつに蜜柑だよね、なんて談笑する二人の画が浮かぶ『ラストデイ』は『風化する教室』のあの子が成長したあとのできごとのような気さえする(勝手な思い込みだけどね)ひたすら明るい曲で、前作前々作を聴いていたら余計に心を打つものがある。

世界は自分を理解してくれないよ、ってルサンチマン持ちの私達に「世間は相変わらずクソだけど、でも頑張ろうよ」って励ましを送っていたのが以前、そこに共感していたリスナーにしてみれば置いて行かれた感があると思う。やはり佐藤と自分は違ったんだって。ワンチャンなんてなかった。

幸せになりおって、みたいな気持ちは嫌でも湧いてくる。かと思えば『疾走』なんて耳をふさぎたくもなる。羨望ってやっぱりマイナスの感情なんだと思う。

なつ「暗いね」

これが性分なので。嫌いではないです。

 ”十二番目”の東京

そして十一番目にして最後の曲『Telepathy/Overdrive』がまたすごい……。

もう別のバンドですよ。 コーラスもいい。三分POPのお手本の構成もいい。
引き算がばっちりのバンドって最高(とか言っちゃうぐらいいい

「バカな僕たちだから、終わりは先延ばしに――」を無理矢理に広げた解釈をすると、

終わりを伸ばす→リピート再生しなよ

となる。

最後のギターフレーズ「チャー、チャーーン」が終わり、リピートすれば”十二番”に『東京』が流れ、歌い出し「日々-メロが前述のフレーズにシンクロしていたのがわかる。
一周して聴く印象は当然違っていて、妙な納得が湧く。そんな仕掛けが面白い。(ほんとかよ

かっこいい。ので、耳に通して下さい。ライブもがっかりさせませんよ。

関連リンク

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