「みんなちがって、みんないい」といえば、谷川俊太郎先生と並び、小学生の国語の教科書ではたいてい載っている金子みすゞ先生の詩『私と小鳥と鈴と』の締めのヴァースです。
なつ「ヴァースとか言うな」
(いまの教科書事情はわからないので、もう載っていないのかも……)
若い子は見る機会がなかったかもしれないので、全文を引用しよう。
わたしと小鳥と鈴とわたしが両手を広げても
お空はちっとも飛べないが飛べる小鳥はわたしのように
地べたを早くは走れないわたしが体をゆすっても
きれいな音は出ないけれどあの鳴る鈴はわたしのように
たくさんな歌は知らないよ鈴と小鳥と それからわたし
みんな違って みんないい
「私と小鳥と鈴と」/金子いすゞ
──個性だ優劣だと嫌な時代に鋭いメスをつきつけるような素晴らしい詩ですね。はっきりとした発表年が調べられなかったんですが、亡くなったのが1930年のことなのでそれ以前、少なくとも85年前の作品ということにはなるかと。これが普遍性というものです。
ナンバーワンよりオンリーワン?
はっはっは。軽い軽い。
まあその哲学というか概念自体はずっと前から存在していたのでどこが出典〈ルーツ〉とかわからないんだけど。
とにかくそういう詩がある。これを念頭に置いて話を進めていきましょう。
ページ概要
Creepy Nuts『たりないふたり』発表
R-指定が大阪出身のライマーでUMB三連覇とか、DJ松永がTOCさんの後ろでタンテしてる人物とかそういうのは割愛しましょう(そんなのはメディアに任せりゃいいのだ)。
先日アルバムを出しました。ランキングも上位のまま。まだまだ売れてます。
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1/20が発売日、予約したのは1/10くらい。なのに手元に届いたのが2/2というさっぱりな状況。タワレコyahoo店しっかり!
で。
みんなちがって、みんないい
金子みすゞ先生の詩が前向き・ポジティブなメッセージを持っていたのに対し、アルバム2曲目『みんなちがって、みんないい。』では様々な”MC”に向けてdisを飛ばしているんです。
”みんなちがってみんないい”とか言いながら、蓋を開けてみるととどのつまり
完全なdis曲だった──
というところに私ぐっと来まして。この人全然「いい」と思ってないよって。
※その後、ラジオなどの情報で本人が「別に嫌っているとかではなく、こういう人聴いたことあるでしょ? 的なニュアンスで作った」という旨の話をしていたことを知り、なんだか複雑な気持ちになった私です。※
発想と構成が面白くて、こればっかりは歌詞カード眺めるだけでも駄目だし、音だけでも味わいきれない部分が多いなと。知人はダウンロードしたらしいが、歌詞は取得できなかったそうで。ラップは同音異義で韻を踏むのなんてザラなので、テキストは必須ですよ。
ちょこっと漏らすと、あの女MC1の「いんとかふろーとか」の部分は耳だけじゃひらがなに開いたユーモアはまず気づけないし、SALU的フロウよろしくのヴァースで横文字が爆発的に増えるのとか。目からのインパクトが面白かったり。
これらがほんの一部分だから、まあ歌詞カードって大事よな、という話。
SALUっぽいフロウとかが出てきて「R-指定はSALUが嫌いなのかな」と思ったりもしたんだけど、よくよく聴けば様々な”MC”が”言いそうなこと”なんですよね。だから、それぞれのMCに関しては「どこどこ生まれなんちゃら育ち」みたいに、”このヴァースはこのMCを模してます”と察知できるようなあからさまな引用や翻案は使っていない。
浮かび上がる逆説的な、オリジナリティはどこいった問題ともとれますが。
こってり関西弁でレゲエの人とか、SALUっぽいのとかCHARLESとか、女MC2はDAOKOっぽいなあとか、ファンキーモンキーベイビーズだなとか。
あーあるある。いるいる。みたいな。つい笑っちゃう出来です。もちろんいい意味で。リスペクトからくる発想。
でも流石にファンキーモンキーベイビーズみたいな奴らは大嫌いだろ。
たりないふたり(5曲目)の下地について
これ発売前にぱっと思いついたネタなんですけど、『たりないふたり』ってタイトルの曲あるじゃないですか。
これの出典は言わずもがな、南海キャンディーズ山里亮太とオードリー若林正恭の拗らせ二人組によるトーク&ネタ番組『(もっと)たりないふたり』からなんです。それは知ってます。
ジャケの立ち位置も意識されてますし。
なつ「なかなかどうして面白い番組だった」
参照リンク:知らない人はチェックしてみよう。たりないふたり番組公式サイト
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で。
たりないふたりが曲のタイトルにもなってて、どんなバックトラックだろうと。ライブで聴いたこととかなかったので。
”たりないふたり”から連想して、X JAPANの曲をサンプリングとかじゃないかな、とか予想していたんですよ。twitterにそれ書こうと思ったところで「これ、Xのファンの方からお叱りもとい〇〇予告とか来たらどうしよう……あいつら私と違うところでガチだからな。ちょっとしたbeefじゃ収まんないぞ」と思いとどまり、そういえばドリフのメンバーもふたりたりなくなったよな、、と。
なつ「長さんと荒井注ね」
もしも……DJ松永がドリフの曲をサンプリングで使ったら……的なやつですよ。
これありそう、なんて思いまして。勝手な解釈でひとり楽しんでいる私でした。
そういうの楽しいよね(わな)
無駄話しちゃった。
フリースタイルダンジョンの話
内容が飛び飛びで申し訳Night。
人気沸騰中のフリースタイルダンジョン。面白いですね。流派Rではワンコーナーだったフリスタがそれ一本で番組になるんですから、凄い時代だなと感じます。キテるね、HIPHOP。
で、
こないだのDOTAMA回といいますか、#17、#18(REC4-4.5)とDOTAMA対R-指定で因縁の相手、みたいな扱いでR-指定が紹介されるときにUMB2014の映像が流れるじゃないですか。
なつ「昭和生まれのクソ眼鏡~、ってやつ」
──そう。あのフロウって先攻のDOTAMAがいっこ前に言ったやつの意趣返しなんですよ。
「平成生まれのポニーテ~ル」ってやつ。
そこまでこだわることでもないんだけど、R-指定のしかけたフロウだって広がるのもなぁ。
なんというか、あのフロウはねぇ……ニヤニヤ
『トレンチコートマフィア』MADについてのこぼれ記事
『トレンチコートマフィア』のテーマであるコロンバインのあの話やガス・バン・サントの映画などの記事を書きました。年度が変わり環境が変わるこの時期のためのちょっとした小話。
Creepy Nutsの新譜が出たってよ~
アルバムリリースのトレーラーで抱いていたモヤッとした気持ちは解消されました。
思ってたよりもいい──なんて表現がそもそもの間違いで、恥ずかしながら思っていたものとはまったくの別モンでした。『教祖誕生』で呂布カルマや鎮座DOPENESSのことを歌うとはハナから思ってなかったし、ZEEBRAや般若にふれるとか読んでいたわけじゃないけど、結局のところ彼らの視る世界というものも私は見誤っていた。
Creepy Nuts、計り知れない。